夢魔
MIN:作

■ 第20章 恋慕19

 絵美が感心しながら、純の顔を覗き込んでくると、純はいきなり絵美に向き直り、質問した
「絵美ちゃん、僕達の事直ぐに解ったって言ったけど…、どうして? 殆どばれた事がないんだけど…」
 純の質問に、絵美は視線をそらせながら、話しを誤魔化そうとするが、純の真剣な眼差しに諦めた。
「あのね、変だとか思わないでね…。私、その人の考えてる事とか、性格みたいな物が、一目で分かっちゃうの…。何て言うかな…、そう、雰囲気…その人の持ってる雰囲気が、色に見えるの…。色に見えるじゃないか…感じるんだ」
 絵美の言葉は、純を驚かせるには充分だった。
「それって、絶対音感の色感みたいな物?」
 純は直ぐに絵美の話しを受け入れ、驚きながら問い掛ける。
「う〜ん…分かんない…。だって絶対音感て感覚が分からないし、私の感覚も説明できるような物じゃないもん…」
 絵美は困ったような顔で、純に答える。

 純はふ〜んと頷きながら、絵美を見詰める。
「純君はね、ベースが綺麗な赤で、その周りに青い色が舞ってるの、狂君はその反対。だから、直ぐに解ったの」
 絵美は純に笑いながらそう言うと、いつどちらが、絵美の前に居たか正確に答えた。
「凄いんだね。僕達が一生懸命バレ無いようにしてたのは、全部無駄だったんだ」
 純は感心しながら、絵美に告げる。
「あのね、この事は秘密にして欲しいの…だって、気味悪がられるの嫌だもん…」
 絵美が上目遣いで、純に擦り寄りお願いをした。
「うん、じゃぁ。2人だけの秘密だね、これで僕の秘密と、絵美ちゃんの秘密が揃ったんだね」
 純が嬉しそうに絵美に言うと、純が瞼を閉じて、ブツブツと言い始める。

 純の目が開くと、狂が登場した。
「さってぇ、お互いが秘密を共有して、気分が良くなった所で、もう一つずつ秘密を共有しようか…」
 狂はニヤリと笑いながら、絵美に近付く。
 絵美はその笑いに、恐い物を感じながら、引きつった微笑みで、後ずさる。
「絵美…お前、雰囲気で相手の考えてる事が、解るらしいな…今の俺は何色だ?」
 絵美の目には狂の雰囲気が、赤を主体とした様々な色が絡み合っているように見えた。
 それらが、強い色調のピンク色が薄い膜のように成り、包みこんでいる。
「えっ…とっても危ない、エッチな色…狂君…やだ…」
 狂はニヤニヤ笑いながら、絵美との距離を詰め
「正解…。だけど、お前は嘘を吐いたな…。絵美…嫌じゃないだろ…」
 絵美は狂の言葉に、内心ギクリとする。
(う、うそ…どうして解ったの…。私がドキドキしてるって…。狂君も見えるの…?)
 絵美は確かに、狂の言うとおり嘘を吐いた。
 高鳴る胸の鼓動が、恥ずかしくて、思わず出た言葉だった。

 狂は絵美が壁に張り付く前に、歩みを止め絵美に告げる。
「俺はな…解るんだ…。いや、匂うと言った方がしっくり来る。そう、俺達の対に成る存在…がな…」
 そう言うと、笑みを消した真剣な眼差しを、絵美の目の奥に向けた。
 絵美の身体が、ビクンと跳ねる。
「絵美一歩前に出て、足を開け…」
 狂は絵美に静かに命令した。
「い、嫌よ…駄目…止めて…そんな目で見ないで…」
 絵美は抵抗しながらも、狂の目から視線が外せない。

 絵美は首を振り、必死に逃げようとするが、そこから動く事が出来なかった。
「絵美、どうした? 早くしろ…」
 狂が囁くように命令すると、絵美の身体は一歩前に進み出て、肩幅に足が開かれる。
 その途端絵美の身体に、甘い電流が走る。
(あん…やだ、私どうしちゃったの…)
 絵美はその身体の変化に、戸惑いを覚えた。

 狂は絵美の肩にスッと手を伸ばし、青みがかったシャツを掴むと、ソッと開いて、肩をはだけた。
 絵美は軽く首を回しただけで、抵抗らしい抵抗をしない。
 薄いライトグリーンのTシャツに包まれた、形の良い張りの有る乳房が、Tシャツの中で大きく波打っている。
 狂は肩をはだけただけで、それ以上脱がそうとせず、シャツから手を離す。
「目を閉じて、手を後ろで組むんだ…」
 純は絵美に再び命令すると、絵美はスッと目を閉じ、腕の力を抜いて、シャツを床に落とし、背中に腕を回して両手で両肘をしっかり掴んだ。
 絵美の呼吸が、ドンドン荒くなってくる。
 そして、狂はユックリ絵美の身体の周りを、回り始めた。

 絵美はカラオケボックスの壁付近で、肩幅に足を開いて、目を閉じ、腕を組んで立って居るだけで有る。
 だが、それだけで、絵美の呼吸は浅く速くなり、大きな乳房が激しく揺れ、足がガクガクと震え出し、お尻が揺れ始めた。
 そして狂が絵美の背後に回り込もうとすると、壁が近くにあるため、絵美との距離が縮まる。
 絵美は狂の接近に、敏感に反応し、ビクリと震えた。
 絵美は触れられるのかと思って、身体を硬くしたのだが、何の感触もなく気配が遠のいて行く。
(な、何…何これ…い、嫌だ…私…身体が変…あ、熱い…)
 絵美の身体は、異様な興奮に包まれ、その芯に熱を帯び始める。

 狂の身体は絵美の身体をユックリ周りながら、手を翳し顔を近づけ、気配だけを絵美の敏感な部分に与える。
 胸、肩、腰、太股、尻、背中 首、身体の至る所に、気配が触れる。
 それ以外の刺激は与えられない。
 だが、絵美は目を閉じ顔を紅潮させ、愛撫を受けているように、ピクピクと震えている。
(あふぅ〜…あふぅ〜…なに…なにも…かんがえられない…あたまが…ぼーっとする…からだが…あついの〜…おねがい…なんとか…なんとかして〜…)
 絵美は火照る身体を、くねらせ狂の気配を追い求め、身体に刺激を得ようとする。
 だが、その刺激は巧みに絵美の周りを、舞うだけで一向に与えられない。

 絵美の頭の中に昨日の公園で、主婦達に言われた言葉が甦る。
([大概、変態って呼ばれてる人達…]そう、私は変態…[こんな恥ずかしい格好して、晒し者にされ辱められるのが、好きなんでしょ?]そう、私は好きなの…[良い晒し者になるわよマゾ奴隷さん]そう…そうなの…わ、私は…)
 絵美の身体はブルブルと震えを強くして行き、そうして昨夜行き着いた答えを思い出す。
(変態…私は、変態なの…。マゾなの…ああぁ〜〜…)
 絵美の腰がガクガクと震え、膝がプルプルと揺れ始める。
 絵美の肩幅に開いた足の内股は、幾筋もの水滴が伝っている。
 昨日洗って綺麗にしたばかりのショーツも、ぐっしょり濡れ水滴が滴り落ちている。

■つづき

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