夢魔
MIN:作

■ 第19章 出張24

 梓の沈められた頭の下から、ゴボゴボと気泡が水面に泡を立て、やがて小さく成る。
 金田は梓の髪の毛を鷲掴みにし、頭を湯船から引き上げ、覗き込み
「お前は道具だろ? なら、使われる事に感謝しろ!」
 梓に問い掛け、命令した。
「はい…医院長様…、ありがとうございま」
 梓は、最後まで感謝の言葉を言えなかった。
 金田が梓の顔を、股間に押しつけたからだった。
 梓の肩を抱くように足を掛、湯船の中でイラマチオをさせる金田。
 梓の呼吸は不規則なタイミングで、金田によって水面に鼻が出る時、かろうじて出来る程度だった。
 梓の顔は基本的に水面下にあり、金田が掴んだ髪の毛で、顔の上げ下げが出来る。
 だが梓は、どれ程物のように扱われ、窒息の苦痛の中にいても、献身的に金田のチ○ポに舌を這わせ、唇で奉仕し、喉の締め付けを使う。

 金田がイラマチオを梓にしていると、ガラガラと脱衣場の扉が開き、40代の男が露天風呂に入ってくる。
 昨夜梓を輪姦させたグループの、リーダーとおぼしき男だった。
 男はニヤニヤと笑いながら、金田に近付き
「おやおや朝から、精が出ますね…。でも、会えて良かったですよ」
 そう言って、金田の横に身体を滑り込ませる。
 金田は梓を股間から引き上げると
「おい、上がれ…」
 少し緊張した声で、梓に命じた。
 金田の緊張は、昨夜溝口にこの男のグループの噂を聞いたからだった。
 金田のような、インテリ系の職業に就いている人間は、概ね暴力に弱い。
 金田は加虐者だが、特に暴力に弱かった。
 だから、昨夜この男と会った時も、その雰囲気を敏感に察知した。
 だが、今見せている男の雰囲気は、昨夜と比べると数倍に跳ね上がっている。
 もう隠そうとしていない、そんな雰囲気だった。

 男はユックリと話し始める。
「いえね…昨日のお礼もしたかったんですが、まだウチの若いのが、忘れられないって言うんで、今日も使わせて頂けないかな…そう思いましてね…」
 男がそう言うと、背後から梓の[い、いや…離して]と言う悲鳴が聞こえる。
 金田が梓の方に目を向けると、梓は4・5人の男に引き摺られ、洗い場の方に連れて行かれた。
(ヤバイ! こいつら…昨日とは雰囲気が違う!)
 金田がそう思った時には、もう遅かった。
 金田の周りを3人の男が囲み、2人が両腕を持ち、1人が金田の口にタオルを押し込み頭を押さえる。
「おい、許可が出たぞ! ちゃんと昨日のルールは守れよ! 大事な身体だから、注意して扱え…」
 リーダーは梓を取り囲んだ男達に言った後、タオルを湯船に付け、顔を拭くと
「そう…大事な身体だ…」
 薄笑いを浮かべ、呟いた。
 金田は目を向き暴れて、男達を振り解こうとするが、男達は場慣れし金田の動きを全て封じる。

 男はユックリ口を開き
「昨日はね…どうしようかと思ったんですよ…。お部屋に伺おうかと思ったんですがね、どこかに消えてしまったらしいですね…。いえ、ウチの若いのが、調べ損ねて怪我をしましてね…ほら、あいつですよ」
 金田に顎をしゃくると、後ろで頭を固定していた男が、金田の首を捻る。
 金田の視界に入った20代の青年は、身体全身に青いまだら模様を付け、顔は倍の大きさに膨れ上がっていた。
(こいつら…後を付けてたのか…それで、あいつは俺達が離れの通路に入って見失い、あんな姿にされたのか…)
 金田は愕然とする。
「で、ですね…まぁ、月並みな言い方で何ですが、慰謝料にあの方を頂いていきます…。良いですね」
 男がジロリと金田を見ると、金田は湯船から引き上げられ、隅の方に連れて行かれた。
 男は金田の前にしゃがみ、落ち着いた声で話す。
「まぁ、もう少しユックリして下さい。こちらの準備が済んだら、直ぐに引き上げます。少し眠って貰いますが、目が醒めたら私達は消えてますんで」
 笑いを噛み殺し、スッと立ち上がると
「あっ、彼女の事は心配しないで下さい、飽きたら中国かロシアルートで海外旅行に行って貰いますから。二度と会う事はないですよ」
 男はそう言って、金田に背中を向け、陵辱の輪の中に入っていった。

 主寝室にアラームが鳴り響く。
 時間は8時15分。
 溝口が、昨夜この旅館の主人兼久と、8時半から食事の約束をしていた為の物だった。
「むっ、む〜ん…」
 溝口が大きく背伸びをし、自分にピッタリとくっついて眠る、由美子にキスをして起こす。
「むぅう〜ん」
 溝口の軽い口吻で鼻に掛かった甘え声を上げ、モソモソと身体をすり寄せ、股間に手を伸ばす由美子に
「こらこら、今日は兼久さんと約束があるから…だめ、駄目だって…」
 由美子の手を股間から振り解き身体を起こす。
 由美子は身体を起こして、しなを作り上目遣いで
「ご主人様の意地悪」
 拗ねた仕草を見せる。
「梓さんなら、こんな時なんて言うのかな?」
 溝口が由美子に問い掛けると、顎に人差し指を当て考え、飛び起きるように正座して
「申し訳御座いませんご主人様。おはよう御座います〜」
 深々と頭を下げて挨拶をした。

 溝口はそんな由美子をニコニコと見下ろし、優しく引き寄せると
「良くできたね」
 そう言って、由美子に口づけをした。
 由美子は途端に上機嫌になり
「ご主人様早く早く」
 今度は溝口をせかし始める。
 浴衣を羽織った由美子に、溝口が
「みんなを起こして来い、朝飯だってな」
 軽い口調で命じる。
 すると、由美子はまた床に正座し、深々と頭を下げると
「はい、解りました。ご主人様〜」
 溝口に言った。
「馬鹿、早く行ってこい。時間がないぞ」
 溝口は苦笑いし、由美子を促すと
「は〜い。行ってきま〜す」
 ピョンと跳び上がって、帯を締めながら部屋を出て行った。
「全く…梓さんの真似も、もっとちゃんと出来れば、いい女になれるのに…子供だな〜」
 溝口は頭を抱えて溜息を吐いた。

 数十秒後、ドタドタと足音を上げ由美子が主寝室に戻り、襖を開けた瞬間焦った顔で溝口に伝える。
「ご主人様、梓お姉様離れの何処にも居ない!」
 由美子の報告を聞いた直ぐ後、4人が主寝室に飛び込んで来て、同じ言葉を言った。
 溝口が浴衣を着て、走り出しガラリと副寝室の襖を開けるが、中は誰もいない、もぬけの殻だった。
 溝口は自分の顔からサッと血の気が引いた。
「今から、本館に行って至急金田達を探せ! 見つけたら連絡しろ。そして、なるべく早くここに戻ってくるんだ」
 溝口の言葉に緊迫感を感じ、全員硬い表情で頷く。
「良いか、単独で動くな…、2人ずつペアで動け。何か嫌な感じがする」
 溝口の焦りに由美子が問い掛ける。
「どうしたんですか…、そんなに慌てて…」
 金田は、由美子の顔を見ながら
「チェックインの時、団体客が居たろ、あいつら札付きだ。強姦、傷害何でも有りの連中だ…。昨日金田にも言ったのに、何考えてんだあいつは!」
 溝口の答えに、全員の顔に緊張感が走った。

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