夢魔
MIN:作

■ 第29章 暗転9

 黒澤が地下からエレベーターで1階に上がると、エレベーターホールで志保理を連れた京本とすれ違う。
 京本は黒澤が連れている、由香の首輪を見て
「おお、合格しましたね。7点か8点…9点まで行きましたか?」
 黒澤に問い掛ける。
 黒澤はユックリと首を左右に振り
「ギリギリの6点です…。かなり厳しい審査ですよ…。様々な穴を開発していないと、ポイントは貰えません」
 京本に伝えた。
 京本は黒澤の言葉を聞いて、ギクリと顔を引き痙らせると
「志保理はまだ、オ○ンコは処女のまんまですから、点数は貰えないって事ですか?」
 黒澤に問い掛けてきた。

 黒澤はコクリと頷き
「処女がどう評価されるか解りませんが、尿道や子宮も使えるようにしなければ成らないそうです。相当骨が折れますよ…。それと、痛みです。耐えるだけだと、1点しか貰えません。痛みを快感にして、始めて最高点が貰えるそうです」
 盟友の京本に詳しく説明してやった。
「にょ、尿道? あんな所どうやって…」
 京本が驚いて問い掛けると
「ええ、私も聞いた事があるだけで、実際見た事は無いんですが…、尿道も広がるらしいです…8〜9p程のサイズに迄ね…。但し、相当時間を掛けないと駄目だそうです…」
 黒澤が溜息混じりに、答える。

 京本が項垂れ
「そこ迄求めているなら、志保理じゃ無理ですね…。まだ、痛みを克服出来ていないし、露出の快感が身に付いた程度じゃ、到底無理だ…」
 呟くように言うと
「今の志保理の状態が、どの程度なのか知る上で、審査を受けられた方が良いと思います。この後の調教にも役立つと思いますし…」
 黒澤が審査を受ける事を勧めた。
 京本は力無く頷いて、エレベーターに乗り込んだ。
 黒澤は京本を見送ると、踵を返してみんなが待つ会議室に急ぐ。

 黒澤が職員棟に戻って来た時、2つの事件が起こっていた。
 1つは今黒澤が向かっている、会議室の前の出来事で、山孝と大貫が白井と揉めている。
「決まりでは、貴方達も奴隷を1人しか持てないんでしょ! なら、ここには4人しか居ちゃいけない筈よ! 後の18人出しなさいよ!」
 白井が山孝と大貫に、食って掛かっていた。
「おめぇもしつけぇな! 出せないモノは、出せないんだ! とっとと、けぇれ!」
 山孝が鬼のような形相で、白井を追い立てようとするが、白井は一歩も引かない。

 黒澤がそんな揉め事に近づき
「どうした…何を、揉めて居るんだ…」
 静かに問い掛けると、3人は一斉に黒澤に顔を向ける。
 白井は黒澤の登場に一瞬たじろいだが
「規則でしょ! 決まりを大切にするんでしょ! だったら出しなさいよ!」
 黒澤に対しても捲し立てた。
「ふむ、そうだな…、孝三さん出して上げて下さい…。大丈夫ですよ、今審査を受けてきましたが、この女にどうこう出来るレベルじゃ無い…。それに、ウチの女教師達が、この女の脅迫に負ける筈もないし、審査に出してあの末鬼さんにお仕置きを食らうのは、この女なんだから、連れて行かせれば良い」
 黒澤は余裕の発言で、白井を見詰め鼻で笑う。

 黒澤は白井に向き直ると
「良い事を教えてやろうか。赤首輪から青首輪に移行する事は、黒首輪を経由しない限り出来ない。つまり、お前がここで私達から、奴隷教師を1人奪って行ったとしても、その1人が審査を通らない限り、お前は永久にその奴隷を調教しなければ成らないんだ。どれだけ、審査を受けても合格しない奴隷をな…。下らない考えで文句を言うより、私は少しでも自分に懐いている奴隷を、調教する事を勧めるよ。これだけ言っても、まだ奴隷教師を連れて行きたいなら、好きにすれば良い…、お前のクラスアップは一生無くなる」
 黒澤が理路整然と白井に説明すると、流石の白井も唇を噛んで、引き下がる他無かった。

 そしてもう一つの揉め事は、黒澤達と白井が揉める少し前の出来事だった。
 人気の無い教室棟の階段室の隅、教頭の前に春菜が立っていた。
「貴史様…。もう、屑女は貴史様に遊んで頂けないんですね…」
 春菜は目に涙を湛えながら、教頭に縋り付いている。
「うん…、仕方ないじゃないか…。理事長がそう決めてしまったんだ…、青首輪は調教師しか触れる事を許されていない…。私は調教教師ではなく、運営側の人間だからな…」
 教頭はボリボリと頭を掻きながら、春菜に告げた。
 春菜は自殺しようとして、それを偶然教頭に止められてから、教頭に熱烈な服従を示すように成っていた。

 教頭は教頭で、初めのうちはその服従が嬉しく、のめり込んで行ったのだが、春菜の服従する理由が解らず訝しみ始めていたのだ。
 それに、始終春菜が寄り添ってくるため、折角理事長に褒美で貰った奴隷教師の使用権が、一向に行使出来ないので不満も感じ始めていた。
 狂に依頼されている手前、無碍にする訳にも行かず、困っていたが新しい規則のために、春菜が教頭と離れるしかないと思い込んだのを利用して、距離を取ろうとしたのだ。
「私も春菜と遊べなくなるのは辛いが、これは規則だから仕方が無い…。首輪無しに成れば、話は別だろうがな…」
 教頭は良い人を演出し、自然と離れて行くように春菜に告げたが、不用意に言った言葉に春菜は反応した。
「首輪無し…。そう、首輪無しに成れば、どなたでも私を使えるように成る…」
 春菜はそれに気づき、ボソボソと呟く。

■つづき

■目次4

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊