夢魔
MIN:作

■ 第15章 奴隷12

 居酒屋の店内には、カウンターに1人の、同じような巨漢が座り、店の女性と話している。
「マ、ママ…ごめん、店貸して! 30分いや、15分で言いからさ!」
 沙希を抱えて巨漢がそう言った時、ママと呼ばれた女性店員が、怪訝な顔を向け
「何? あんた達…その子どうしたの? まさか、犯罪じゃないでしょうね?」
 巨漢達に問い掛けた。
「違うよママ! そこのゴミ置き場で拾ったんだけど、見てよこのカード…なんかのプレイみたいなんだ」
 もう1人の巨漢が言い訳をママにする。
「本当なの? 言っとくけど、嘘だったらあんた達の身元、警察に全部話すわよ!」
 巨漢達に鋭い声を投げ掛け、沙希に視線を向け
「この2人の言ってる事…本当?」
 沙希に向かって、妙に鋭いぬめるような視線で、問い質した。
(こ、この人の目…何か引き込まれる…。駄目、稔様の目とも違うけど…何か、危険…)
 沙希はママに飲まれながら、こくりと大きく頷く。
「なら仕方ないわね、良いわ但し、20分だけよ…」
 ママと呼ばれた女は、沙希から視線を外すと、スタスタとカウンターから出て、入り口に向かいのれんを外す。
 沙希はこの後、3人の巨漢に犯されるが、沙希の目は居酒屋のママの姿に釘付けになっていた。
(何? この女性…こんな所のママって言うのが、不自然なほど綺麗…それに、…恐い…)
 艶然と微笑み、沙希の犯される様を見下ろしながら、煙草をくゆらせるママの姿は、どう見ても居酒屋には似つかわしくなかった。
 そう、どこかの高級クラブか、会員制の秘密クラブの責任者。
 そんな、雰囲気が滲み出している。

 美紀は、少し高級な飲み屋が集まる、ビルの影で車を下ろされる。
 美紀は車を降りると、直ぐに路地の間に入り込み、物陰にしゃがみ込んだ。
(本当に置いて行かれちゃった…ううん、解ってる。稔様は冗談とか、勢いでこんな事は絶対にしない。この調教にも、絶対意味が有る筈…)
 美紀はジッと身を隠し、自分の居る方に、意識を向ける人間をただひたすら待つ。
(稔様は、絶対に私達に危害を与えない…。だから、この調教も、偶然を演出した予定調和の筈…)
 美紀がそう考えていた時、美紀の身を潜めた場所に、1人の老人が歩いてきた。
 本来通りからは、絶対に向かって来ない筈の人種が、何の躊躇いも無しに、美紀の居る方角へ向かってきたのだ。
(やっぱり…稔様は行動に必ず意味を持たせる…。あの、犬の放置調教もそう…私にわざわざ、ママと旅行するって言ったのも、私の嫉妬心を煽るため…その中で、いやと言うほどの考える時間…。もう、疑いません、稔様は全員に同じように接しておられる事を。私の知らない所で、私以上に辛い目に合ってるから、ママはあそこに居られるって事を…)
 美紀は老人に面を向けると、スッと頭を下げてお辞儀をし
「お待ちしておりました。何なりと私をお使い下さい」
 老人に向かって、挨拶をする。
 老人は、美紀に向かって
「ふぉふぉふぉ…何の事かな?」
 笑って誤魔化そうとするが、美紀の微動だにしない姿に
「ふ〜ん…いつ気が付いたんじゃ?」
 微笑みながら困った顔で、美紀に問い掛けた。
「気付いたのは、お爺さまがこちらに向かわれた時、確信したのは、今で御座います」
 美紀が頭を上げて答えを返した時に、老人は大きな声で笑い
「頭の良い子じゃ…恐れ入ったわい…」
 ニコニコ微笑みながら、美紀を褒める。

 老人は後ろに向かって、指を鳴らすと
「頭の良い君なら、これから何をされるか、解っているだろ? どうじゃ、爺の元に来るなら、この調教終わらせてやっても良いぞ?」
 老人の後ろから、3人の黒服を着た男達が現れ、老人が美紀に問い掛けた。
「いいえ、私は稔様の元を離れる気は、毛頭ありません。どうか稔様の意志の元、私をお使い下さい」
 美紀が深々と頭を下げた。
「本当に良い子じゃ…。こんな子を手元に置くかどうかを迷えるとは、君のご主人は、贅沢者じゃな」
 老人は心の底から、感じた事を漏らす。
 美紀は自分の言動が、主人である稔を褒めさせる結果になった事に、至福の快感を覚える。
「あ、有り難う御座います…。ですが、私は一番下の位置におります…ご主人様に選んで貰えなくても、どんな位置でも付き従うつもりで居りますので、どうかお誘いを受けた事、無かった事にして下さい」
 美紀が老人に意志の固さを示すと、
「何? 君が一番下…ほんに果報者じゃわい…。良い、解った。お前達存分に可愛がってやりなさい」
 老人が踵を返して、入れ替わりに黒服の男達が、老人の脇をすり抜け美紀に群がる。
 3人の黒服に美紀は抱きかかえられ、犯され始める。
 しかしそれは美紀が全て承知で、自ら望んだ行為だった。
 全ては、稔が用意し、稔が望んだ事と、美紀は理解し狂態を晒す。
 老人は離れた場所から、美紀の狂態をジッと見詰める。
 その目には、深い哀れみとそれと同等の、慈愛の色が込められていた。

 こうして3人は稔のプロデュースの元、野外輪姦調教が始められた。
 それぞれが、それぞれの場所を経て、集合場所に向かい、参加者に犯されて行く。
 有る者は恥辱に怯え、有る者は被虐に震え、有る者は狂態を晒し、集合場所に集まった。
 しかし、それはこの調教の、ほんのプロローグに過ぎなかった。
 稔の用意したシナリオは、佳境をこれから迎えて行く。
 狂乱の夜。
 稔の意図する物を見つけた時、自分達の為すべき姿が、心に焼き付けられる。
 稔の求める奴隷としての姿、心、それら全てが理解できなければ、不要とされる日。
 3人にとっての、重要な試練であった。
 集合場所の公園に3人が到着すると、辺りは静まりかえっている。
 外灯の明かりに照らされて、ボウッと公衆トイレが浮かび上がり、辺りの闇を濃くしている。
 公園のベンチの付近に、4人の浮浪者が荷物を広げ、食事を摂っていた。
 その4人以外、公園の中に人影は無く、4人の小声の会話が良く聞こえる。
 そんな中、3方向からほぼ同時に、それぞれ男達に連れられた弥生・沙希・美紀の3人が公園に入って来た。
 役者が揃い、宴が始まる。

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