夢魔
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■ 第18章 使役4

 金田はニヤニヤ笑いながら、梓の言葉通り梓の顔の前に足を投げ出す。
 梓は全てを諦め、稔の命令に従う。
 それが、稔に対する忠誠であるからだった。
 梓は金田の投げ出され足に取り付き、手を使わず、口で靴下を脱がせ始める。
 金田は黒いナイロン製の靴下を履いていて、手を使ってもなかなか、脱がせるのが困難な筈なのに、スルリと器用に脱がせた。
 靴下を脱いだ金田の足は、スリッパの中で蒸れていて、ツンと据えた匂いを漂わせている。
 薄く汗をかいて、脂ぎった初老の足は、眉を顰めたくなる独特の匂いがしていた。
 梓は金田の踵をソッと捧げ持つように両手を添えて、軽く持ち上げ呼吸を整えて意を決すると、上体を前屈みにして顔を突き出し、舐めている顔が良く見えるように位置を調整し
「失礼いたします」
 金田に一礼し汗で湿った足の裏に口吻をする。
 金田が鷹揚に頷くと、梓は表情を消して、舌を思い切り伸ばし、金田の足の裏を舐め始めた。

 ピチャピチャと遠慮がちに舐めるのでは無く、梓は舌の全面を使い、金田の足の裏を舐め上げる。
 舌全体を足の裏に当て大きく舐め上げたかと思うと、側面に絡めながら擦るように動かす。
 その刺激は、まるで骨のない恐ろしく柔らかいヌメヌメとした指が、円を描いてマッサージするようだった。
(これは、ご主人様の命令…ご主人様の指示…)
 梓は一心に[ご主人様の命令に服従する]それだけを思い、金田に奉仕する。
 そうしなければ、梓の奉仕は稔が命ずるレベルの動きが、どうしても出来なかったのである。
 金田は梓の奉仕を受けながら、その舌の持つ力強さに驚いていた。
(な、何て力だ…まるで指で愛撫されて居るみたいな強さだ…。しかも、極上の感触を持つ指が、ヌメヌメと分泌液を出しながら愛撫する…そんな感触…)
 舌で足の裏を舐められると、くすぐったさが先に立つのは、チロチロと遠慮がちに舐めるからで、梓のように力強く全体を使うと、それは極上の愛撫に変わる。
 梓は思い込む事によって奉仕に没頭し、稔の命令を守る[服従心]に酔い始めた。
 鼻から抜ける熱い吐息が、金田の足の裏をくすぐり、[んふぅ〜…んふぅ〜…]色っぽい呼吸音を立て、耳を楽しませる。
 時折混ざる[ピチャ]と言う湿った音が上がる度、金田の肛門がゾクリと震え快感が走った。
 金田の顔が驚愕を浮かべ梓に見入っていると、梓は舌による奉仕を続けながら、婉然と微笑み頭を下げる。
 ゾクゾクと震え上がるような笑みを向けられた金田は、ゴクリと生唾を飲み壊れたオモチャのように、頭をカクカクと縦に振った。

 やがて、梓はトロリと蕩ける視線を、金田の足の裏に向け、大量の唾液を踵や指の付け根に塗して、角質層に前歯を当てる。
(あぁ〜…ご主人様…。梓はご主人様のご命令通り…どんな事でも、行います…。どんな事でも、平気ですわ…)
 梓はまるで自分に言い聞かせるように、心の中で言い終えると、顎に力を入れた。
 薄く黄ばんでカチカチに成った金田の足裏の角質層から、コリコリと音がし始め金田は得も言われぬ、刺激に驚いた。
 梓が唾液を塗してふやかせた、角質層をその美しい前歯で刮ぎ、唇と舌で舐め取りながら嚥下して行く。
 それまで、うっすらと興奮のような違和感を与えていたモノが、その瞬間梓の中で、何かが外れ溢れ始めた。
 梓は自分の身を灼くような屈辱を、服従し受け入れる事によって、その行為を快感に変え始める。
 それは、稔の命令に服従する事が、最大の快楽になる、梓ならではなのかも知れなかったが、梓は屈辱を我慢する事で、肉体的な快感を覚え始めた。
(ああ〜〜〜っ。あ、熱い…身体の奥が…。私、感じてる…医院長に受ける屈辱で…、こんなにも感じるなんて…。普通だったら絶対にこんな事、死んでも嫌なのに…ご主人様の命令だと思うと、こんな風に成るなんて…)
 ゾクゾクと全身を震わせるような、快感は梓が今まで味わった事のない類の物だった。

 一方、奉仕を受けている金田も、梓の行動に驚いていた。
(うおっ…! ここまでするのか…。あのプライドの高い女が、毛嫌いしていた醜男にここまで奉仕するのか…)
 梓は蕩けて焦点の合わないような目線で、一心に金田の角質層に歯を立て、唇と舌で舐め取り嚥下する。
 タップリと足の裏を舐め回し、角質層を手入れした梓は、その舌の目標を足指の股に向けた。
 肌はピンクに染まり、乳首を固く立たせて、ウットリとした視線を金田の足に向けた梓は、震え上がる程淫卑だった。
 金田は梓の表情を見て、ゾクリと鳥肌を立てる。
(何だ…こいつは…。こんな雰囲気を出す女は、見た事も聞いた事もない…。これは、色気…なのか…?)
 梓が出す雰囲気は、見る物の心臓を鷲掴みにし、凍り付かせる程凄まじかった。
 金田は魔物に魅入られたように、固まり動けない。
 そんな金田を尻目に、梓は筒状に丸めた舌を指の間に入れ、フェラチオのように頭を動かし、指の間を舌の裏で舐める。
 金田は梓の送り込む快感に身体を震わせ、ドンドン強くなる色香に目が離せない。
 全ての指の間を舐め終わると、足指を口に含みヌチャヌチャと音を立てながら一本一本丁寧に舐めて行く。
 その舐めて居る間、梓は顔をずっと金田に向け、表情の変化を見せつけている。
 その理知的で美しい顔が、徐々に淫猥さを増し、熱い息を吐いて妖艶に変わって行き、瞳が蕩け興奮していく状態の一部始終を金田に見せていた。

 金田は目の前の梓が、自分の足に舌を這わせながら、興奮し欲情して行く姿を見詰め、自分の身体の変化に驚く。
 金田の身体は、金縛りにあったようにピクリとも動かないが、心臓がドクドクと早鐘を打ち、ヒリツク様に喉が渇いて無意識に何度も生唾を飲む。
 金田はかつて無いほど興奮している。
 最近では、起き上げることの無かった股間の分身は、今は張り裂けんばかりに隆起し、下着の生地を持ち上げていた。
 梓が最後の小指を舐め上げた時、金田から視線を外す。
 その瞬間、金田を捉えていた呪縛が緩み、やっと身動ぎする。
 金田はその瞬間を逃せば、いつ同じ状態に成るか解らない、恐怖感から梓に向かい、掠れた声で命じる。
「よ、よしもう良いぞ…ふ、服を脱がせろ」
 金田の声は完全に裏返り、あずさを促す。
 梓は震える声で命ずる金田に
「もう片方のおみ足を頂いておりませんが…」
 首を傾げ、ゾクリとする微笑みを浮かべ、問い掛ける。
「そ、そっちはもう良い…いや、後だ…早く服を脱がせろ」
 金田は梓の言葉を打ち消して、やっとの思いで視線を外し、梓に命じた。
 梓は金田の足をソッと降ろして膝立ちになり、甲斐甲斐しく金田の洋服を脱がせ始める。
 梓は丁寧に金田の身体を撫でながら洋服を脱がせ始めるが、当の金田は何かに追われるように、梓が触れた端から自分で身体を動かし洋服を脱いで行く。

 梓に命令しながらも、殆ど自分で洋服を脱いだ金田は、緩みきった醜い身体を晒し、荒い息を吐いて梓をギラ付く目で見詰める。
 梓は金田の前に正座し、姿勢を正して次の指示を待つ。
 その姿はとても美しく、とても淫卑だった。
 ピンク色に上気した肌は、金田に内面の興奮を知らせ、全身から匂い立つような、淫蕩な雰囲気を漂わせる。
 潤んだ瞳に貫かれた金田は、自分を止める術を持たなかった。
 ソファーの上から転げ落ちるように、梓に飛びかかり絨毯の上に押し倒すと、その乳房にかぶりつき蹂躙する。
 両足を自分の腕で抱え込み、いきり立ったチ○ポを梓に押し込もうとした時、梓が金田の首に両手を絡めて、耳元に囁く。
「医院長様…そのままでは、何も出来ませんわ…。先ず、ご主人様からお預かりになった物をお使い下さい…」
 熱い吐息と共に、金田の耳元に告げた。
 金田は、この時初めて稔から預かった、貞操帯のリモコンを思い出す。
 首を巡らせ、テーブルの上に乗せたままだった、貞操帯のリモコンを見つけ、金田はバタバタと慌てながらにじり寄り、震える手にとってジッと見詰める。

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