夢魔
MIN:作

■ 第17章 始動11

 駅前に有るホテルのスイートルームの一室に、3人の少女が制服姿で正座していた。
 その少女達とは、もちろん美香・美紀・沙希の3人である。
 3人はそれぞれ白地にライトブルーのセーラーカラーが付いている、学校の夏制服を着て、にこやかに微笑んでいた。
 フレアースカートは皺にならないよう床に拡げられ、紺の花びらから上体を表した妖精のような愛らしい雰囲気がある。
 夏制服の上着は素材が薄いため、持ち上げられた胸の部分の両乳房の頂が、うっすらと透けて見え、その中心で存在を主張するように、ツンと生地が摘まれたように突き出していた。
 3人は制服の下には、何も着けていないのが、一目で分かる。
 普段目にする制服姿も、夏制服の薄い生地の下から、柔肌がうっすらと透けている、その組み合わせは、下手に全裸を晒すより余程艶めかしかった。
 3人の目の前には、稔が立ちその姿を見下ろしている。

 稔は3人の緊張をほぐすような、柔らかい笑みを浮かべ、見詰めていた。
「良いですか、今日は校長達3人を迎えるために、君達の今までの調教風景を、DVDに編集して送りつけました。DVDは顔や音声を変えて、貴女達と解らないように編集しています。ですから、僕の許可が有るまでは、このマスクとボールギャグを着けて貰います」
 稔は3人に全頭マスクとボールギャグを見せ、言葉を続ける。
「本来なら、こんな物は必要なかったのですが、少し気になる事が有りましてね。用意したんです…」
 美香達は稔の言葉に黙って聞き入り
「私達はどんな格好でも、稔様がお命じに成るのでしたら、全て従います」
「私も同じ意見です。稔様が指示される事に、私達が断れるわけがありません」
 美香は微笑みを浮かべ、美紀は真剣な表情でそれぞれ答えた。
「わ、私も平気です。ご主人様達の命令は、絶対ですから…」
 沙希は稔と庵の顔を見比べて、頬を染め俯き、上目遣いで答える。

 時計を確認し、庵が稔に囁くと部屋を出て行く。
 暫く沈黙が流れると、稔の口が重々しく開き
「今から成り行きによっては、校長達3人はゲストになります。そう成った時は、3人とも分かってますね」
 美香達3人に告げる。
「はい、解っております…私は稔様のために成るのなら、どんなことでも致します」
「私も、全く平気です。稔様の命令なら、どんな事でも従います」
「私も頑張ります! だって、いっぱい褒められたいんですもん…」
 3人は口を揃えて、ゲストに尽くすことを誓う。
 スイートルームの扉を開けて、庵が中に滑り込んでくる。
 庵は、素早く稔の側に擦り寄ると
「今、3人揃って到着しました。どうやら、やはり3人とも組んでいるようですね…」
 稔は表情を引き締め、暫く考え込む。
 そして、ユックリと口を開くと
「庵、食事を頼んで下さい。そうですね、8人分頼んでも、大丈夫でしょう。それと、部屋にあるアルコールでは、不充分です、追加もお願いします」
 稔の指示で、庵はインターホンを取り、ルームサービスで8人分の食事と、酒を頼む。

 その間、稔は美香達に、状況の対応方法を説明する。
「良いですか、始めは僕が食事を勧めます。その後、それぞれの相手にお酒を有るだけ飲ませて下さい。その上で、満腹状態にし酔わせるのが、当面の目的です。それと、僕の指の音には、神経を集中しないで下さい」
 稔はそこまで言うと、3人を見渡し了解を取った。
 3人は稔の迫力に、頷いて答える。
 稔は3人が理解したのを確認して
「そこから先は、僕の仕事です…」
 小さく呟く。
 説明を終えるとほぼ同時に、スイートルームの扉をノックする音が聞こえ、稔は素早く庵に寄り添い
「良いですか、美香達の奴隷としての接待が始まり、状態が飽和したら、僕が一気に催眠を掛けます。庵は美香達のフォローをお願いします」
 そう言うと、扉に向かい歩き始める。
(一気に催眠を掛けるって…稔さんあれをやる積もりなのか…? 俺もまともでいられるか、不安になって来た…)
 庵は稔の背中を見送りながら、稔の瞬間催眠の技法を思い出していた。
(あ〜ぁ…俺、あれをかわせた確率、確か1/5…無かった筈なのに、今回はこいつらの面倒も見なきゃ成らないんだな…)
 庵は恨めしそうな目で、美香達を見る。
 美香達は、キョトンとした表情で庵を見詰め、その目線の意味を計りかねていた。

 スイートルームの入り口の扉が、ノックされている。
 小さく3っつ叩いた後、一呼吸待って、2回叩く。
 稔が校長達に教えた、合図の叩き方だった。
 稔は扉を開けて、校長達を招き入れる。
 校長達は、稔の姿を見ると一様に驚きを浮かべた。
「き、君は柳井君…あのDVDは君の仕業かね? 一体どう言うつもりなんだ」
「私達3人にあんな物を送りつけて、一体何のつもりなんだね?」
「そもそも、あのDVDに映っている少女達は、本当にウチの生徒なのかね?」
 3人は口々に、捲し立て始める。
「お三方…そんな所で大きな声をお出しに成ると、人目が集まりますよ…宜しいんですか?」
 稔は落ち着いた声で、静かに告げると、片足を引き入り口の前を開け、サッと手で部屋の奥を示し
「どうぞ、中は防音仕様になっております、何なりとお話下さい」
 扉を更に拡げて、3人に中に入るよう促した。
 3人はお互いに顔を見つめ合い、チラホラと人目のある廊下から、渋々と中に入る。
 稔が3人をスイートルームの中に案内すると、リビングに大きなテーブルが置いて合った。
 会議などで使われるのか、来客を持て成すためか、それともその両方なのかは分からないが、そのテーブルは10人がユッタリと座れる大きさだった。

 稔が下座に座ると、稔の正面に校長、右手に教頭、左手に指導主任がそれぞれ腰を掛ける。
 それぞれが腰を落ち着かせると、3人は一斉に口を開き、稔に説明を求めた。
 稔は手を上げて3人を制し
「まあ、待って下さい…そんなに、一度に言われても困ります。それに答えようも有りません」
 微笑みを浮かべ、余裕を持って静かに答える。
 稔は手を組み、上体を前に倒しながら、覗き込むように3人を見回し
「1人ずつおねがいします…。僕の方も、色々用意している解答があります。呉々も墓穴を掘らないように質問してくださいね…」
 ユックリと微笑みを浮かべたまま、見渡した。
 3人は稔の言葉に、息を飲み自分達の言葉を濁し始める。
 稔はにこりと微笑むと、3人に向かい
「どうしました? 何か公言されると、お困りに成られる事でも有るんですか?」
 やんわりと問い掛ける。

 この時稔は、3人に対して何の情報も持って居なかった。
 伸一郎は、稔に対して作為的に、この3人の情報を与えていない。
 しかし、稔にはそんな物、一つも必要なかった。
 稔は、1年間3人を見ている。
 どう言う人物か、その志向も嗜好も思考も、全て掌中に収めていた。
 それ故、稔には彼らが何をしたかなど、問題では無い。
 こらからの会話に必要な物は、全て承知している。
「教育者として言わせて貰う!」
 校長が、稔に対して語気を強め、話し始めると、組んでいた稔の手が解かれ、テーブルの上に乗せられた。
 稔の指が、校長が話す言葉のタイミングで、机をつつきだす。
 捲し立てる校長の言葉、それと同じリズムで稔の指が、カツカツカツと中指の先を打ち付けリズムを刻む。

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