夢魔
MIN:作

■ 第12章 幕間4

 リビングに着いた稔が目にしたのは、力無く項垂れ涙を流す美紀とそれを宥める梓、その横で、床に這い蹲り掃除をしている沙希の姿だった。
「どうしたんですか?」
 稔が誰とは無しに声を掛けると、3人はバツが悪そうに視線を外しながら、答え始める。
「稔様こんなの無理です…、出来ません」
「すみません、失敗して…今片付けますから…」
「まだ、コツが掴めないようなので…。美紀様…稔様に何て事を…」
 稔は3人の言葉に、それぞれ答えを返す。
「美紀、美香は2度襲われましたけど、一度も失敗しませんでしたよ。沙希早くしないと、置いていきますよ。梓、貴女が教えるような物でも有りません、甘やかさないでください」
 稔の答えに、美紀は驚き、沙希は動きを早め、梓はシュンと肩を落とした。
 美紀が美香に視線を向けようとし、その視線が釘付けになる。
 美紀の異変に気が付いた梓が、顔を上げ美紀の視線を追って、その先を見詰め固まった。
 沙希は掃除を終えて、ニコニコと報告しようとして、顔を上げると動けなくなる。
 稔は3人が動きを止めたことに気が付いて、そちらを振り返り声を掛けた。
「どうしたんです? 3人とも…口が開いてますよ…」
 稔の怪訝な声に、美香が稔の後ろで、クスクス笑っている。
 その中で、真っ先に動き出したのは美紀だった。
「お姉ちゃん! ずるい! こんな、こんな格好いい稔様独占するなんて! 稔様と一緒だから我慢できたんでしょ! きっとそうよ」
 美紀は美香に向かって、まくし立てると、美香はウットリとした笑みを浮かべ
「そうかも知れないわね…稔様に見て頂いてなければ、成功はしてなかったかも…」
 頬を染めながら、稔に褒められた時の幸福感を思い出した。
 美紀はそんな美香を見て、地団駄を踏みながら
「お姉ちゃんばっかりず〜る〜い〜! 私もして欲しい〜」
 駄々っ子のように、暴れ始める。

 稔が美紀を見ながら
「梓…美紀はいつもこうなんですか? 余り見た事が、無い気がするんですが…」
 梓にポツリと質問する。
「い、いえ…子供の頃は有りましたが…最近は、見た事が御座いません…」
 梓は首を傾げながら、稔に答えた。
「私はたまに有ります…私と言い合いをして、どうしても勝てない時は、こうして駄々をこねるんです」
 美香がクスリと笑って、稔に報告すると
「あ〜おね〜ちゃん、稔様に言いつけした〜」
 美紀はドンドン美香に文句を言い始める。
「美紀…いい加減にしなさい、3歳児ですか貴女は…」
 稔が呆れて、美紀を諫めると、美紀はシュンと項垂れて、口を閉じた。
 どうやら美紀は美香に対抗心を持っている、それもかなり強い物だ。
 稔はそれを鎮めるために、美紀に向かって
「美紀そんなに言うなら、次は僕が見ててあげますから、成功させるんですよ」
 ニッコリ笑って、約束をした。
 美紀は頬を染めウットリとした顔で、コクリと頷き
「稔様お願いします…」
 小声で返事をする。
 稔はこの時美紀の対抗心に対するケアしなかった事を、死ぬほど後悔するが、それはまだ先の話だった。
 神では無い人の身で、それを予測出来る筈もなく、小さなバグがまた1つ発生する。

 稔は3人に着替えるよう命じると、ソファーに座り準備が整うのを待った。
 美香が梓の元へ、そそくさと歩み寄りコソコソと話し込んでいる。
 美香はどうやら、梓に自分が感じた事を、梓に問い掛け確かめているようだった。
「ええ、そうです…美香様がお感じに成られたのは、服従心の現れですわ…。美香様もお感じに成られたのですね…」
 梓はニッコリと微笑んで、自分の美しい娘が奴隷に染まって行く事を、心から喜んでいる。
「ママ…でも、まだママの領域には、達してない…早くママに追いつきたい…。私もママみたいに、最下層の奴隷にして貰おうかしら…そうしたら、少しは早く追いつけるかも…」
 美香が真剣な眼差しで、自分を奴隷に追い込む方法を口にすると
「それも良いかも知れません…ですが、そこに行くまでには、過酷な調教が御座いますわよ…」
 梓が美香に伝えながら、ブルリと震えた。
 美香は梓を見詰め、息を飲みながらコクリと頷く。

 そんな話をしている最中、美香と美紀のバイブが同時に動き始める。
「きゃひん」
 美紀はスカートを履きながら、可愛らしい声を上げ座り込む。
 美香は声をかみ殺し、顔を真っ直ぐ上げて、快感をねじ伏せた。
 稔は約束を守るため美紀の側に行き、踞った美紀を見下ろす。
 美紀は快感を押さえ込めず、ブルブルと震え始めると
「美紀、僕を見て…。そして、僕のために我慢すると考えてみて下さい…」
 稔が優しく声を掛ける。
 美紀は稔の言葉に顔を上げ、涙をにじませた目で、稔を凝視し
(稔様のために、我慢しなくちゃ…稔様のために、我慢しなくちゃ…稔様のために、我慢しなくちゃ…)
 言われたとおりに、ただ1つの事を考えた。
 数分美紀が稔を凝視すると、目が驚きで大きく見開かれ
「で、出来た〜! 稔様、美紀出来ました〜!」
 大きな声で稔に報告する。
 稔がニッコリ微笑みながら、美紀の頭を優しく撫でると、美紀が嬉しそうに目を細め、擦り寄った。
 そして、ブルブルと震えた瞬間
「きゃひーーーーん」
 大きな悲鳴を上げて、飛び上がる。
 稔に頭を撫でられた事で、美紀はイッてしまったのだ。
「ほら、油断するとそうなりますよ。でも、成功は成功です」
 稔が注意すると、涙を浮かべた美紀が
「は〜い…以後気を付けます〜」
 甘えた声で、反省を口にする。

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