夢魔
MIN:作

■ 第13章 調教3

 午前中の調教を終え、真はその結果に満足する。
「美香は物覚えが、大変素晴らしいです。これは、やる気の問題ですがそれにつけても、もうほぼ動きを覚えました」
 美香は真に手放しで褒められ、嬉しそうに頭を下げて礼を言った。
「真様。ママの教え方が、私に会っていたんだと思います。お褒めになるなら、ママをお願いいたします」
 頭を下げる美香に、真が頷くと
「いや、本当に梓は教え上手です。この事は、稔君にも報告しておきましょう」
 梓に向かって、ニコニコと微笑んだ。
 梓は真に平伏すると
「お褒めいただき、有り難う御座います真様」
 礼を言いながら、深々と頭を下げる。
 そして、スッと顔を上げると、美香に向き直り
「美香様…、真様の仰られた言葉を、打ち消すような言動は、不敬に当たります。ご主人様の言われた言葉は、全て受け入れるのが私達の、為すべき事です…どうか、ご注意下さいませ」
 深々と頭を下げ、美香に平伏しながら言った。
(あっ…、気付かなかった…。そう、ママを褒めてと言う事は、真様の言葉の否定になる…)
 美香は梓の言葉に、打ちのめされ真に向き直ると
「申し訳御座いません! 真様の言葉を軽々しく否定した事を、心よりお詫びいたします。いかような罰もお与え下さい」
 平伏して、必死に謝罪する。
 真は右手で頭を掻きながら、左手をヒラヒラ振って
「いえいえ、構いませんよ…私はそんな事気にしていませんし、怒っても居ません。それに私は、アドバイザーで主人じゃありません」
 屈託無く笑いながら、美香に言った。

 真は美紀と沙希に向き直ると
「お二人には、これです…」
 そう言って、おしゃぶりのような物を差し出した。
 真が差しだした物を、手に取った2人はマジマジとそれを見詰める。
(何? おしゃぶりにしか、見えないんだけど…)
(これ、根本がスプリングで、自在に動くんだ…)
 2人はそれの用途を直ぐに理解し、パクリと口の中に納めた。
「そう、暇な時はそれを口に咥えて、舌使いの練習をなさい。貴女達2人は、もう少し努力が必要です」
 真にそう言われ、2人はおしゃぶりを咥え、モゴモゴと舌を動かしながら、シュンと小さく成る。
 すると美香が頭を上げて、真に訴える。
「あ、あの…宜しければ私にもお貸し頂けないでしょうか…」
 真は美香の申し出に、ニッコリと微笑み
「美香にはこちらです。はい梓にもお渡ししますね」
 そう言って、美紀と沙希に渡したのとは、少し違うおしゃぶりを差し出す。
 梓も受け取ると、おしゃぶりを見詰める。
「こっちの奴は、唇の動きもトレーニングできます。庵君に言ったら、直ぐに作ってくれました」
 おしゃぶりを咥えた4人は、庵の名前を聞いて[何か恐ろしい罰が、備わっているのでは]とドキリとして、口から吐きだす。
(解るわ…そのリアクション…私も同じように、見直してしまったモノ…)
 弥生は思わず、吹き出していた。

 弥生がクスクスと笑っていると、リビングの入り口に、2人の大きな人影が現れる。
 稔と庵の登場だった。
「どうしたんですか? 楽しそうですね。真さん、午前の調教は、どう言った感じになりました?」
 稔と庵の登場に、リビングの雰囲気は一瞬で引き締まる。
 奴隷達は全員一列に並んで平伏し、稔達に挨拶すると、その姿勢のまま次の指示を待つ。
「はい、美香は、素晴らしい上達を見せました。梓がとても上手に教えて呉れたのが、主な要因でしょう」
 真が稔に報告すると、稔は頷いて
「では、後で梓には、僕からご褒美を与えましょう。美香も同様ですね」
 真に問い返すと、真は頷いて
「そうですね、美香はご褒美を貰える、訓練成果を上げましたから、同様で良いでしょう」
 稔に答えた。
 稔は奴隷達に視線を向けると
「梓、美香…。2人は後で、僕と一緒にお風呂に入りましょう。ご褒美に綺麗に洗ってあげます」
 ニッコリ微笑んで、2人に告げる。
 梓は少し頭を持ち上げると、直ぐに床に擦りつけ
「あ、有り難う御座います稔様…」
 稔に対して礼を言う。
 美香はその梓を真似て、礼を言うが、梓の変化を見逃さなかった。
(今…ママの頬真っ赤だったし…目も潤んで、腰がモゾモゾ動いてた…。ママでも…お風呂って言うだけで…感じてた…)
 美香は沙希から、一度聞いていた稔との入浴が、早くも実現する事になり、ワクワクとドキドキで肌を紅潮させる。

 稔は奴隷達の顔を上げさせると、今日の調教について話し始めた。
「今日は、狂が来れないらしいので、羞恥系は無しです。真さん、梓に身体の使い方をお願いします。弥生と美香は庵について、苦痛を覚えてください。沙希と美紀は、僕が面倒見ます」
 稔の言葉に、美紀は内心かなり喜んだが、この日一番辛いグループに自分が入っていた事に、この時点では気付いていなかった。
 稔の割り振り通りに、それぞれ奴隷が移動をすると、主人達は思い思いの場所に移動する。
 真は梓を連れて、2階の客間へ、庵は弥生と美香を連れて、隣の居間へ姿を消した。
 リビングに残った沙希と美紀は、稔の前でジッと指示を待つ。
 そんな2人の前に座った稔が、口を開く。
「君達2人は…ハッキリ言って奴隷としては、成り立っていない…。沙希は好奇心が先に立つし、美紀は恋人気分です。これでは、先行きにどうしても不安が残ってしまいますから、今日は徹底的に追いつめます…」
 稔の思わぬ言葉に、沙希と美紀は顔を引きつらせ、平伏した。
 稔はソファーから立ち上がり、奥の道具箱に無言で歩いて行くと、左手に黒い鞄、右手に銀色のボールを持って、帰ってくる。
「今から2人には、[ボール遊び]をして貰うよ。<豚>と<犬>に成って貰ってね…」
 稔は宣言しながら、右手に持ったゴルフボール程の、金属球を3個ソファーの上に置き、黒い鞄を開けた。
 [ボール遊び]とは、梓が初日に精根尽き果て、崩れ落ちた調教である。
 梓から聞いた事のある、2人だったが、その過酷さは、想像の外でしかなかった。
「今日は2人居ますから、勝者と敗者に別れますね。勝者には何も与えませんが、敗者には、家畜の生活をプレゼントしましょう」
 稔がそう言っても、2人には何の事だか、一向に解らないで居る。
「ボールが少なかった方は、自分がいかに情けない奴隷か、自分の言葉で告白してください。敗者は先に倒れた方です」
 稔は説明を終えると、沙希と美紀に装備を付け始めた。

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