夢魔
MIN:作

■ 第17章 始動6

 罰を与えるために伸一郎は、鞭を片手に受付嬢に近付く。
 受付嬢は伸一郎の手にした鞭を見詰め、恐怖に青ざめる。
(確かあの鞭は…、見た事が有る…。中にワイヤーが編み込まれて居ると言っていたわ…。確か、あの鞭で打たれた人の身体は、肉が爆ぜ、骨が折れていた…、い、嫌…あの鞭は駄目)
 過去に見た映像が、克明に思い出された。
 受付嬢は、震える声で伸一郎に
「は、針を下さいませ…」
 小さく告げる。
 伸一郎は、ニヤリと笑い。
「針が欲しいのか…。呉れてやろう」
 そう言うと道具箱を漁り、長さ40p程の針と、10p程の針を手にして
「どちらが欲しい?」
 受付嬢に問い掛けた。
 40pの針は太さ3o程で、輪っかが付いた金具が通っており、その金具がクルクルと揺れている。
(いや〜っ…、あ、あの針は、確か両乳房を貫いて吊るための物…以前吊られた女性は、そこに全体重を掛けさせられ、拷問のようにイカされ続けた…。暴れる体の重さで、最後は乳房の上半分が千切れて悶絶してた…)
 受付嬢の記憶の中の女性は、2人とも[廃棄処分]に成っていた。

 受付嬢は迷わず、10pの針を選ぶ。
 10pの針は、太さが5ミリ程で太いだけで、一見普通の針に見えた。
 伸一郎はニヤリと笑うと
「そうか、こちらが良いのか」
 そう言って、10pの針を持った手を開き、掌の中に隠したコンセントをぶら下げる。
 それを見た途端に、受付嬢の顔は蒼白になり、イヤイヤと首を左右に振った。
(な、何? あのコンセント…。電気が流れるの? 電流責めに合うの?)
 受付嬢は恐怖から、一歩後ろに下がってしまった。
 伸一郎は自分が座っていた椅子を蹴り、女性達に短く命じる。
「そいつを繋げ」
 椅子になっていた女性達は、素早く受付嬢を捕まえ、床に無数にある固定金具に止めて行く。
 無数の金具で、床に磔状態に成った受付嬢は、ガチガチと歯を鳴らし、伸一郎を見詰める。

 伸一郎はコンセントを延長コードに差し、ニヤニヤ笑いながら受付嬢に近付く。
 受付嬢を磔にした女性達は、処置が終わった途端、椅子の形に戻っていた。
 しかし、その顔は恐怖に歪み、これから上がる声に耳を塞ぐ事も出来ない事を呪う。
 伸一郎の手に持っていた、長さ10p程の針は、いつの間にか、真っ赤にその色を変えている。
 そう、高温で湯気を上げる、灼熱の赤に。
 伸一郎の持っていた針は、実は半田ゴテのように熱を持つ仕組みに成っていた。
 それも、200度程の熱量しかない半田ゴテとは違い、3倍以上の熱量を発する様に変えられている。
 それだけの熱量がない限り、金属が真っ赤に灼熱し、湯気を上げる事は無い。
「お前は、これは初めてじゃな…。こいつで開けられた穴は、どんな事をしても塞がる事は無い、組織が炭化してしまうから血も出ないぞ。そして、その炭化して行く痛みは、格別じゃ…。お漏らししたら、尿道に突っ込んでやるからな」
 伸一郎はそう言い、受付嬢の右の乳房を掴むと、おもむろに針を突き立てた。
 ジュゥと言う小さな音と、肉が焼ける嫌な匂いが上がり、一瞬の間を置いて受付嬢の喉から、高い笛の音のような悲鳴が上がる。

 受付嬢は唯一動く頭を激しく床に叩き付けながら、悲鳴を上げ続けた。
 ゴンゴンと激しい音を立て、自らの後頭部を床に叩き付ける。
 受付嬢の顔は、眼球が落ちそうな程見開かれ、口も限界まで開き、喉の奥から悲鳴を上げた。
 乳房に付き立った針の根本からは煙が上がり、受付嬢の乳房の中身を、今も灼いている事を知らせて居る。
 伸一郎は突き立てた針の上げる白煙が、薄くなるとおもむろに引き抜き、逆の乳房に突き立てた。
 受付嬢は新たな痛みに狂ったように身体を揺さ振るが、固く拘束された身体は、ほんの少ししか動く事を許さない。
 伸一郎は受付嬢の乳房に、何度も針を突き立てると、その細胞を焼き尽くし炭化させた。
 受付嬢の身体は、ビクビクと跳ね踊り、いつしか瞳は真っ白に裏返り、口から泡を吹いて失神した。
 しかし、その瞬間受付嬢の股間から、シャーッと水音が洩れてしまう。
 伸一郎はその音を聞き、股間に目を向けると嬉しそうに笑みを浮かべ
「おやおや…。だらしない穴だ…こんな穴は、要らないな…」
 おもむろに乳房の針を引き抜いて、公言通り受付嬢の尿道に針を突き刺した。
 ジュゥと言う肉の焼ける音、鼻を突く匂い、ビクリと跳ね上がる裸身。
 受付嬢は、余りの痛みに失神から目が醒め、身体を弓なりに反らせ硬直し、人間がこんな声を出せるのかと思うような悲鳴を上げる。
 伸一郎はその姿を見て腹を抱えて笑い、その部屋にいた女性達は全身に鳥肌を立て、受付嬢は背中を反り返したまま震えていた。
 受付嬢はいつまでも尿道を灼かれ、悲鳴を上げ続ける。
 この狂気の宴を、止められる物は誰もいない。

 やがて、受付嬢の身体からガクリと力が抜け、喉からの悲鳴が消えて、笑い声が洩れ始める。
 聞く者の心をヤスリで、擦るような虚ろな笑い声。
 受付嬢は、余りの苦痛に精神を閉ざしてしまった。
 大きく見開かれた瞳からは、涙が止め処なく流れ、焦点は何処にも合わず、半開きの口から、涎と共に薄笑いが漏れている。
 ブリブリと音を立てて、受付嬢が脱糞すると、伸一郎は興が削がれたのか、険しい表情になり
「くっ! 小汚い」
 怒りを顕わにし、受付嬢を蹴り上げる。
 しかし、受付嬢は薄笑いを漏らすだけで、何の反応も見せない。
 この時初めて、伸一郎は受付嬢が正気を失った事に気付いて
「壊れたか…つまらんな。おい、こいつを捨てて来い!」
 そう言って、椅子になっている女性達に命じると、部屋を出て行った。
 一部始終を見ていた佐山は、伸一郎が出て行くと、スッと立ち上がり
「これは私が連れて行きます。お前達は、部屋を片付けなさい」
 女達に命令して、受付嬢を抱えて行く。
(この程度なら、まだまだ使える。俺に掛かれば、これぐらいの精神障害は、屁でもない…。こいつなら、まだ2〜300万で売れる)
 ほくそ笑みながら、受付嬢を自室に運び込んだ。
 狂人と小悪党、絵に描いたようなコンビだった。

 受付嬢を自室にある大型獣用のケージに入れた佐山は、リビングに向かった。
 リビングに入ると、苛立たし気に伸一郎が酒を煽っている。
「どうされたんですか?」
 佐山が無表情で、伸一郎に問い掛けると
「何故だ!」
 短く佐山に問い返した。
 一瞬ギクリとした佐山は、伸一郎の態度を見て、自分が[廃棄処分]に成った女をリサイクルして、金を稼いでいる事とは、無関係の質問だと理解し
「何がで御座います?」
 再び質問する。
「あの小僧が作る奴隷達は、何故あんなに輝かしいんだ! 素材だけなら、儂の物と差して変わらん! だが、あの出来の差は何だ、何であんな風になるんだ!」
 苛立たし気に、グラスをテーブルに叩き付けた。
(当たり前だろ…この爺、自分のしてる事が、まともだと思ってるのかね…。鞭しか使わない者には、すり減ったカスしか残らない…自明の理だろ)
 佐山は心の底で、伸一郎をあざ笑い、丁寧な言葉で
「竹内様と、少年では目指す物が違うのですよ…。竹内様は、物として扱われますが、少年は恋人気分なのでしょう…。何が正しいか私には、解りかねますが、隣の芝生は青く見えると申します。一時の気の迷いで御座います」
 深々と頭を下げ、伸一郎の責めを肯定した。
(ここで、辞められたら、俺の商売も頓挫しちまう。精々この爺には、女を壊して貰わなきゃな…)
 苛立つ伸一郎を宥めながら、佐山は自分の利益を確保する。

 しかし、伸一郎の怒りは収まらなかった。
「どこで、聞きつけたか知らんが、あの中の1人に、5,000万出すと、昨日の夜電話が掛かって来た。儂の奴隷には、500万しか出さん男がだぞ! そいつが、いきなり5,000万で譲れと、頼み込んできたんだ」
 伸一郎は、ワナワナと震えテーブルを叩く。
 佐山は無表情を保ちながら
(ひゅ〜っ…、俺の稼いでいる金の、ザッと20倍以上かよ…。あの餓鬼と組む方が、得策じゃねえのか? いやいや、あの餓鬼は俺より上だ…この爺みたいに隙が無い、ここはやっぱりこの爺さんだぜ…)
 佐山は頭の中を回転させ、伸一郎のご機嫌を取る。
「なら、あの中の誰かで、お試しに成られては? 竹内様の責めに耐えられるなら、あの少年の調教が優れていると言えるかも知れませんが、中々竹内様のハードな責めに耐えられる、奴隷は居りません。その中で、生き残った奴隷は、やはり素晴らしい物だと思いますが…」
 佐山の言葉に、伸一郎は機嫌を直し
「面白い…。儂が直々に試してやろう…。どちらが、優れているかなど一目瞭然の責めをしてやる…」
 不敵な笑いを浮かべた。
 佐山は踏んではならぬ、虎の尻尾を踏んでいた。
 伸一郎と言う、狂った虎の尻尾を。

■つづき

■目次2

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊