夢魔
MIN:作

■ 第13章 調教15

 美香は稔に平鞭で、全身を打ち付けられながら、歓喜の声を上げている。
(ああぁ〜…稔様…稔様〜…、きもちいい…きもちいいです…。庵様とはちがう…たたきかた…、もっと…もっとおねがいします〜)
 快感に蕩け、身悶えしながら美香は、稔に打たれやすいように、身体を差し出し、何度も高みに昇る。
 華奢な身体に、稔の鞭を何発も受け、清楚な雰囲気が淫らに染まって行く。
 真に縋り付いた弥生が、美香の絶頂の声を聞く度、ビクリと震え、稔の打ち下ろす鞭の音を聞く度、身をよじる。
(ああ…美香さん…美香さん…気持ちいいのね…。稔様に打たれて…感じてるのね…。わたしも、私も打たれたい…真様に思う存分…打って欲しい…)
 被虐の快楽を、目覚めさせられた弥生は、稔に打たれる美香が、正直羨ましかった。
(真様は…最初から仰られてた[私はノーマルですから]って…言えない…こんな事言えない…弥生を打ってなんて…)
 弥生は真に被虐で昂ぶった感情を、鎮めて欲しいと真に言えないで居る。
 例え、真自ら弥生の性癖を認めていても、弥生には真にその相手を強要する事は、出来なかった。

 真にしがみつき、声を上げていた弥生は、いつの間にかモゾモゾと太股を摺り合わせ、快感と戦っている。
 真はそんな弥生を見詰め、慈愛に満ちた微笑みを浮かべた。
(弥生…私を思って、[打って欲しい]と言えないんですね…なんて可愛らしいんでしょ…。確かに、私は始めに言いました、でも、それは望まない者に対してですよ…。ですが、こんな物を使うのは、流石に好みでは有りません…)
 真は手に持った、鞭を放り投げ、弥生の大きなお尻に、空いた手を添えると
「弥生は、いけない子ですか?」
 優しく撫でながら、質問をする。
 弥生は真の言葉に、キョトンとした顔を上げ、真正面から見詰めた。
 真はそんな弥生にニッコリ微笑むと、お尻をさすりながら、ニッコリ笑って
「弥生はお仕置きをしなければ、いけない…悪い子ですか?」
 弥生に誘い水を与え、再び問い掛ける。
 弥生は真の言葉に気付く、真の優しさに気付く、真の思いやりに気付く。
(真様はお尻を叩く理由を、差し出せと仰るの…私の浅ましい欲望を…叶えて下さると…)
 弥生は真の瞳を覗き込み、自分の目にその気持ちを込め、問い掛けた。
 弥生の気持ちを理解した、真はユックリ大きく頷き、声に出さず唇を[さぁ]と動かす。

 弥生は真の態度に、自分を止める事など、出来なかった。
 狂おしく身体の奥から込み上げる、浅ましい感情を抑えきる事が、出来なかった。
 弥生は真の胸に、飛び込むように縋り付き
「ああぁ〜…真様、申し訳御座いません…。弥生は…悪い子です! 淫らで、浅ましい欲望を押さえられない、悪い子です…どうか、どうか…弥生にお仕置きを下さいませ…」
 身悶えしながら、真に訴える。
 真は弥生に頷くと、グイッと弥生の身体を引き寄せ、膝の上に載せると
「弥生は…」
 ユルユルと弥生のお尻を撫でながら、囁き
「本当に!」
 強い調子で言いながらその手を、勢いよく持ち上げると、大きな分厚い手をお尻を打ち付け、ビシーッと鋭いビンタの音が響き
「悪い子ですね…」
 ゆったりとした声に戻り、真っ赤になった、お尻をまたユルユルと撫でる。

 そのリズム、その衝撃、その言葉、その感触に弥生の背中は、激しく震えた。
(はふぅ〜〜〜ん…あはぁ〜ん…はん、はん…何…これ、凄い…鞭なんか、比べものに成らない…。気持ちいい…ううん…そんなレベルじゃない…イキそうです〜…真様…これ、恐い…癖になりそう…。…ううん…もう虜になりました〜ぁ)
 弥生の頬は、真の一撃で真っ赤に紅潮し、目は潤んで蕩け、舌が無意識のうちに唇を舐め回り、恐ろしく扇情的な表情に変わっている。
 真の顔の位置からは、弥生の顔の変化が見て取れない。
 唯一、弥生の表情の変化を、最初から見詰めていたのは、弥生の顔の正面で鞭打ちされていた、美香だった。
 美香は弥生の打たれる姿を見て、稔の鞭打ちの快感から、一瞬で引き戻される。
(か、上郷先生! …真様に、1回お尻を叩かれただけなのに…何で、そこまで…感じられるの…?)
 美香にとって、弥生の表情の変化は、それ程驚愕の対象だった。
 真の分厚い手でお尻を打たれ、弥生の顔はドンドン至福に満ち、快感を押さえられ無くなって行く。
 大きく開いた唇から、赤い舌がヒラヒラと踊り、仰け反った喉が快感に震え、声なき声を上げ悦楽に耽る。
「真様〜…真様ぁ〜〜…弥生は〜〜…いけないこですぅ〜…もっと〜…もっと、おしおき…くぅ〜だぁ〜さぁ〜いぃ〜んっ」
 興奮に頬を真っ赤に染め、目尻に浮かぶ涙は、決して苦痛の涙などでは無く、お尻をくねらせながら、行う弥生の謝罪は、もう謝罪ではなかった。
 その姿は主人に甘え、おねだりをするマゾ奴隷以外の、何ものでも無い。

 美香に対して、鞭を振るっていた稔が、美香の反応の鈍さに気付き、ふと顔を美香が見詰める方に向ける。
(あぁ〜あ…真さん…それじゃ、被虐調教に成っていませんよ…)
 稔は苦笑いをすると、別のことに気付き、辺りを見渡した。
(あれ? こんな状況になれば、普通なら庵が止めるはずですが?)
 稔は、この調教を担当している庵が、真の暴走と言って良い行為を止め無いのを、不思議に感じ庵を探す。
(あれ? 庵…? 何処に行ったんですか? 決して持ち場を離れる、彼じゃないのに…)
 稔がどれだけ、首を巡らせても、庵は居間には居なかった。
(ふ〜ん…。庵は…彼女か…。余程お気に入りのようですね…)
 稔は直ぐに納得し、美香に対する態度を変える。
「美香…弥生が羨ましいですか?」
 美香の首輪を、引き寄せ顔を覗き込んで、稔が質問すると
「はい…とても…とても、羨ましいです…」
 美香は正直に自分の心の内を、稔に打ち明けた。
 美香は稔に打ち明けた後、数瞬自分の中に起きる葛藤と戦い、モジモジとする。
(あ〜〜…稔様に、エッチな子って思われたかな…。でも、本当に羨ましかったんですもん…私も…お手々で打たれてみたい…。だけど、稔様に我慢できない子って思われたくないし……ふぇ〜ん…こんな時…なんて言えば良かったの〜? ねえ…ママ…)
 美香は、自分で答えを出す事が出来ずに、心の中で自問自答しながら、稔の次の言動をドキドキしながら待った。

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