夢魔
MIN:作

■ 第16章 絵美3

 神田は絵美の涙に興ざめしたのか、足を下ろして背中を向けると
「金の為に何でもする変態女のくせに、悔しがるんじゃねぇ…」
 捨て台詞を吐いて、スタスタと浴室から出て行った。
 絵美は浴室の隅に丸まりながら、嗚咽を漏らし続ける。
 暫く経つと、微かに入り口の方で、扉が閉まる気配が届き、絵美はビクリと震え耳を澄ませた。
 寝室の方からは、静かな音楽が聞こえるだけで、何の物音も聞こえない。
 その時自分の子宮の奥で、鈍い痛みが起こり、絵美は思い出す。
「お、お金…出さなくちゃ…。それと、お金拾わなくちゃ…」
 小声で呟き、神田の小便でビショビショになった身体を、モソモソと起こした。
 立ち上がった途端、またお腹の奥から鈍い痛みが起こり、顔をしかめる。
 絵美は足を大きく開いて、恐る恐るオ○ンコに指を入れるが、全く指にお金が触れなかった。
(どうしよう…どうやって取れば良いの…)
 余りの事に途方に暮れる美香。
 気を取り直して、寝室のお金を拾いに行き、10枚全て見つけた。
 絵美はそのお金を胸の前に持って行き、ギュッと抱きしめる。
(母さん…母さん…入院続けられるよ…)
 絵美は安堵の泪を流し震えた。

 その時、またズキリと子宮の奥が痛みを訴える。
 ハッと我に返り、辺りを見渡して
(何か長くて、つまめる物…そ、そうだわ…お箸を使えば…)
 ホテルに置いて有った割り箸を手に取り、お風呂場へ戻る。
 風呂場の鏡の前で、大きく足を開き、オ○ンコを拡げて、恐る恐る割り箸を中に差し込む。
 割り箸の固い木が、柔らかい膣壁に当たり、強い痛みを起こす。
「くぅっ! い、痛い…だめ、こんなの絶対に奥まで入れられない…」
 余りの痛みに断念すると、割り箸を放り投げて、泣き崩れる。
 その時、子宮の奥から、ドロリとした感触がし、慌てて股間を見てみると、神田の放った精液が溢れ落ちてきた。
(い、いや〜…あ、赤ちゃんが出来ちゃう…)
 絵美は物理的とも言える悪寒に、鳥肌を立たせ慌てて、シャワーを掴みオ○ンコにあてる。
 しかし、安ホテルのシャワーは、オ○ンコの周辺を流す程度が、精一杯だった。
(こんなんじゃ駄目…どうすれば…)
 その時、シャワーヘッドが、ガタガタと揺れている事に気付く。
 絵美はその頭をクルクルと回して、シャワーヘッドを外すと、金具を見詰める。
(これなら、中に入る太さだわ…。これを中に入れて、直接洗い流せば…)
 絵美はゴクリと唾を飲み込み、さっきと同じ姿勢を取ると、シャワーの金具を押し込んでみた。
(あ、大丈夫…割り箸と違って、中に入れても痛くないわ…)
 ソロソロとホースを手繰って、子宮の付近まで差し込む。

 絵美はホースを止めると、カランを捻る。
 すると、子宮いっぱいにお湯が流れ込んできた。
「熱!」
 普段身体に当てて、心地よい温度でも、身体の中はその刺激に慣れていない分、敏感に反応する。
 絵美は思わず、温度調節のダイヤルを思いっきり捻り、温度を下げた。
 すると、今度は水だけになって、水圧が上がる。
 同じように捻っていても、お湯と混ざると、水圧はどうしても減るが、そのお湯が無くなれば、水圧は途端に強くなる。
 激しい水流が、絵美の子宮を押し広げ、膣壁とホースの間から、勢いよく水が流れ出す。
「あわわわ!」
 余りの刺激に、絵美は慌ててホースを引き抜くと、血が薄められ淡いピンク色に成った液体が流れ出し、それがピタリと止まる。
(あっ!、も、もしかして…)
 絵美がオ○ンコに目をやると、膣口から一万円札の端が覗いていた。
 絵美は恐る恐る指を伸ばし、オ○ンコに入れ引きずり出すと、一万円札が2枚取り出され、ゴポリと音を立て残りの水が流れ出す。
 絵美の顔が明るくなり、同じ動作を二度繰り返すと、5枚の一万円札は全て膣奥から出てきた。
 ビショビショに濡れた一万円札を、風呂場の外側のガラスに貼り付け、絵美はシャワーを浴びる。
 シャワーを浴び終わった絵美は、ドライヤーで一万円札を乾かし、身繕いをしてホテルを後にした。
 そんな屈辱の思い出が、神田の顔を見てまた、頭をもたげ始める。

 神田はニヤリと口の端だけで笑い、挨拶する。
「え〜…、神田徹です。見た目通り細かい指摘をします。そのつもりで…」
 神田が妙に高い声で、挨拶すると本社の人間が
「じゃぁ、神田さん。後はお願いします」
 頭を下げて出て行った。
「さあ、開店準備に掛かって下さい、それと、個人面談を逐次しますので、呼ばれた方は、このスタッフルームまで来て下さい。先ずは厨房関係から行いますので、チーフは残るように」
 そう言うと、従業員を解散させる。
 絵美がスタッフルームを出るとき、神田の目線がメガネの奥から、ジッと絵美の肢体を見詰めていた。
 絵美は強い悪寒に襲われながら、逃げるようにスタッフルームを後にする。
 次々にスタッフルームに呼ばれる従業員。
 出てきた者は、一様に口を閉ざし、あからさまに不機嫌になっていた。
 絵美の前に呼ばれたアルバイトの女の子が、私服に着替えて泣きながら出てきた時には、開店前の店内が騒然となる。
 女の子の後から、神田が出てきて
「彼女はウチのチェーン店には合わない…、今日限りで辞めて貰います。次の方入って…」
 甲高い声で呟くように言うと、またスタッフルームに消える。
 仲の良いウエイターが怒りを顕わにし、女の子を気遣っているが、絵美の胸は緊張で張り裂けそうだった。
(どうしよう…ここを辞めさせられたら…私、次はどうするの…、今月の支払いも目処が立っていないのに…)
 絵美は震えながら、スタッフルームの扉を開く。

 扉を開き中に入ると、入り口に背中を向けて、神田が座っている。
「あっ、鍵を掛けて下さい…。プライバシーに関する話も多いので、聞かれたくはないでしょ」
 入口を振り返りもせず、背中越しに神田が、指示を出す。
 絵美が鍵を閉め、神田の前に回り込んで立っていると
「そこに座ったら? 見下ろされるのは好きじゃないんだ…」
 目の前のソファーをボールペンの後ろで差し、ファイルを片手に睨め上げるような目線で見詰め、指示を出した。
 絵美は弾かれるように、頭を下げソファーに座ると、俯いて神田と目を合わす事が出来ない。
 神田は無言で、ファイルを読み、コツコツと机をボールペンで叩く。
 絵美は神田との数秒の無言の対面が、数時間に感じる。
 ブルブルと震える絵美を余所に、神田が口を開いて高い声でその本性を現す。
「まさかこんな所で会うとわな…変態女…」
 眼鏡を取り、爬虫類のような目で、絵美の身体を無遠慮に見た。
 神田の言葉に、絵美の肩がピクンと跳ねると、ガタガタと震え始める。
 この時、絵美の悪夢は始まったばかりだった。
 この男の登場で、絵美は絶望の淵に立たされる。

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