夢魔
MIN:作

■ 第20章 恋慕4

 看護師の指示に従い、整形外科の診察室の前で順番を待つ絵美。
 これからの治療について、心細さと現実が絵美を包み込む。
(第1整形外科診察室…。あれ?)
 何の気無しに顔を上げ、診察室の担当医名を呼んだ時、中から声が掛かった。
「西川さんど〜ぞ〜」
 どこか艶を帯びた、鈴を鳴らすような美声が、診察室の中から響く。
 絵美はドキリと胸を鳴らし、診察室へと向かった。

 扉を開け中に入ると、今朝廊下で見た、美しい女性が机に向かい、希美の頭部と左腕のレントゲン写真を見ている。
「頭の方は、全く異常有りませんね…うん、MRIでも何ともないし、CTにも異常は見られません…。現状で判断できる事は、昏睡したのは脳震盪が原因ですね…」
 そう言いながら、ディスプレイに目を向け
「血中に残っている成分表には…問題がありそうですけどね…」
 小声で呟き、クスリと笑う。
 女医は素早くその表に書かれた、分析依頼を出した医師名を読み取り、フォルダーにしまう。

 女医の小声を聞き取った、絵美がビクリと震え、女医の顔を覗き込む。
「医師? な、何か有るんですか?」
 絵美が問い掛けると、女医は艶然と微笑み、心配する絵美に優しく告げる。
「いいえ、何でも無いわ。妹さんは、単純な左手首の骨折だけです。この年齢だと、完治までは約3ヶ月…骨が着くのは2ヶ月位ね…ギプスもその頃取りましょう」
 絵美の顔を正面から見て、微笑む女医は梓だった。
 絵美は真正面から梓の顔を見詰め、全身にゾワリと肌を泡立てる。

 それは悪寒を伴う鳥肌では無く、魂が震えるような感動がもたらす物だ。
(綺麗…。凄い…恐いくらい…綺麗…)
 梓の顔を間近で見た絵美が、かろうじて思い浮かべる事が出来た言葉がそれだった。
 梓は呪縛を解くようにクスリと微笑み、視線を外して目の前のディスプレイを見ながら、キーボードを叩き
「でわ、今度は来週の火曜日に来て下さい、予約は入れておきますね」
 絵美に話し掛ける。

 絵美はモジモジとしながら、梓に向かって問い掛ける。
「あ、あの〜っ…医師…。美紀ちゃんのお母さんですか?」
 小声で問い掛ける、絵美の言葉に梓はピクリと反応し
「あら? そうよ…美紀をご存じ?」
 絵美に優しく問い返した。
「あ、はい…同じクラスです」
 反射的に答えた絵美に、梓の艶が圧力を増し絵美に覆い被さる。
(それじゃぁ、ご主人様とも同じクラスなのね…。可愛い子…うふふっ、解るわ…この子も私達と同類だわ…)
 梓は一瞬量るような目で絵美の瞳の奥を見詰め、蕩けるような微笑みを見せた。
 絵美は全身が動かなくなり、梓の視線が緩んだ瞬間、子宮の奥がドクリと波打つのを感じる。
 身体の奥から、体液が溢れる感覚に、お漏らしをしたような反応を見せ、絵美はお尻を押さえながら椅子から飛び上がり、頭を下げて診察室を飛び出した。

 絵美は知らない。
 この女医をここまで淫らに変えた人物が、自分の直ぐ側にいる事を。
 絵美は知らない。
 自分の友人が、全ての人権を放棄して、家畜のような生活をしている事を。
 絵美は知らない。
 この女医が、診察しながらオ○ンコとアナルをバイブで嬲られ、溢れ出た愛液が直腸を満たしている事を。
 絵美は知らない。
 この後、自分が女医と同じように、快楽の中で服従を誓う事を。
 その相手が、自分の掛け替えの無い、[ご主人様]に成る事を。
 この時絵美はまだ知らなかった。

 逃げるように診察室を飛び出した絵美は、お尻を押さえながらトイレに駆け込む。
 真っ赤な顔のまま、個室に飛び込み、スカートをたくし上げ、ショーツを降ろす。
 ショーツを降ろした絵美は、その現実に目を向けることが出来なかった。
(な、何? こ、これ…どう成ってるの…)
 絵美は解っている。
 だが、それを認める事がどうしても、出来なかった。
 絵美にとって、それは罪の象徴で有り、嫌悪の対象だった。

 絵美のオ○ンコからは、大量の愛液が溢れ、ショーツを汚していた。
 [何故][どうして]絵美の頭には、疑問しか浮かばない。
 だが、身体は反応している。
 梓のM性が、絵美のM性を共鳴させたのだ。
 愕然とした絵美は、狂に選んで貰ったグリーンのスカートを持ったまま、ショーツを膝まで降ろした状態で、便座にストンと腰掛ける。

 絵美はカラカラと、トイレットペーパーを巻き取り、ショーツを丁寧に拭い、愛液を取り去る。
 そして、新しいトイレットペーパーを巻き取ると、オ○ンコを拭い始めた。
 だが、オ○ンコを拭うトイレットペーパーは、直ぐに使い物にならなくなる。
 止めどなく流れ出る愛液が、拭った端から溢れ出し、トイレットペーパーを湿らせた。
(やだ…やだ…やだ…。私は、こんな事のために…ここを、こんな風にしちゃいけないの…。私はここで、自分が気持ち良く成っちゃいけないの…)
 絵美は泣きながらゴシゴシと力を入れてオ○ンコを拭い、自分の快楽のために触れる事を拒否しようとする。
 自分で快楽を求める事は、売春行為が自分の望む事に変わる気がした。

 絵美にとって、お金を得る行為を[労働]と位置づけたかったのである。
 だが、一度騒ぎ出したオ○ンコの疼きは、自分の意志では止められなかった。
 強く拭えば拭うほど、閉じた目の奥に梓の顔と姿が浮かぶ。
 その度に、ゾワゾワと快感が走り、子宮を戦慄かせる。
 もう、絵美にはどうしようも無かった。
 絵美は総合病院のトイレの個室で、生まれて初めて自分の意志でオナニーをし、泣きながら絶頂を迎えた。
 激しい恥辱感と屈辱感を覚えながら、絵美は快楽に屈服した。

 トイレを後にした絵美は、希美を携え隣に住む老夫婦の迎えを受け、自宅に戻った。
 絵美の心はズタズタに成っていた。
 快楽に対する屈服感が、売春に対する罪悪感を薄れさせていた。
(私は淫乱なの…SEXが好きなのよ…だから、病院であんな風になるの…。好きな事をして、お礼が出来るんだもの…これは、きっと良い事なのよ…)
 絵美は妹達を寝かせるために布団を敷き、誰1人目覚めないように、ユックリ時間を掛けて眠らせる。
(何でもする…100万円も貸してくれたんだもん…どんな事でもするわ…。今までされた事、全部されても良い…。彼もきっとそれを望んでる…。それに、それぐらいしなきゃ100万円もの大金を借りたお礼を返せる訳無い…)
 絵美の心は快楽に屈服した事を正当化し、純の考えを自分に都合良くねじ曲げ、解釈した。
 そうしなければ、心が折れて二度と立ち直れないような気がしたからだ。
 絵美は唇を固く結んで、自宅の電話機の前に座る。
 固い意志と決意が絵美を支えた。
 絵美の指がユックリ伸び、ダイヤルを回す。

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