夢魔
MIN:作

■ 第15章 奴隷6

 リムジンに乗り込んだ稔が、梓に目線を向けると
「梓は明日から、僕と旅行です。そうですね、3日ぐらいの積もりで居て下さい」
 微笑みながら、言い放った。
 余りに唐突な稔の言葉に、梓は戸惑いながらも頷いた。
(稔様と旅行? 二人っきりで? ええ? 専属奴隷に成ると、そんな事もあるの?)
 美香は驚きの表情を浮かべて、稔と梓の顔を交互に見比べる。
「美香も学校は休んで、弥生の家で訓練に励んで下さい。庵、美紀は僕が居ない間、君に任せます。反省の色が出てきたら、元に戻して調教して下さい」
 稔が指示を飛ばすと、3人は頷いて同意した。
 何の指示もなかった沙希が、自分を指さしながら
「あ、あの〜…私はどうすれば?」
 稔に質問すると
「沙希は、普段通り学校に行って、部活に励み、それが終わったら調教を受けて下さい。試合も近い事ですし、練習は大事ですよ」
 稔は沙希に顔を向け微笑みながら、伝える。
 沙希は少し拗ねたような顔で、[は〜ぃ]と返事を返して、庵に頭をペシリと叩かれた。

 その時、稔の携帯が着信を告げる。
 電話の主は、狂だった。
「どうしたんですか?」
 稔が電話を取るなり、質問すると
『稔…頼みが有る…』
 狂は稔が今まで聞いた事の無い程、真剣な声で話を切り出す
『西川絵美な…あれ、俺に全部やらしてくらないか? 絶対に責任もって、成功させるから! 頼む!』
 狂の真剣な懇願に、稔は表情を消し
「何があったかは知りませんが、人一人の人格が掛かって居ます。その事を踏まえての依頼なら、僕には何も言う事はありません。僕達で出来る事があるなら、何なりとサポートしましょう」
 狂の懇願を聞き入れる。
『サンキュウ! 何かあったら、連絡する。じゃあな!』
 狂が通話を切ると、稔も携帯電話をポケットに入れた。
 稔はその後、リムジンが弥生の家に着くまで、一言も喋らず何かを考えていた。

 弥生の家に着いた稔達は、荷物を手に中に入る。
 リビングに着くと、真がビールを飲みながらテレビを見て、弥生は鼻歌交じりに洗い物をしていた。
 稔達の気配に気付いた、真が振り返りながら
「おかえり〜っ…おわぁ!」
 挨拶をすると、稔達の姿を見て驚きの声を上げる。
 真の声に、驚いた弥生が
「どうかされました?」
 慌てて手を拭きながら、裸エプロンでリビングに戻って来た。
 そして、稔達を見るなり
「うわ〜…皆さん…素敵…」
 大きく目を見開いて呟き、見とれる。
 稔は真に向かって
「真さん…何、新婚の雰囲気を漂わせてるんですか…」
 呆れたように呟くと
「い、いや…これは、そんな積もりじゃ…。あははは…あはっ…」
 照れながら、頭を掻いて誤魔化した。
 弥生も真っ赤に染まった顔を俯かせ、股の前に組んだ手をモジモジと絡ませて、恥ずかしそうな仕草をする。
(この2人は、もうお互いをパートナーとして、認識していますね…。全く、計画前だと言うのに…)
 稔は、肩を竦ませ庵を見詰め、首を傾げて[呆れた]と言う仕草をした。
 庵は無言で首を縦に振り、ウインクして答える。

 稔は真に向き直ると、美紀の事を質問した。
「真さん、約束はちゃんと守ってくれました? 妙な情けは掛けていませんよね」
 真は立ち上がり、中庭に移動しようとしながら
「大丈夫ですよ、修行の一環だと思えば、私達ももっと辛い事をさせますから、そこら辺はちゃんと守ってます」
 稔に答える。
 稔は真の横にスッと移動すると
「真さんまあ、僕はどうこう言うつもりは有りませんが、あまり情が移ると真さんの性格だとこの後、辛くなりますよ」
 心底心配しているような声で、真に小声で伝えた。
「う、うん…解ったよ…いや、解ってる。でも、それは僕が我慢すれば良いだけだし、ちゃんと我慢もするよ…」
 真も誰にも聞こえないような小声で、稔に答える。
「なら良いです…」
 稔はそう言いながら、真の耳元から顔を放し
「さあ、美紀に貴女達の姿を見せて、何処に行ったか教えて上げましょう。それと、梓の立場がどう成ったかも一緒に教えて上げましょう」
 後ろを振り返って、4人に告げた。
 稔は美紀に罰と褒美に、どれだけの差が有るのかを見せつけるつもりだった。

 4人を連れた稔は、中庭に行き鉄檻の中で踞る美紀を見下ろす。
 梓達3人は、美紀の処遇を見て、息を飲む。
 美紀は全裸で、アナルに犬の尻尾を着けられたまま、踞るように眠っている。
 稔が檻を一蹴りして、美紀を起こした。
 ガシャと大きな音に、ビクリと震えて美紀が目覚めると、怯えためで稔を見上げ、その美しさに呆然とする。
 稔は無言で、美紀の視界から身体をずらし、梓達を美紀に見せた。
「今日は僕達は、少し良いところで食事を取ってきました…。梓店の名前を教えて上げて下さい」
 稔の声に、梓は一歩前に進み出すと
「高台の[ル・ラロック]と言う、お店だったわ…とても落ち着いた、良い雰囲気のお店で、フランス料理を頂いたわ」
 美紀に説明する。
「その服はどうしたんだ? 美香教えて上げて…」
「はい、稔様に選んで貰い、プレゼントされたの…とても素敵なドレスでしょ、アクセサリーも含めて、全部稔様から頂いたのよ」
 美香は一歩前に進むと、クルリと回転し美紀に見せる。
「どんなところで準備した…。沙希教えて上げて…」
「駅前の会員制のエステで、髪の毛もメイクも全部整えて貰って、リムジンに乗っていったわ。まるでお姫様気分だった」
 沙希はウットリと、思い浮かべながら美紀に話す。
「で、美紀の今日の食事がこれです。見て上げて下さい」
 そう言って、稔はスチールの餌入れを足で小突く。
 その中には、半練りタイプの犬の餌が入っていた。

■つづき

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