夢魔
MIN:作

■ 第29章 暗転43

 教頭に送り届けられ、拷問室に戻った奈津実と留美子は、巣の中に置かれたキャスター付きの箱の上に上体を乗せ、カラカラと箱を動かしながら休憩していた。
 2匹は膝を曲げる事を禁止されているのと、同じ所に5秒以上留まると、仕掛けられた装置が動き出す為、調教教師が居ない時は、こうして身体を休めるしか無かったのだ。
 2匹は、眠る時も交代でこの箱の上に乗り、片方が眠って片方が箱を押すという、睡眠法を取っていた。
 そんな2匹が、教頭との治療の余韻に浸り、ウットリとしていると、通路の奥からカツカツとヒールの音がする。

 2匹はその音を聞いて、ビクリと身体を震わせ、一挙に緊張した。
 この拷問室に来るハイヒールの足音は、2匹にとって恐怖の対象でしかない。
 大貫や大城、光子などは2匹に対して全く興味を見せず、2匹を構う女性は2人だけだった。
 1人は偏執狂の白井、そしてもう1人は、見られているだけで、全身から脂汗が吹き出してしまう様な恐怖の対象、キサラだったからだ。

 コツコツと近づく足音が、ハッキリするにしたがい、2匹の背中に冷たい物が流れる。
(キサラ様だ…。この足音…間違い無いわ…。今日は、何をされるの…)
 キサラの足音を聞き分けた2匹は、ガクガクと震えながら、拷問室に戻り平伏して待機した。
 キサラが拷問室に入り、部屋の灯りがつくと、2匹はお尻を高々と上げ、上半身を床に押しつけた姿勢で
「キャンキャン」
「ニャァ〜」
 喉の奥から精一杯の声で、挨拶をする。

 キサラは紺のスーツに白衣を纏い、手に愛用の騎乗鞭を持って現れ
「おはよう…、こんばんわかしらね…。まぁ、今の貴女達には関係ないけどね…」
 2匹に挨拶して、近づく。
 キサラはその途中で、歩みを止め空中に鼻を差し出して、スンスンと臭いを嗅ぎ、ニヤリと微笑んだ。
 2匹からはその微笑みが見えず、臭いを嗅いでいた気配だけを感じている。

 キサラは2匹の前に仁王立ちに成ると、再び空中に鼻を差し出して、臭いを嗅いで歌う様に問い掛けた。
「あら、あら…。今日の当番は、誰なのかしら…。ペットにボディーソープ? それに、薬の臭い…。それに、とっても、念入りに世話されたみたいね…。発情した牝の臭いもするわ〜…」
 キサラはわざとらしくシナを作り、2匹の前で頬に手を添え、クネクネと身体をくねらせる。
 キサラの言葉に、2匹はギクリと顔を引き痙らせ、ブルブルと震え始めた。
 だが、キサラは次の瞬間、クスクスと笑い始める。
「道具を外せる、知識を持ってたみたいね…。でも駄目だったでしょ? あんた達のオ○ンコとアナル…今、使い物になん無いものね…。お粗末なお道具を持った事、反省しなきゃね〜…」
 キサラはズバリと正鵠を射抜き、2匹を驚かせた。

 そして、次の瞬間2匹の目の前の空間を、キサラ愛用の鞭が、鋭い音を立てて切り裂く。
 2匹は本当に、目の前の空気が切れたと思う程、その鞭は鋭く速かった。
「私の管理するペットに勝手な事するなんて…、良い度胸だと思わない…?」
 キサラの穏やかな猫撫で声が、2匹に問い掛けるが、その声に2匹は震え上がる。
(怒ってる! キサラ様、絶対怒ってる! でも、言わない! どんな目にあっても、絶対教頭様の名前は出さない!)
(怖い怖い怖い〜! 教頭様助けて〜! でも…でも…、教頭様来ないで下さい…私…頑張りますから…絶対言いませんから…死んでも言いませんから〜…!)
 2匹は震えながらも、床の一点を見詰めて、固く決意した。

 キサラはその2匹の目の色を見ながら、心の中で感心する。
(へ〜っ…、居たんだ…こんな学校に、この私以上の支配力を持つ人間…。狂ちゃんじゃないわね…、あの子頑固モンだから、この子達に手を出す訳無いし…。黒澤は、多分手一杯…。じゃ、誰? 真って人かな? 違うわね…その人も、黒澤について手一杯の筈だし…。う〜ん気になるけど、今は良いか…、ちょっと利用しちゃお)
 キサラは犯人を探し出す事より、この2匹の調教を優先させる事にした。

 キサラは2匹の上体を起こさせると、鞭の先で頬を撫でながら
「ねぇ、貴女達…悔しかったでしょ? 悲しかったでしょ? 今日、身体を洗って世話をしてくれた方に、その身体を使って貰えなくて…。みっともない、ガバガバなオ○ンコにされた事が、辛かったでしょ?」
 2匹の心にグサグサと刺さる言葉で、告げる。
 途端に2匹の瞳から、涙が溢れブルブルと身体を震わせた。
(そうよ、辛かった! 悔しかった! 悲しかった! 貴女の言う通りよ! でも、それをしたのは、貴女じゃない!)
 2匹の目に悲しみと悔しさが宿り、キサラを見詰める。

 その瞳を尊大な笑みで見下ろしながら
(う〜ん…良い表情…、良い心の色だわ…。相当お熱を上げてるようね…。良いわ、これから先、この色が変わらないなら、そいつにこの子達上げちゃう…。お店で飼おうと思ってたけど、この子達の目の色が変わらないなら、お店に置いても邪魔だしね…)
 キサラは2匹の心を値踏みし、判断した。

 キサラは表情を引き締めながら
「でも、それは貴女達のせいなのよ…5日も使って、拡がるに任せた貴女達が悪いの…」
 2匹に冷たく告げると、責め具棚の上から、2匹に取り付けられている物と、同じリニアリングを手に取り
「コレが、ただの拡張用のリングだと思った? その時点で貴女達が間違えているのよ…」
 2匹に見せながら、目の前でそれを握り込む。
 するとリニアリングは、キサラの手の中でその直径を小さく変えた。

 2匹はそれを見て、睨む様な視線をキサラに向ける。
(知ってるわよ、それが潰れる事ぐらい! でも、そんなのオ○ンコで出来る訳無いじゃない!)
 2匹の感情は、恐怖より怒りが勝っていた。
 キサラはその怒りの表情を、微笑みで受け止め、おもむろにスカートをたくし上げると、パンティーを脱いで足を大きく広げる。
「見てなさい…。オ○ンコって言うのは、こう使うの…」
 そう言って2匹の前で、責め具を自分のオ○ンコの中に飲み込んで、装着した。

 呆気に取られた2匹に、キサラは自らのオ○ンコを晒し
「子宮口の手前…膣の中間…膣口の直ぐ奥…膣口…」
 キサラは自分の言った箇所のリングを、綺麗に押し潰して行く。
「この程度の事、出来て当然の世界なのよ!」
 そう2匹に言うと、膣口を思い切り広げ、手を使わずに責め具を外して、体外に出す。
 カランコロンと音を立てて、リニアリングが床を転がる。
「どう? 私が悪い? お前達が未熟? どっちなの…?」
 キサラの質問に、2匹は驚くだけだった。

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