夢魔
MIN:作

■ 第31章 農場15

 女性徒達が奴隷教師を求める会話や光景が、学校のあちこちで行われ、教師の奪い合いが繰り広げられた。
 1番の人気は何と言っても最高ポイントの由香で、次が同じプラチナナンバーの恵美である。
 だが、管理者の元に依頼が殺到したのは、3番人気のプラチナナンバー直美であった。
 これは、恐らく管理者が大貫で、女生徒達も依頼しやすかった為であろう。
 だが、依頼が偏りすぎた為、黒澤は教頭とキサラに相談し、規制を設けた。

 それは基本的に依頼が出来るのは、クラスの担任に申し出ると言う物だった。
 ただ、この場合黒澤派の指導教師は、複数の奴隷教師を持ち対応出来るが、各学年末端のクラスには、奴隷教師すら持たない者も居る為、その者の救済措置として、クラスを超えて依頼出来る事に成った。
 但しその依頼も、クラス担任が[補習]が無理と判断し、他の教師に依頼する形を取り、依頼された教師が受けて、初めて[補習]が受けられる。

 この規制はあくまで依頼の偏りを制御するだけの物だったが、女生徒達には別の意味を持った。
 それはクラスのランクに対する物であった。
 A組に対する、絶大な憧れが女生徒の中で生まれる。
 各学年のA組に成れば、その他のクラスを従えさせ、尚かつ最高の指導者の指導を受けられるのだ。
 この状態を望まない者は、覚醒した者では先ず居ない。
 そして各学年のA組の者は、全員がそれを理解している。

 何故ならA組に居る者は、最低でも70%の覚醒率を持っているからだった。
 狂はクラス編成の基準を、覚醒率で振り分けた。
 上位25%の者を各クラスに振り分け、残りの75%をA組から順に編成した。
 その為A組の覚醒率はダントツで高く、末端のクラスに行く程、非覚醒者が多い。
 1番クラス編成の多い1年生を例に上げると、A組で80%、B組で70%、C組で65%、D組で60%、E組で55%の平均覚醒率である。
 E組の平均覚醒率が50%を超えているが、それは最初に振り分けられた、一握りの者の数値が殆どで、実質は30%程の者も多数居た。
 この覚醒率の差は、クラスの雰囲気に如実に現れ、白鍵の多さに現れていた。

 そして、女生徒間の間で、まことしやかに有る話が飛び交い始める。
 その話とはこのクラス編成は、1年間固定されている訳では無く、有る条件を満たすと替わる事が有ると言う内容だった。
 これは、まだ黒鍵以下の者には、秘密にされていた事だが、勘の良い者達が推測し、精査しあわせて辿り着いたのだ。

 そしてその推測は、ドンドン核心に迫り、とうとう黒鍵達にも公然の秘密とばかりに知れ渡った。
 更にその勘の良い女生徒達は、各クラス委員の存在の意味を理解し、近づき始める。
 こうして学校の奴隷農場化は、女生徒達自らの手でその速度を速め、覚醒が強く深くなる。
 そんな中、管理棟に設けられたロッカー室が機能し始める。
 管理棟の1階に設けられた全校生徒用のロッカーを、生徒達は必ず登下校時に確認する事に義務づけられた。
 ロッカーの中には、女生徒達に学校側からの連絡物が入っている。
 [補習]のお知らせから、[宿題]の内容、処罰の通達、成績表と様々な連絡物が入れられていた。
 女生徒達はその連絡物をある時は心待ちにし、ある時は項垂れ受け取った。

 このロッカーの中に入っている指令書や通達の類は、登校時には指令者の元に直ぐに出頭し、そこで指令に従い、指令書を指令者に返納する。
 下校時は指令者の代わりを風紀委員が行い、指令書を確認する。
 風紀委員はその指令書通りの行動を、女生徒達が取っているか確認し、確認済みのサインを行う。
 女生徒達は確認済みのサインを貰うと、翌日登校して指令者の元に出頭し、その指令書を返納する。
 これを怠ると、重校則違反に成り、きつい厳罰が加えられ首輪が剥奪される。
 それはこの学校内では、死を意味する。

 そしてその一喜一憂は、奴隷生徒の女生徒ばかりでは無く、管理者でも有るクラス委員にも当て嵌まった。
 調教教師にランクが有る様に、クラス委員にもランク付けが有る。
 それは、調教可能な奴隷生徒の数も、自分の役職変更などにも大きく影響し、そのランクの上がり下がりは死活問題だった。
 これらのランクをクラス委員達は調教ランクと言い、それを上げるのは、2つの方法が有る。
 黒澤、山孝、大貫の3教師とキサラを含めた4人の誰かに、見極めをしてもらいランクを上げるか、奴隷生徒を作るかの2種類の方法だった。
 見極めを受け、自分のランクを上げるのは、自分の調教ランクが上がるだけだが、奴隷を育てると役職ポイントにも加算された。
 だが、奴隷を育成する場合、どうしても時間が掛かって、複数の調教が可能なランクには届かない。
 その為にクラス委員達は、併用して自分の調教ランクを上げて行くしかなかった。

 更にその調教ランクには、[支配性]と言う物も含まれており、クラスの女生徒に対する管理能力も求められ、これが大きく調教ランクに影響する。
 つまり、管理するクラスの女生徒が風紀委員等に処罰を受けると、その都度ポイントが引かれるのだ。
 ポイントが引かれてランク落ちすると、銀鍵を付けた女生徒から、銀鍵が回収され黒鍵に代わる。
 女生徒達はそのロッカールームを出る時誰もが、一喜一憂する事から、[審判室]と呼ぶ様に成った。

 正にこのロッカールームは、生徒達の運命を握っていると言えた。
 その為このロッカーの管理体制は厳重を極め、悪用を避ける為厳密に管理される。
 10台の監視カメラが、24時間監視し、鍵を開けるとその記録がコンピューターにログとして残り、 誰がどの鍵を使って、どの番号のロッカーを開けたか、直ぐに解る仕組みになっていた。
 ロッカーの構造は密閉式の為、隙間から紙を入れたりも出来ない。
 これにより、指令ロッカーの悪用は、不可能となっている。
 [審判室]の管理体制は、こうして風紀委員会に守られていた。

◆◆◆◆◆

 ローザの調教を始めて2日が経ち、ローザも悦子の満足がいく仕上がりを見せた。
 ローザはその碧眼に意志の光を残しながら、悦子の前に正座している。
 正座するローザの表情には、怯えが色濃く表れていた。
「ローザ伏せ!」
 悦子が短く命じると、ローザは[はい]と大きく返事をし、サッとその身体を前に倒して、揃えた両手の上に自分の顎を乗せ、[伏せ]のポーズを取った。
 そのローザの身体の動きは、一瞬の躊躇いも無い速度で反応し、決められたポーズを作る。

 悦子がニッコリと微笑むと、緊張していたローザが、ホッと息を吐く。
 ローザが緊張を解くと
「ローザちんちん」
 悦子の次の命令が飛ぶ。
 ローザは再び[はい]と大きく返事をすると、身体を起こして脚をM字に開いて、身体の前を隠さないように、両手を曲げて肩の辺りで拳を軽く握る。
 それも流れるような素早い動きで、再び緊張しながら悦子を見詰めていた。

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