夢魔
MIN:作

■ 第13章 調教9

 カーテンを閉め切った薄暗い部屋で、低い唸るような声が殷々と響いている。
 部屋の中には布団が1つ、枕元に水差しと香炉、それに錠剤を入れるピルケース。
 布団の上には白い肉の塊が、転がっていた。
 その肉の塊を覆うように、白い肉感的な裸身がクネクネと揺れている。
 白い肉の塊…真のお腹だった。
 梓は真のお腹を、大切な物のように丁寧に撫で回し、身体を押しつけクネクネと揺れている。
 身体を押しつけた状態で、梓の腰は別の生き物のように、複雑に動き抽出を繰り返す。
 腰の動きに合わせて、乳房を揺らし妖しく動く梓。
 だが、そんな官能的に動く梓の口からは、何の声も漏れてこない。
 いや、それどころか、梓の瞳は焦点も合っていなかった。
 だらりと開いた口から、舌が垂れ下がり、涎を振りまく。
 梓は、完全に意識のない状態で、真の腹の上で身体を揺さ振っている。
 そんな梓の奉仕を受けている、真の額にはビッシリと汗が浮き上がり、眉間に皺を寄せ固く眼を閉じ、ブツブツと低い韻律を吐きだしていた。
 梓の身体に、腰をくねらせる動きと、別のタイミングで小刻みな痙攣が、起こり始める。
 すると、スッと真の腰が持ち上がり、梓の身体が真の腹の上で、180度回転した。
 梓が真に背中を向けると、真は上体を起こし、印を結んだ手を、梓の盆の窪の辺りに押し当て、気を充てる。
 そんな、梓の背中が、ビクビクと震えると、ビシャーと大量の愛液を噴出し
「ひはぁーーーーっ、はぁ〜〜〜〜〜っ…」
 梓が大きく息を吸って、前のめりに成りながら、同じ量の空気を吐きだした。
 空気と同時に、全身の力も抜けた感じで、梓の身体は真に繋がったまま、ビクリとも動かない。

 真はそんな梓を、股間から外し、抱え上げて横にすると
「如何でしたか? 自分の身体の動きが、理解できましたか?」
 ボーッと天井を見上げる、梓に問い掛けた。
 梓が真に視線を向け、何か話そうと、口を開いた時、激しく咳き込む。
 真は素早く、枕元の水差しを手にすると、梓を抱え上げ、水を飲ませる。
 梓は自分の喉が、異常に乾燥している事にも気付かず、話し出そうとして、咳き込んだのだった。
 水を飲み終わった、梓は驚きの表情で、真を見詰め
「い、今のは…何だったんですか…。ど、どうして…私の身体は…動かないんですか…」
 掠れた声で、質問をする。
 梓の身体は、自分の意志で動かせるのが、首から上だけに成っていた。
 恐怖感に満たされた梓に、真がニッコリ微笑んで
「身体の方は、この後徐々に戻します、心配しないで下さい」
 ふう〜と大きく溜息を吐いた、真は少し小さく成ったようだった。
「今のは、私の術で意識と神経の回路を分断したんです。意識は梓の内面に向くようにし、神経回路は私の気で操作して、貴女の身体を、私が動かしていたんです」
 真が事も無げに、梓に告げる。
 真は梓にそう告げた後、ゴソゴソと枕元に置いて有る、ピルケースから薬を取り出し、飲み込むと説明を続けた。
「どうですか、自分の身体の動きが、分かりましたか…? 身体をどう動かせば、どう筋肉が動くか。それが分かれば、その逆も出来ると言うことです。つまり、自分の動かしたい筋肉を動かす時は、身体をどう使えば良いか、それを学ぶんです」
 真は優しく微笑んで、梓の頭を撫でながら、説明した。
 梓は子供のような目で、真を見詰めるとコクリと頷く。
(真様って…とうさんみたい…話し方や…雰囲気が…とても落ち着く…)
 梓は他界して既に居ない、父親の面影を思い出し、自分の心が安まって行くのを感じた。

 真は梓が落ち着いたのを見て、大きく深呼吸すると立ち上がり、梓の身体を跨いで座る。
「さあ、時間がそんなに有る訳ではありません、身体のチェックに入りますよ」
 そう言って、梓の身体をなで始めた。
 20分程梓の身体を撫でていた真が[ふぅ〜]と大きな息を吐き、梓の上から離れる。
 梓から離れた真の身体は、肌の艶が消え、先程より更に少し小さく成り、汗だくに成っていた。
「どうやら、何処にも異常はありませんね。一番リスクの高い場所は、これで無事越える事が出来ました…。流石梓です…正直、私的には、かなり無理な話だと思っていました」
 真はニッコリ笑うと、梓の口にも錠剤を含ませ、水を与えた。
 布団の上に仰向けで寝ている梓は、真とは対照的に輝いていた。
 肌は潤いを帯び、張り艶共に溢れんばかりで、艶めかしさを増している。
「し、真様…大丈夫で御座いますか…」
 梓は目の前にいる真の姿を見て、ワナワナと震えて問い掛けた。
 真の疲労は一目で、判断できる程酷い状態だった。
「だ、大丈夫です…、さあ、次のステップです…」
 真はそう言うと足を組み、印を結び始める。
「お、お待ち下さい…少し、休まれてください…お願いいたします…」
 梓は動かない身体にもどかしさを感じながら、哀願した。
「はははっ…、梓…これは、少し休んでどう成る類の物じゃないんですよ…」
 真は明るく笑いながら、梓に告げる。
 しかし、その笑顔も濃い疲労のため、いつもの精彩を欠いていた。
(わ、私のために…私如きのために、こんなお疲れに成られて…申し訳有りません真様…)
 梓は真の笑顔に、涙が溢れ止まらなくなる。
「梓…梓、大丈夫です。これは、こういうモノなんです…だから、泣かないで下さい…お願いします…」
 真は梓の頬に手を当て、困ったような顔で諭した。

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