夢魔
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■ 第19章 出張2

 梓は金田の後ろを、2人分の荷物を持って歩いていた。
 梓の頬は赤く紅潮し、小刻みな息を吐いている。
 両手に荷物を持つため、梓の身体は前のめりになり、身体全体を覆う革ベルトが、一歩足を踏み出す度にギシギシと容赦なく全身をあらゆる角度から締め付けていた。
 梓の身体に取り付けられた、器具が微振動を送り込み、容赦なく梓の官能を炙り、身体の動きでそれを増幅させる。
 結果梓の股間からは、夥しい量の愛液が流れ、踝まで濡れ光っているが、両手に荷物を持っている梓には、それを拭うことすら出来なかった。
 早朝の病院だが、夜勤に就いている看護師達が居るため、病院内には人が行き来している。
 ただでさえ美しい顔立ちの梓が、きっちりとメイクをし、派手な赤いワンピースを身に纏って居れば、必然目に付く。
 その梓は医院長の取り付けた淫具で、快感を掘り起こされ、妖しい艶を湛えている。
 もし、看護師達が梓の美しさに目を奪われず、足下に目をやっていれば、梓が快感で愛液を滴らせている事など、一目瞭然の状態である。

 そんな梓に金田が歩を緩め、横に並んで耳打ちした。
「梓…、こらえ性がないマゾ奴隷だって、宣伝する気か? お漏らししてるみたいだぞ…」
 金田の言葉に、梓は更に美しい顔を赤く染め
「申し訳有りません…。これが、凄く苦しくて…。凄く感じるんです…」
 金田の肩口に顔を寄せると、耳元に熱い吐息と共に報告する。
 梓の甘い吐息と、掠れた声が金田の耳を擽り、金田は興奮が一挙に増して行く。
 金田は、人目が切れたのを確認すると、梓の胸元をむんずと掴んで、いきなり引き寄せる。
 梓は、不意に引き寄せられ、身体が前のめりに成り、金田の胸元に顔を寄せさせられた。
 梓の身体は自分より小さい、金田に引き寄せられたため、大きく前にかがむことになる。
「ぐふ〜ん…くーっ…かはぁ〜〜〜っ」
 梓は全身を締め付けられる苦痛と、振動する乳首とクリトリスが、引っ張られる刺激と、アナルとオ○ンコに咥え込んでいるバイブが、膣壁と腸壁に直にぶつかる感触に、苦鳴の声を上げアクメを迎えた。

 ブルブルと震える梓を見下ろしながら、金田が耳元に言い放つ。
「なんだ、まさか勝手にイッたのか? お前の主は許可無く奴隷がイク事を許してるのか?」
 金田の言葉は、梓の気持ちを追い込むには、充分だった。
「も、申し訳御座いません…。こらえ性のないメス奴隷をどうかお許し下さい。どのような罰も、お受けいたします」
 梓は金田に深々と頭を下げ、謝罪する。
 その行動は、更に身体を締め付けさせ、梓を苦痛の中へ追い落としてゆく。
 浅く速い呼吸で、空気を貪る梓を従え、金田がエントランスを抜けると、目の前に一台のマイクロバスが滑り込んでくる。
 白いワイドボディーで窓ガラスには、運転席と助手席以外全て、濃いスモークが貼られ、中の様子は一向に分からない。
 自動扉が開き、中から地味なスーツを着た、50代の男性が顔を覗かせ、金田に声を掛けた。
「おう! お前から連絡が有った時は驚いたが、まさかそれがそうなのか?」
 男は口早に、金田に問い掛け、梓に向かって顎をしゃくる。
「ああ、これがそうだ。好きに出来るぞ」
 金田はニヤリと男に微笑みかけると、梓に向かい
「おい、早く乗れ! 俺に恥をかかせる気か」
 鋭く命じ、梓を急がせた。
 梓は状況が飲み込めないまま、金田の指示に従いバスの中に乗り込むと、この男の人種を理解した。
 正確に言うと、[この男達]の人種だった。

 マイクロバスに乗り込んだ梓が見た物は、L字型に配置されたソファーとテーブル、そのソファーにスーツ姿の男が2人座り、全裸の女性が2人いた。
 女性達は姿形と、肌の張りから、どちらも20代後半と推定出来たが、顔は良く見えない。
 その理由は女性達が這い蹲って、スーツ姿の男達の股間に、顔を埋めているからだった。
 後ろ姿しか見えない彼女達の首には、お決まりのように犬の首輪が付き、鎖で男達の手に繋がれている。
 梓が荷物を両手に持ち、車内で立ちつくしていると、梓の身体を避けて金田が車中に入り、挨拶を交わす。
「おう、綾と美沙も連れて来てたのか、由美子は運転手だな」
 男達の足下に踞る女性の背中に、金田が言葉を投げ掛け、運転席に目をやる。
 運転席には30代前半の女性が、白いブラウスを1枚だけ着け、下半身は何も着けずに座っていた。
 バスに梓達を招き入れた男性と金田が、椅子に腰掛けると、自動ドアが閉まりバスが走り始める。
 車内に立って居た梓は、発車の振動でよろめきバランスを崩し掛け、足を踏ん張ると、またも革ベルトに締め上げられ、表情を悩ましく歪めた。
 金田の横に腰を下ろした男性が、その表情の変化を目ざとく見つけ
「お、金田。俺が、教えたやつを付けさせてるのか?」
 金田に問い掛ける。
「ああ、昨日の夜、直ぐに買いに行ったよ」
 金田が、ニヤニヤ笑いながら、男性に答え
「何してる? 早く他の奴と同じ格好になれ。ここに居るのは、お前が変態だってみんな知ってるから、遠慮するな」
 梓に厳しく声を変え、命令した。
 梓は両手に持った、荷物を床の隅に置くと、金田の命令のまま、ワンピースのボタンに手を掛ける。

 一つ一つボタンを外し、7個全てのボタンを外した梓は、スッと舐めるように男達全員の目線に、自分の目線を一瞬だけ絡め、恥じらうように目を伏せると、唇を引き結び勢い良く前を開く。
 梓の美しい裸身が、革ベルトで歪められ、男達の視線に晒された。
 肩を細め、ワンピースを滑らせ腕に絡めると、ストンと両手を真下に下ろし、脱ぎ捨てる。
 ワンピースを落とした後、両手で少しだけ前を隠す仕草を見せ足を摺り合わせた梓は、俯せた顔を持ち上げ正面の金田を見ると、軽く下唇を噛みながら両手を後ろで組み、足を肩幅に開く。
 梓はただ、着ていたワンピースを脱いだだけで、男達はどよめきを上げる。
 梓の仕草には羞恥と服従がありありと見て取れ、溢れんばかりの色気として、男達に伝わった。
 いびつに歪められた梓の裸身は、圧倒的な迫力と淫卑な雰囲気を男達に叩き付ける。
 男達はゴクリと生唾を飲み込み、食い入るように梓を見詰め、固まっていた。
 梓の奴隷としての挙措が、男達を完璧に飲み込み、魅了させる。
 梓は金田にニッコリと微笑み、床に正座するとそのまま平伏して、男達に頭を下げ
「医院長様に貸し出されている、奴隷の梓で御座います。どうか、ご自由にお使い下さいませ」
 ハッキリとした声で、挨拶をした。
 完全に梓に飲まれる形となった男達の中、金田だけがその違和感を感じている。
(おかしい…昨日の梓とは、どこか違うぞ…。俺達を興奮させるような媚びを含ませいる…。明らかに、人に見られる事に慣れている脱ぎ方だ…、それにこんな状態にも怯まないなんて…。慣れているのか?)
 金田は梓の底が見えなくなり、どことなく不安を感じ始めた。
 この旅行で梓を追いつめ、自分の物にする切っ掛けを作る積もりで居た金田にとって、梓の態度は足下が崩れるような不安感を感じさせる。

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