夢魔
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■ 第29章 暗転47

 翌日の朝、調教教師12名は伸一郎に呼び出され、会議室に集められた。
 伸一郎は満足げな顔で、調教教師達の前に立つと
「お前達の奴隷は、満足行くレベルに達していた。これからも、ああ言った奴隷を沢山作るんだぞ」
 そう口火を切って、新学期に向けて担任編成を組み直させた。
 調教教師の筆頭、黒澤は3年A組の担任になり、由香が副担任に決められた。
 以下序列の上から順番に、調教教師が各学年のA組から担任と成り、その傘下の奴隷教師が副担任に成った。
 黒首輪を持たない、迫田、森、井本、白井、光子は末席へと追いやられ、何の発言権も無くす。

 この5人は調教教師から、指導教師と呼び名が変わり、青首輪に対しても手を出す事は禁じられ、自分の赤首輪のみ調教が許される立場に追いやられた。
 何より雇用体勢を変えられ、給料は1/8の基本給5万円にまで減らされ、後は各調教教師と生徒執行部会の払い出す、ポイントによって給料が支払われる、歩合給に変えられる。
 このため、指導教師は給料を維持する為に、身を粉にして他のサディストのサポートをしなければ成らなくなった。
 元同僚に頭を下げ、サディスト生徒に遜らなければ、生活もままならない。
 実質の解雇宣告である。

 次に奴隷教師達は、その呼び名を普通教員と名前を変えて生徒達に呼ばれる様になり、執行部会にはその首輪の意味まで教えている事を知らせた。
 執行部会の生徒はこれで、普通教員=性奴隷で有る事を知り、教師として接しなくなるのは明白だった。
 そればかりか、4人の首輪無しの普通教員に対して、容赦無い加虐を加える事も、火を見るより明らかであろう。

 伸一郎は新編成を伝え終わると
「これからも、儂の為に働け。今度はかなり骨が折れるぞ、何せ500人から居るんじゃからな」
 そう言って、会議室を出て行き掛け
「そうそう、3階の奴隷どもを片づけておけ。昨日は久しぶりに、堪能したから4〜5人は動けなくなっとる。手当てしてやれ。それと、明後日には10人の来客が有る、足りなく成った分は補充しとけ…」
 黒澤達に告げた。
 黒澤達はその言葉を聞いて歯噛みするが、ジッと伸一郎が消えるのを待った。

 伸一郎が会議室を出て、数秒経つと黒澤が用務員室に向かって走り出す。
 用務員室では、真が掃除の道具を持って、エレベーターに乗ろうとしていた。
「み、源さん! 待って下さい私達も乗ります!」
 黒澤の慌てた様子に
「どうしたんですか?」
 真が問い掛けると、昨夜の事情と今の伸一郎の話を掻い摘んで、真に話す。

 黒澤の話が終わった時、エレベータは3階に到着して、扉が開く。
 7人の中級指導教員は、その瞬間シクシクと泣く声を聞き、その惨状に目を見張る。
 その場には由香、恵美、直美、奈々、光の5人が血だらけで横たわり、それを19人の黒首輪が取り囲んで、泣いていた。
 人の気配を感じた志保理は、顔を上げ涙を流しながら振り返り
「申し訳御座いません…私達の分の責めも、全て肩代わり成されて…。酷い責めをお受けになって…」
 昨夜からの出来事を黒澤達に伝え、謝罪する。

 5人の奴隷教師達はゼ〜ハ〜と喉に掛かる、細い息を吐きながら、瀕死状態に成っていた。
 直美と奈々は尿道が裂けていた。
 由香と恵美はオ○ンコからの血が止まらない。
 光と恵美の股関節は、脱臼していた。
 由香と直美と奈々のアナルは、裂けている。
 5人の身体には、至る所に裂傷、火傷、打撲、貫通傷が有り、まるで痛めつける事が、目的の拷問を受けた後の様だった。

 黒澤はその状態を見て、全身が怒りで満たされる。
(これは…、あいつらと同じだ…。[戦場]という名の閉鎖空間で、暴虐の限りを尽くした…あいつ等と…)
 黒澤は自分が日本で英語教師となる、理由を作った上官達を思い出す。
 黒澤は軍籍を[不名誉除隊]していた。
 [反逆行為]と[ジュネーブ協定違反]が理由であったが、それは上官達の行為だった。
 黒澤の目には過日の陰惨な光景が、ありありと浮かび上がり、ブルブルと震え出す。

 真は掃除道具を放り投げ、5人に取り付くと
「至急、剣道場に運んで下さい。それと医務室に行って、薬を貰ってきて下さい。外傷に使う薬全種類です」
 指示を出しながら、5人を抱え上げる。
 5人を抱いた真、黒澤、山孝、山源、京本は急いでエレベーターに乗り、大貫も同乗した。
 大城は残った奴隷教師達に、指示を出し真の代わりに3階の掃除を始める。

 5人を抱え剣道場に着いた、真は入念に5人の傷の状態を診察し
「薬を併用しないと、私の[気]だけでは、どうにも成りませんね…、取り敢えず脱臼は直しましょう」
 その結果を黒澤に伝え、山孝と2人で股関節の脱臼を治した。
 低くうめき声を上げ、恵美と光は力無い視線を向け
「あ、…私…がんばりました…」
 山孝と山源に告げる。
 山孝と山源は2人の手をしっかり握り、無言で何度も頷く。

 剣道場の扉が開き、薬を取りに行った大貫と薬箱を持ったキサラが現れ
「あら、あら…、これはやり過ぎね〜…。ここまでされたら、洒落で済ませられないわ…。田口の爺さん…、調子に乗っちゃったわね…」
 5人の姿を見るなり、軽い口調で呟きながら、背筋が凍りそうな雰囲気に変わる。
 黒澤が直ぐにキサラから薬箱を受け取り真に渡すと、真は様々な薬を使い分け、傷口に塗り始めた。

 真は5人に薬を塗り終わると
「段階的に治療をします。途中[気]の補給が必要に成ると思いますので、待機させて置いて下さい。黒澤さんは中に入って、患者の入れ替えをお願いします」
 一番傷の酷い由香を抱え上げ、奈々を黒澤に連れてこさせる。
 2人が部室内に姿を消すと山源が立ち上がり、奴隷教師達を呼びに行った。

 真の治療は5人を10分程ローテーションで回し、2回目は20分と時間を増やす。
 2回目のローテーションが終わると、黒澤が奴隷教師を5人中に入れ、真の[気]を補充させ治療が続けられる。
 4回目のローテーションが終わると、5人の顔の色は驚く程良くなり、外傷も目立たなく成っていた。
「ちょ、ちょっと待って…何これ? 何で、あんな穴が空いてたのに、傷口が針で突かれた程度に塞がるの? あれは、5寸釘で開けられた筈の穴でしょ? それが何で…。鞭の跡も、肉が爆ぜてたのに…」
 キサラはその治療の効果を見て、目を丸くして驚きを隠せなかった。

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