夢魔
MIN:作

■ 第19章 出張17

 金田は1人、本館の露天風呂に浸かっていた。
 中天に輝く月を見詰め、ボンヤリと迎えが来た時の事を思い出す。
 金田達が玄関に着くと、数分で由美子の運転するマイクロバスが、滑り込んでくる。
 自動扉が開いて、中から綾と美砂が飛び出してきた。
 2人とも満面の笑顔で、5人を迎えるが梓の格好を見て、途端に表情を曇らせる。
 乗り口から身体をずらし、急いで5人を乗せた2人は、ジッと金田の事を睨んでいた。
 金田がソファーに座り進行方向に目を向けると、ルームミラーに凄い目で睨む由美子の視線が見え、金田は辟易する。
 車に乗って直ぐに、溝口の携帯に着信が有り、溝口は暫く話して由美子に指示し、途中下車をした。
 どうやら、旅館の主人兼久からの呼び出しのようだった。
 溝口が降りたマイクロバスの中は、金田に対する敵意で満ち溢れている。
 それは、旅館について離れに入っても、同じだった。
 金田は浴衣に着替えた後、その雰囲気から逃げるように、離れを後にする。
 そして、フラフラと歩き、酔い覚ましにこの露天風呂に入って行った。
 露天風呂の中には、誰も入って居らず、金田はそのまま貸し切り状態で、湯船に浸かる。

 ボンヤリと湯に浸かり、身体を漂わせていると、後ろの方からガラガラと扉が開く音がした。
(チッ、誰だ1人で気持ち良く、居たのに邪魔しやがって…)
 金田は腹の中で悪態を吐き、不機嫌な顔になる。
 ヒタヒタと濡れた岩風呂の床を歩く足音が響き、浴槽の縁でしゃがむ気配がした。
 金田は完全に無視して、目を閉じジッと湯に浸かっていた。
 だが、浴槽に近付いた人物は、一向に湯船に浸かる気配がない。
 それどころか、ジッと動かず金田を見詰めている。
 動きがない来訪者に金田は焦れて、目を開け振り返った。
 金田の目の前には、綺麗に黒髪を結い上げた、艶めかしい裸身が平伏していた。
 この露天風呂は脱衣所は、男女別になって居るが、中は混浴である。
 金田は梓だと知り、興味を無くして、再び湯船に浸かった。
 梓が平伏している場所は、野趣を凝らした露天風呂で見られる、平たい岩をコンクリートで固めた物だ。
 真っ平らな部分など、存在しない。
 あちらこちらに、石の突起が飛び出している。
 当然梓の正座した部分も、石の角が出ていて、長時間正座するなど耐えられる筈も無かった。

 だが、梓は平伏したまま微動だにしない。
(こいつ、何を考えている…俺が声を掛けなければ、ズッとその格好でいるつもりか…)
 金田はタオルを湯に浸け、お湯を含ませ顔を拭きながら、梓の気持ちを推し量った。
 梓の平伏から、5分程が経った時、金田はのぼせた身体を湯船から上げる。
(馬鹿らしい…俺は、何でこいつと我慢比べをしなきゃ成らん…)
 金田は湯船から上がると、自嘲気味に笑いシャワーヘッドを持ち、冷水を身体に掛けた。
 のぼせた身体に、冷水が気持ち良かった。
 金田がシャワーを浴びている間も、梓は平伏した姿勢を崩さない。
 金田は梓のその従順な態度が無性に苛立たしかった、梓の示す従順さは金田の神経を逆撫でした。
(白々しい…お前は、今まで俺にどんな態度を取って来た…。主人に言われて[はいそうですか]と示す服従に何の意味がある。まぁ、お前の自己満足は、満たされるんだろうがな…)
 金田は梓が見せる服従がどうしても、信じられなかったのだ。
 始めはそれを変えられると思っていた旅行も、頼みの綱の溝口が両手を挙げて、降参した状態に成ると、金田の中には梓に対する腹立たしさしか残らなかった。
 深く愛していただけに、その反動は大きかったのだ。

 金田は椅子に腰を掛けると、梓に向かい声を掛ける。
「おい、使ってやるこっちに来い…」
 金田の声は、どこか冷たく虚ろだった。
 梓が顔を上げ、金田の元に躙り寄ると、金田は膝を大きく開いて
「咥えろ…」
 短く命じる。
 梓は金田の命令通りに、金田の力無いチ○ポに口吻すると、舌を絡めて口の中に含む。
 チ○ポを咥えた梓が、舌を絡めフェラチオを始めると、金田はシャワーを全開にして、梓の顔に掛け始めた。
 梓はフェラチオをしながら、水攻めに合う。
 チ○ポで口を塞がれ、鼻にはシャワーの水飛沫が常に掛かり、呼吸がおぼつかなくなる。
 これが、完全に水の中なら、呼吸を止めて我慢する事も出来るが、シャワーの水は一定では無いため、思わぬタイミングで鼻の中に水が入り、むせ返る。
 鼻の中から入った水で、目の奥に走る痛みを我慢しつつ、合間を見て呼吸をし、フェラチオを続ける梓。
 梓の床に付いていた手が、後ろで組まれると金田は無性に苛立ちを覚えた。
(なんだ、その手は…無抵抗を誇示するつもりか? ふざけるなよ!)
 金田は手に持っていた、シャワーヘッドを梓の顔の下から当てる。
 シャワーヘッドの水流は、梓の鼻の奥を直に打った。
 ツンと走る痛みは、強さを増し涙が自然と溢れてくる。
 鼻の奥から入った水が、口腔内に降りてきて、梓は激しく咳き込む。
 それでも、梓はフェラチオを止めなかった。

 金田は苛立ち紛れに、梓の髪の毛を掴み、梓を股間から引き離してうち捨てた。
 石床に梓の身体が投げ出される。
「もう良い、お前はそこでオナニーでもしてろ」
 金田がそう命じると、梓は脚を大きく開いて、オナニーを始めた。
 梓の向こう臑には、クッキリと石床の跡が残っている。
 梓が平伏していた場所にあった、石の角の跡だった。
 そして、梓の左の肩口には、うち捨てられた時に出来た擦り傷から、うっすらと血を滲ませている。
 自分の身体に出来た傷を、顧みる事無く命じられたオナニーを続ける梓。
 それは、一種異様な光景だった。
 湯船に浸かった初老の男の横で、熟れた身体を開き両手でオナニーをする美女。
 だが、初老の男はその美女のオナニーに見向きもしない。
 ただ美女の口から漏れる甘い鳴き声と、密壺を掻き回す湿った音が、露天風呂に流れている。

■つづき

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