夢魔
MIN:作

■ 第18章 使役7

 金田の股間にしゃぶり付いている梓は、貞操帯によって送り込まれる快感の中、柏木の連ねる中傷に耳を傾け奉仕を続けた。
(慶一郎さん…貴男って、そう言う人だったのね…。良くもまぁ、そこまで人を陥れる事が言えるわ)
 梓は快感で鈍る頭の中で、柏木への苛立ちを募らせ、金田の奉仕にぶつける。
「くぅお! …」
 金田は堪らず声を上げてしまい、梓は冷や水を掛けられたように、冷静になった。
(ハッ! あ、危ない…こんな状況で、医院長に声を上げさせたら、全てが終わってしまう…。それに、稔様にも禁止されて注意されていたのに…。力を押さえるのって結構難しいわ…)
 梓は稔に、その能力の大半を禁じられていた。
 梓が本気を出せば、金田などいや、鍛えていない普通の男など30秒持たないで射精に至るからだ。
 稔は梓に最大でも技術の1/10程に押さえるように、命じている。
 それは、その押さえた分だけ、梓の屈辱の時間を延ばす結果にもなっていた。
 梓は金田に対する奉仕のペースを落とし、ネットリと慈しむように舌を這わせ始めた。

 医院長室で奴隷の姿を晒し、元不倫相手の中傷を聞きながら、大嫌いな金田の操作する仕掛けで快感を与えられ、その金田の身体に奉仕を続ける梓。
 梓にとって、それは屈辱の極みだった。
 だが、梓の身体はそれを耐える事により、快感を生み出してしまう。
 何故なら、梓にとって屈辱は一種の[責め]に変わったのだ。
 稔の命令に従い、[責め]に耐える梓の身体が、それを感じない筈が無かった。
 服従心が強い程、主人の命令に従い耐える事は、幸せである。
 その[責め]が、強ければ強い程、梓の心は満たされ、身体は反応してしまう。
 そして、更に強い服従心を育てていき、快感も強くなって行く。
 堂々巡りである。

 金田が上げた声で柏木は驚き、金田をマジマジと見詰める。
 金田は冷や汗を流しながら
「何でも無い、指を挟んだだけだ…」
 右手を押さえ、顔をしかめて演技をした。
「まぁ、嘘だと思うなら、森川君を見て下さいよ。私の話が本当だと解りますから」
 話しを中断された柏木は、不機嫌そうに金田に告げる。
 そんな柏木が、視線をそらせ考え込みながら、ポツリと呟く。
「この間起きた、変な事件も関係しているのかも知れない…あの女…体つきが似てた…」
 柏木の呟きに金田が反応し、机の下の梓がビクリと震える。
 その震えは、梓の唇に咥えられている、金田のチ○ポを伝い、柏木の言葉に身に覚えがある事を、金田に知らせる事になった。
 金田は、その震えを受け、組んだ手で口元を隠し、溢れ出る笑みを必死に押さえる。
「この間の変な事件? お前が見つけたと言う、お面の全裸女か? 馬鹿馬鹿しい…何を根拠に…」
 金田は柏木の呟きを、否定しながら内心は、全く別の事を考えていた。
(フッ…間違い無くそうだ…、いま、本人が俺に知らせてくれたよ。恐らく、あの少年に調教されていたんだろ…こいつが居なくなったら、どんな調教か白状させるか…。それにこの馬鹿、墓穴を掘りやがった…)
 真剣に考え込む表の表情とは、裏腹に柏木の言葉に、内心ほくそ笑む。
「ん? 今、お前体つきがどうとか言ってたな? 見た事でもあるような口ぶりだが…」
 金田の質問に、柏木は息を飲み、[しまった]と言う顔をした。

 そんな柏木に、金田がたたみ込むように攻撃を開始した。
「森川君を辞めさせろと言うのは、外科部長としての意見か? それとも、俺の義理の弟としての意見か?」
 金田は睨め付けるように柏木を見詰め問い掛けると、柏木が一瞬たじろいだ。
「も、勿論、外科部長の公的立場で言ってるんです…」
 柏木が狼狽えながら、金田に返事を返すと、金田は追い打ちを掛ける。
「公的立場なら、今の発言は不適切じゃないか? 一個人を陥れるために、吹聴しているように聞こえたがな…」
 金田の追い打ちは当を得ていて、柏木をたじろがせるのに充分だった。
「な、何で、私が梓を…森川君を陥れなきゃ、いけないんだ!」
 柏木は余りに慌ててしまい、交際していた頃の名前で呼んで、慌てて名字に言い直した。
 金田は柏木の言葉を聞き逃さず
(この馬鹿は本当に底が浅い…、考えが丸わかりだ…。どうせ、梓が柳井の奴隷に成って、自分に見向きもしなくなったから、不倫がばれる前に、病院から追い出そうって魂胆だな…。今の梓じゃ、柏木の言う事なんて、聞きはしないだろうし危険因子の排除って訳だ…)
 柏木の考えを見抜いて、鼻で笑って納得する。

 理由が分かると、金田はもう柏木の言葉に、興味を失い始めた。
「それなら、俺から聞こう。それが事実なら、どうして本人の居ない今、俺に言いに来た? 何か、急がなきゃ成らない理由でも有るのか?」
 金田が目の力を強め、椅子の背もたれに背中を預けて質問を続けると、柏木は焦り始める。
(くぅ…藪蛇だったか…。このままでは、私と梓の関係がバレてしまう…。こいつに、バレたらそこを突いて追い落とししかねない。しかし、梓の存在を放っておくのも危険すぎる…)
 柏木は脂汗を滲ませながら、打開策を考え始めた。
 一方梓はドンドン膨れ上がる快感の中、金田がニヤニヤと自分を見詰めている事に、嫌な予感がヒシヒシと押し寄せてくるが、何も出来ずに丁寧な奉仕を続ける。
(医院長…この後、私とあの人の関係を聞いてくる…。それに、全裸で這い回った事も、私だと気付いた筈…)
 梓はこのあと自分を襲う屈辱を予測して、目の前がクラクラと揺れ始めた。
「何がどう言う訳か知らないが、彼女は本当に変わってしまったんだ…。今に、大変な事になる…」
 柏木は絞り出すようにそれだけ言うと、項垂れそっぽを向いた。
(ああ…確かに梓は変わった…。俺は、その理由も知っている…。くくくっ、いい気味だ、こいつは梓を取り上げられ、俺は梓を手に入れた。しかも、こいつが経験した事のない梓をだ…ざまぁ見ろ! それに、今の話を聞いてこいつの本性も理解し、それをネタに俺に嬲られる…くくくっ、ははははっ)
 金田は心の中で大笑いし、柏木の焦燥した顔を見詰め
「まぁ、どう変わったかは、しっかり見せて貰うし、話も聞かせて貰うよ…。森川君に、明日から始まる会合に同席して貰てね…」
 明日から伊豆で始まる、会合という名の宴会に梓を同席させる事を告げた。

 柏木は金田の言葉を聞いて、呆気に取られる。
「は? 今、あの会合に、森川君を連れて行くって言いました? 彼女が承服する訳無いでしょ? あんな所に、連れて行ったらコンパニオンみたいに扱われるのが解ってるのに…」
 柏木が馬鹿にしたように、金田に言うと
「いや…、今の彼女なら、私の指示に従うよ…彼女が、嫌と言う筈が無い…」
 金田は自信たっぷりに、柏木に言い放つ。
 柏木はその金田の言葉に、気圧されてソファーから立ち上がり
「ま、まぁ、どこから来る自信か解らないけど、お偉いさんを怒らせるような真似は、させないで下さい」
 捨て台詞のように言いながら、医院長室から出て行った。
 金田は柏木が出て行った後も、暫く扉を見詰め呟く。
「梓に嫌は無い…[嫌]はな…」
 そう言った後ニンマリ笑うと、身体を起こし股間を見詰め
「なあ、梓…そうだろ?」
 梓に問い掛けた。
 梓はピンクに頬を染め額に汗を浮かべながら、蕩けるような視線で金田を見上げ
「ふぁい…梓は、ろんな、ふぇいれいひも、ひはがいまふ…医院長ふぁま…」
 奉仕を続けながら、金田に答える。
 金田は込み上げてくる、笑いを抑える事無く大声で笑う。

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