夢魔
MIN:作

■ 第29章 暗転21

 真が美由紀に[気]の補充を受けている頃、キサラが理事長室に呼ばれ現れた。
 理事長室にキサラが入ると、伸一郎と田口がソファーに座り、腕組みをしながら仏頂面で顔を突き合わせている。
 キサラの姿を認めた田口が
「おう、来たか…座れ…」
 横柄にキサラに命じて、ソファーを示した。
 キサラは2人の雰囲気に、ただならぬ物を感じながら、1人掛けのソファーに座る。

 キサラがソファーに座ると物音がして、そちらに視線を向けたキサラは、驚きを浮かべた。
 理事長の足下に1人の女が、縛り上げられ床に身体を投げ出している。
 その女は猿ぐつわをされているのか、くぐもった声を上げ、グネグネと身体を動かしていた。
 伸一郎が苛立たしげに、その女の頭を踏みつけると、女は抵抗を止め静かになった。
 キサラはその女の服装を見て、その女が自分の知っている女だと、理解する。
(あら、あら…何したのかなぁ〜? 確か、国語の教師って言ったわね…あれだけ責めて上げたのに、まだ反抗心が残ってたのかしら…?)
 伸一郎の足下にいるのは、27歳の国語教師で、今朝全裸で許しを求めていた、4人の内の一人だった。

 キサラが理事長室に入って5分程経った時、校庭側の扉が開いて一人の男が、女を肩に抱えて入って来た。
 男は所轄の刑事榊原で、肩に担がれている女は、気絶しているのかグッタリとしている。
 榊原は伸一郎の側に来ると、おもむろに肩に抱えた女を床に放り投げ、一礼して無言で出て行った。
 榊原に放り投げられた女は、床に強かに頭を打ち付け、その衝撃で目を覚まし、上体を起こして驚く。
「な、何? あっ、り、理事長! い、嫌〜」
 女は伸一郎を見て驚き、悲鳴を上げて逃げ出した。
 扉に掛け出した女は、ドアノブを廻すが扉はセキュリティーが掛かっており、内側からも開かない。

 伸一郎がソファーから立ち上がり、ガチャガチャとドアノブを廻す女の背後から近づき、髪の毛を無造作に掴むと、引き倒してお腹の真ん中に蹴りを入れる。
 一発、二発、三発と容赦のない蹴りが、女の腹を蹴り上げ、女が動かなくなるまで続けられた。
 10発以上蹴り込まれた女が、グッタリとして動かなくなると、伸一郎は女の髪を掴んで、引きずりながらテーブルの横まで運ぶ。
 女は這い蹲るようにして、伸一郎の動きに従い、テーブルの横で泣きながら蹲った。

 伸一郎はソファーに座り直すと、足下の女教師も蹴り上げ、横に並ぶように足で指し示す。
 足下の女教師は芋虫のように這いながら、伸一郎の指示に従い、もう一人の女の横に移動した。
「座れ!」
 伸一郎が短く命令すると、女達はビクリと身体を震わせ、そそくさと身体を起こして正座する。
 二人は正座しながら、ブルブルと震え涙を流して、3人を見比べていた。

 2人を見てキサラは、何となくこの女達の扱いが解ってしまい、大きく溜息を吐いて、伸一郎に問い掛ける。
「で、この2人…どうするの?」
 キサラが伸一郎に向かって、問い掛けると変わりに田口が答えた。
「見せしめだ…。キサラ…お前が昔作らせた、あれを使え…」
 田口の言葉に、キサラは表情を引き締め
「この子達、壊れても良いって事?」
 問い返すと、今度は伸一郎が頷き
「構わん。こいつらは、それだけの事をした。橋本は教育委員会、村木は警察に訴えた。どちらも、儂が押さえているとも知らず、無駄な反抗心を起こしたんだ。これは、当然の報いだ」
 女教師達に宣言をした。

 震え上がる女教師に、キサラはソファーから立ち上がって近づき
「言ったでしょ…、馬鹿な事はしちゃ駄目だって…。私の忠告を無視した、貴女達が悪いのよ…」
 ソッと耳元に囁いた。
 女教師達はキサラの囁きに、泣き崩れながら
「お願いします、許して…許して下さい…」
「もう、逆らいません! 絶対に言う事を聞きます!」
 キサラに縋り付き許しを請う。
「もう、遅いわ…。決定された事は、覆らない…。覆水盆に返らずよ…」
 キサラはそう言って、2人から離れると
「地下に連れてきて下さる? どうせ、処置をしたら、人前に出せなくなるんだから、それで良いでしょ?」
 伸一郎に問い掛ける。
 伸一郎は頷くと、東と谷を呼びつけ、2人を地下に引き立てさせた。

 地下の調教部屋に連れてこられた2人は、全裸に剥かれて診察台に固定される。
 両手両足と腰を拘束診察台に固定された2人は、ガタガタと震えていた。
「田〜さん。最初に言って置くけど、私の作らせた責め具は、もう無いわよ。あれをベースにした、改良版がここに置いてあったから、それを使うわよ」
 キサラは田口を見詰め宣言すると、田口もそれに納得した。
 キサラは田口の了承を得て、責め具を取り出し並べ始める。

 先ずキサラが手に取った物は、直径3p長さ15p程のスプリングで出来た、ロケットのような形の物だった。
「これは、形状記憶合金のスプリング。有る一定の周波数の電流を流す事で、その形を変えるようになっているわ。先ずは、変化を直に見てね…」
 キサラがそう言うと、キサラの手に持たれたスプリングが、いきなり直径30pの球状に拡がった。
 キサラはそれを手で押しながら
「この球状になった物は、5kgの力を加えれば縮むわ。これが、基本形になるの…」
 スプリングボールを押し縮めながら説明し、端を持ち直すと電流を変える。
 するとスプリングのボールは、その核の部分がスッと小さくなり、ウニのような形に変わった。
「これは、最大直径15p程だけど、見ての通り先端は尖るの。これ、結構固いから、かなり痛いわよ」
 そう言いながら、同じように掌で押さえ込み感触を確かめる。

 キサラはそのボールを田口に手渡すと、田口はそれを受け取り驚いた表情を浮かべ、キサラをみると
「気がついた? それの表面に張って有る物は、低周波治療器のパットみたいな物。別の使い方もするけどね…」
 薄く笑って、リモコンを操作する。
 途端に田口の手から、ウニ状のスプリングボールが転げ落ちた。
 自分の手に走った感触に驚きながら、田口がキサラを見詰めると
「ビックリした? そう、スイッチ1つで、スタンガンと同じ電流も流れるの」
 キサラはクスクス笑って、田口に教える。

 田口はそれを見ながら、ニヤリと笑って
「これを、膣内に仕掛けるんだな?」
 キサラに問い掛けると、キサラはユックリ首を振り
「それじゃ、私の責め具に匹敵しないでしょ? それが入るのは、子宮よ…」
 残酷な微笑みを浮かべ、田口に告げた。
 田口はキサラの言葉を聞いて驚き、次の瞬間ニヤリと笑った。

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