夢魔
MIN:作

■ 第30章 圧制33

 明神を仲間に引き入れた狂は、その関係がバレない様にカラオケボックスを出ると、3人バラバラに学校に向かった。
 狂が校門をくぐると、ワンボックスが駐車場に止まっている。
 ワンボックスからは、7人の女性が降りて来て、食堂の方に向かって歩いていた。
 女性達は皆美しかったが、身体のどこかに欠損が有る者ばかりだ。
 彼女達は、伸一郎の家のメイド達だった。
 学校運営上どうしても、職員が必要で有り、それをまかなう為に、伸一郎のメイド達が働く事になったのだ。

 狂が何の気無しにその横を通り抜けると、ワンボックスの運転席から1人の女性が降りてくる。
「よう、どうした? 元気にしてたか」
 狂はその女性に気付き、ニヤリと笑って片手を上げて挨拶する。
 女性はペコリと頭を下げ、小走りに狂に近づくと
「その節は、大変ご面倒をお掛けしました」
 頬を染めながら狂に感謝した。

 狂に感謝したのは明日香である。
 明日香はモジモジと手を身体の前でこね合わせ、何か言いたげだった。
 狂はフゥと小さく溜息を吐き、携帯電話を取り出すと、明日香の身体に翳す。
 明日香の身体から、盗聴器の反応が検知されると、狂は顎をしゃくってワンボックスを示し、移動した。
 ワンボックスに乗り込んだ2人は、一番後ろの席に座り、狂はおもむろに明日香の上着を脱がせて、運転席に放り投げる。

 盗聴器が離れた事を確認すると
「おう、どう成った? 俺の言った通り命令されたか?」
 明日香に問い掛けると、明日香は顎をコクリと引き
「はい、私の身体を使って、何でも良いから聞き出せと命じられました」
 狂に報告すると、急に恥ずかしそうに頬を染めて俯いた。
 明日香は、自分の身体を使う事を前提に話をした事が、急に恥ずかしくなったのだ。

 狂はそんな明日香の態度をフッと鼻で笑うと
「どうした? お前の立場で、今更SEXが恥ずかしく成ったのか?」
 明日香を小馬鹿にした様な口調で言った。
 明日香はその言葉に弾かれた様に顔を上げ、狂に悲しそうな目を向ける。
 しかし、その顔を上げた瞬間、狂の唇が明日香の唇に重なり
「それとも、俺だから恥ずかしいのか?」
 口の中に、ソッと囁く様に送り込んだ。

 狂の言葉が明日香の口の中を満たし、その振動が頭蓋の中で木霊する。
 明日香の腰から下が、ストンと力無く床に落ち、ペタリと座り込んでしまう。
 狂がユックリと唇を離して、真正面から明日香の瞳を捉え、ニヤリと笑うと明日香の胸の奥が、キュンと締め付けられ
「は…い…」
 カラカラに乾いた唇から、掠れた返事が零れ、蕩けた表情で狂を見詰める。

 狂は明日香の顎に手を添え、親指で唇を優しく撫で
「良い表情だ…。興奮してるのか?」
 明日香に静かに問い掛ける。
 明日香はゴクリと唾を飲み込んで、喉の渇きを癒すと
「いえ…、はい…。あ、あの…解りません…」
 自分の状態がどう成っているのか、困惑しながら正直に答えた。

 狂は真っ直ぐに明日香の目を射抜き
「そうか、解らないのか…、俺が調べてやろう…。目を閉じて手を後ろで組め」
 明日香に静かに命令する。
 明日香の身体は、自分の意志が働く前に、狂の命令を受け入れ、後ろ手に組んで両目を固く閉じた。

 狂はそんな明日香の頬に手を添え、優しく撫でさすり
「頬が赤いな…」
 呟いて、首筋に手を当て
「脈拍も早い…」
 優しく撫でながら、唇に移動させ
「唇も乾いている…」
 唇を親指で、ソッと撫で上げる。
 狂の指が触れる度、手が撫でる度、声が降り注ぐ度明日香の背中は、ビクリビクリと痙攣する様に震えた。

 狂の手が明日香の髪の毛をソッと撫で上げ、ユックリと左の乳房に乗り、掌全体で包むと
「鼓動も随分早いな…」
 明日香に身体を寄せて、耳元にソッと囁く。
 明日香の唇がうっすらと開き、ハアハアと荒い呼吸が漏れると、狂の顔がスッと移動する。
 狂の鼻が明日香の頬に軽く触れながら、明日香の鼻に近づき
「牝の匂いがするぞ…」
 小さく囁くと、明日香の身体はガタガタと震え、太ももを摺り合わせた。

 狂の手が左の乳房から徐々に下がり始め、頂点に触れようとすると、明日香の身体は大きく震える。
 明日香の身体には、乳首が無いのだ。
 伸一郎の手により、犬小屋に閉じこめられ、犬達に喰い千切られたからだ。
(いや! 知られたく無い!)
 明日香の脳裏に一瞬その言葉が浮かぶと、それを感じた様に狂の手は、フワリと明日香の身体を離れ、その存在を消した。

 明日香はその瞬間、ホッと安堵するのと、触れられなかった切なさに襲われる。
 そして更に大きな喪失感を感じ、不安を抱いてしまう。
 だが、それは直ぐに別の感覚に洗い流される。
 狂の手がスッと明日香の太ももに降りて、ユックリと撫でながら
「良い身体だ…。いやらしくて、俺好みだ…」
 明日香の耳元に囁いた。

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