夢魔
MIN:作

■ 第32章 崩壊11

 話の内容は、当然3年B組に対する、風紀委員会の暴挙であった。
 3年B組の女生徒は、昼休み迄に既に20人の者が罪に落とされ、首輪を剥奪されている。
 重い話題に芳しくない状況の中、行われた話は打開策など見つからず、一向に進まない。
 その中で、黒沢が口を開いた。
「済まん。今は関係無い話かも知れないが、最近の中山悦子を見てどう思う?」
 黒沢の問い掛けに、山孝と山源が顔をしかめ、京本と大貫が意外そうな顔をし、大城が考え込むと、光子はキョトンとしている。
「どう思う…っと申しますと、何を感じるかって事で、宜しいですか?」
 大貫がスッと手を挙げ、発言すると
「ああ、それでも構わない。自分の意見を率直に言ってくれ…」
 黒沢が頷いて、大貫の意見に耳を傾けた。

 大貫は少し俯きがちに
「一言で言うと[変わった]ですね…。ええ、夏休み以前とは勿論違います。役職任命されてから、キサラさんの所に居る時と、今の中山は明らかに違います。攻撃性が増したと言うより、[タガ]が外れたような感じです…」
 悦子に感じていた事を呟くように告げる。
「ええ、それに加えて、情緒不安定に成ったとも思いますね」
 京本が大貫に賛同し、意見を告げると
「俺は、雰囲気だな…。言い方は悪いが、気が触れた奴の雰囲気に似てる…」
 山孝がボソボソと呟く。

 そんな中、大城がスッと手を挙げ
「私、先週の木曜日深夜に、小室先生と中山達が慌てて出て行く所を見たんです。その後、酷く成った気がして、仕方が無いんですが…」
 自分の目撃談を語ると、黒沢は大きく頷き
「総じて、中山が変化している事は、全員感じて居るんだな…。実は、私はその変化が、誰かに操られてると考え始めたんだ。それは、中山の状態が酷く不安定で、洗脳を受けている時に似ているからだ」
 自分の考えを、話した。

 それを聞いた全員が、呆気に取られ首を傾げると
「おいおい、黒沢先生。また、突拍子もない事を…。そんな事をして、誰が得するんです?」
 山孝が薄笑いを浮かべて、否定する。
「そうですよ、それにそんな事。簡単に出来る訳無いじゃないですか…」
 京本が山孝に賛同すると、黒沢が京本を見詰め
「だが、私達はそれを目のあたりにしたんですよ。この学校の奴隷化計画でね…」
 稔がした事を指摘すると、京本はハッとして頷いた。
「だ、だけど、そんな事に何のメリットが有るんです?」
 山源が黒沢に問い掛けると、初めて純が口を開く。
「この学校で、強い影響力を持てば、それは必然奴隷達にも影響力が出ます。そうした場合、多分理事長を裏切らせて、奴隷化した生徒を自分の持ったルートで、売る事も可能だからじゃ無い? この学校の奴隷達全部売りさばくつもりなんだから…。ここの理事長…」
 純は黒沢と大貫、大城にしか伝えていない情報を、全員に教えたのだ。

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