夢魔
MIN:作

■ 第12章 幕間8

 美香に話を振られた沙希が、頷きながら
「うん…私もそう思う…だって美紀、前は今みたいにズケズケ物を言うタイプじゃ、無かったモン…」
 沙希に指摘された美紀は、狼狽えながら沙希に言い返す。
「沙希ちゃんも変わったモン! 沙希ちゃんそんなに、泣き虫じゃなかったモン」
 美紀が言い返すと、美香が
「ほら言い返した…前の美紀なら、今の所は黙って俯いてたわよ」
 美香の指摘に、美紀は顔を真っ赤にしながら
「お姉ちゃんも、そんな意地悪言わなかったモン!」
 美紀が大きな声で、子供のように言い切った。
 それを見ていた、沙希がプッと吹き出すと、美香もそれに合わせてクスクスと笑い始める。
 美紀は2人が笑い始めたのを見ながら、始めは怒っていたが、次第に2人に引き摺られ、笑い始めた。
 3人はお腹を抱えて笑い合い、涙を拭いながら話し始める。
「結局、みんな仮面を被って、生きていたって事ね…」
 美香がそう言うと、美紀が頷き
「今まで、自分の役割を決めて、本当の自分を晒さなかったのね…」
 美香の言葉を認めると
「それが稔様達に会って、ぜ〜んぶ、吹き飛んじゃった。そんな所?」
 沙希が、おどけながら締めくくると、3人は顔を付き合わせ、再び笑い合った。

 3人は誰からともなく、これからの時間の使い方を、話し出すと
「ねぇ…これから、お勉強しない…?」
 美香が頬を染めながら、2人に問い掛ける。
「え〜っ…お勉強…。そんなの、お姉ちゃんだけでやってよ〜」
 美紀は言葉を額面通り受け取って、あからさまに反対した。
「み、美香さん…それって、あれを使うお勉強…」
 沙希は美香の顔が、赤く染まったのに気付き、そっとパソコンを指さして、聞き返す。
 美香は沙希が自分の意図を理解した事に気付き、コクンと頷いて認める。
 美香と沙希が笑い合うと、美紀がようやく気付いて
「あ〜っ! お姉ちゃん、いやらしいんだ〜!」
 美香を指さし、大声で批難した。
「あら、美紀はしないのね。良いわ沙希ちゃん、私の部屋で2人でしましょ」
 そういうと、美香は沙希の手を持って、立ち上がり掛ける。
 それに釣られ、沙希が立ち上がろうとすると、美紀が慌てて
「ごめんなさ〜い…私も仲間に入れて〜…」
 美香に素直に謝り、縋り付く。
「ほら、やっぱり美紀もいやらしいんでしょ。じゃ3人で勉強しましょ…」
 3人はパソコンにかぶりつき、電源を入れた。

 3人は色々なサイトを渡り歩き、2時間が経ち、3時間が過ぎ、4時間を超える。
 途中梓の出勤を伝える声に、3人は返事を返しただけで、後は無言でM女性のブログや、SM系小説、SM写真のサイトや、ビデオ販売のサイトなどを渡り歩いた。
 美香が流石に、疲れたのか、目を離しながら
「凄いわね…SMって結構人口が多いのね…」
 感心したように、呟くと
「ホントですね…。でも、稔様の言ったとおり、少しずつ嗜好が違うんですね…。私は、やっぱり鞭とか蝋燭なんかも…試されたい」
 沙希が自分の嗜好を話す。
「私はやっぱり、ご主人様にかしずいて、従うのが良いわ…物とかそんなんじゃなく、付き従うのが良い…」
 美香が溜息混じりに、ポツリと呟くと
「私は、断然気持ち良いのが好き…何回も連続でイカされたいな〜…」
 美紀が変な笑い方で、答える。
「それじゃ、ただの色情狂じゃない…、ご主人様に、仕える意味無いわ、そこら辺の男の人でも、充分賄えるんじゃない?」
 美香が冷たく言い放つと
「違うの、シュチュエーションとか、相手によって感じるのが変わるでしょ。それを求めるから、ご主人様が要るんじゃない。情緒がないなお姉ちゃんは…」
 美紀が小憎たらしい程、冷静に美香に切り返した。

 美香が反撃しようとした時、パソコンのモニターに浮かんだ、英語のサイトに気付く。
「ねぇ、美紀…そのサイト何?」
 美香の質問に、美紀がモニターを見詰めると
「何? あれ、これ変…消しても、消しても出てくる…なに…これ…やだ…いっぱい有る〜…」
 無数のサイトが立ち上がり、どれも一向に消えようとしない。
「やだやだ、これなんて書いてるの? お姉ちゃん…読んでみてよ〜」
 美紀が泣きそうな顔で、美香に助けを求める。
 美香が目を細めて、英文を読んでゆくと
「美紀貴女、有料サイトに入り込んでるわよ! しかも、全部で15個も…」
 驚きながら、美紀に告げた。
「え〜っ! 私知らないよ! だって、そんなの書いてる所、1つもクリックしなかったモン…」
 美紀が美香に反論するが
「でも、この文には、貴方は了承して、この有料サイトに入りましたから$52払いなさいって、書いてるわよ…それも15個も…」
 それを聞いていた、沙希が
「$52っていったら…約1万円…15個だったら、15万円…」
 ポツリと呟いた。
 沙希の呟きを聞いた、美紀が途端に顔を青くし
「お姉ちゃんどうしよう!」
 美香に縋り付いた。

 美香は真剣な顔をして、暫く考えると
「ご主人様に相談しましょ…」
 ポツリと呟いた。
 美紀と沙希は美香の答えに、どのご主人様に相談するか話し合った結果、一人を選んだ。
「やっぱり、パソコンと言えば、狂様ね…だれか、電話番号解る?」
 美香が問い掛けると、美紀がおずおずと手を挙げ
「私知ってる…前にクラス行事で、純様に教えて貰ったの…」
 美紀が携帯を、パカパカと開け閉めしながら言う。
「じゃ、早く電話しなさい」
 美香が言うと、美紀は不満そうな顔で
「狂様じゃなきゃ駄目? 稔様呼んじゃ駄目かな?」
 美香に聞き返した。
「駄目! 稔様は、今お休みの筈だし、パソコンの事に掛けては、狂様が1番でしょ!早くなさい」
 美香が美紀のワガママを、一蹴して美紀を促す。
 美紀はガックリ項垂れながら、狂の携帯電話にダイヤルした。

■つづき

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