夢魔
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■ 第32章 崩壊33

 真は床に倒れ、身体がピクリとも動かないまま、[犬]にされた金田に犯され続ける弥生を見ていた。
 黒沢と山孝は、2発目の麻酔弾を打ち込まれ、まだ昏倒中で有る。
 大貫は研究員達に、催淫剤を投与され両手を拘束されたまま、研究員達の玩具にされていた。
 そんな中、時計が6時を示して分院内にアラームが鳴り響き、研究員達の動きが止まる。
「おお、もうこんな時間か、この女のオ○ンコの具合が良すぎて、時間を忘れちまった」
「ああ、この屑は動きすぎる程動くからな、俺もこっちの女の方が、好みだ」
 もう1人の研究員が、弥生の頭を踏みつけ、薄笑いを浮かべ同意した。
「おいおい、仕事が先だぜ。こんな美味しい仕事クビに成って良いなら、さぼれば良いけどよ俺を巻き込むなよ」
 もう1人の研究員が、バインダーを手に2人に告げると
「おう、違いない」
 1人の研究員が同意し、弥生の頭を踏みつけた研究員が
「だけどよう、アレかなり邪魔だぜ…」
 真達3人を指さした。

 真達は未だ鉄格子の奥。
 倉庫内に放置されていたのだ。
「おい、取り敢えずこいつ等動かそうぜ、こんなの居たら、荷物の搬出に機械が使えない」
 研究員が告げると、全員が同意し真達を分院内に引きずり込む。
 真達に拘束具を付けた研究員が、バインダーに書かれた薬を、いくつかのグループに分け、搬出口のシャッター前に並べる。
 竹内達は、真の秘伝の調合と弥生の知識で作り上げた媚薬を、売り捌いていたのだ。
 荷物を並べ終えた、研究員はそのまま、3人で下らない会話をし、時間を潰す。
 時刻が6時半に成ると、インターホンが鳴って研究員はシャッターを開けた。

 その時真の口から、ゴポリと吐瀉物が吹き出し
「黒沢さん…。用意は良いですか…?」
 小声で黒沢に問い掛ける。
 すると、その声を聞いた黒沢の目が、スッと開いて
「ええ、問題無い。この程度の拘束具で、私を無力化する事は出来ませんよ」
 真に小声で囁いた。
 真は[気]を身体に走らせ、体内に散った筋弛緩剤の薬効成分を、胃の中に集め排出し、黒沢は拷問吏の訓練で、薬物などの耐性を強化されている。
「シャッターが閉まり次第、行動を起こしましょう…」
 真の言葉に
「いえ、少し待って下さい。恐らく報告を入れる筈です、それを待ちましょう」
 黒沢が反論して、2人は眼で頷き合った。
 2人は鉄格子で区切られた倉庫内から、分院内に入り込むチャンスを、ジッと待っていたのだった。

 研究員がそれぞれ荷物を受け渡しして、シャッターを閉め分院内に戻る。
 1人の研究員が直ぐに電話に向かい、もう1人の研究員は大貫を抱え上げ、最後の研究員が注射器を手に取った。
 弥生に投薬する催淫剤。
 その濃度は今度は40%に成っている。
 真がその注射器を見て、目を見張った。
(くそ、これ以上の投薬は、本当に弥生が死んでしまう…)
 真の身体が反応し掛けたが、それを黒沢が必死の目線で止める。
 報告をしている研究員が、まだ会話を続けていたからだ。

 弥生の手を取った、研究員が
「これで、お前が死んだら、賭は俺の勝ち。あいつ等から、千円ずつ貰える…へへへっ」
 ニヤニヤ笑いながら、弥生の命を賭の対象にし、それに自分が勝つ事を喜びながら、針を突き立てる。
 報告をした研究員が受話器を置き
「おい、それ本当に40%だろうな? せこい事するなよ…」
 そう言いながら、弥生の腕に注射器を立てた研究員に呟く。

 だが、2人ともその次の言葉を、発する事は無かった。
 カチャと受話器が下りる小さな音を聞いた瞬間、真と黒沢の身体が跳ね上がり、それぞれの相手に、飛び掛かる。
 報告をした研究員は、黒沢にこめかみを蹴り抜かれ、一瞬で意識を頭の外に弾き飛ばし、クタリとその場に崩れ落ちた。
 弥生の腕に針を突き立てた研究員は、真に胸板を双掌で打たれ、肺が痙攣を起こし呼吸が出来無くなる。
 大貫を抱え上げた研究員は、何が起きたか全く理解が出来ず、オロオロすると大貫に腕を取られて、あっと言う間に投げられ、頭から床に激突し昏倒した。
 分院は2秒と掛からず、真達に占拠される。

 真は弥生に取り付き、抱え上げると
「弥生! 弥生大丈夫ですか…?」
 必死の形相で弥生に問い掛ける。
「あ…、く…、ふぅ〜…。あ〜…し…ん…さま…。わたし…ゆ…め…みて…る…。か…み…さま…、わた…し…の…ね…がい…きい…て…くれた…の…」
 弥生は朦朧とする意識の中で、真を認識するが、それが現実か夢なのか把握出来て居なかった。
 弥生の意識は薬物により、混濁を始めていた。

 真は弥生を抱え上げると、2階に上がり自分の為に作られた道場に向かう。
 道場の扉を開けると、そこには13・4歳ぐらいから、27・8歳ぐらいの女性達が詰め込まれていた。
 その数は6人。
 全員が何某かの人体改造を受けている。
 猫にされた高校生、豚にされた女性、1mを超す乳房を持った中学生、乳房が縫われて1つに成った女性、様々な人体改造が行われ、女性達は押し込められていたのだ。
 その女性達は、皆真の乱入に驚くが、一切声を発しない。
 だが、真はそんな事に訝しむ間も惜しんで、女性達を道場から出して、弥生と中に入る。

 真は道場の真ん中で、結跏趺坐を組、弥生を抱きしめた。
 真は真言を唱えながら、触れ合う場所全てから弥生の身体に、気をユックリと染みこませる。
 弱り切った弥生の心臓には、大量の[気]は毒になってしまう為、先ずそれに耐えられる処置が先決だった。
 だが、その処置が間に合わなければ、弥生の心臓は止まってしまうだろう。
 弥生の状態は其処まで切羽詰まっていた。
 真は肌で弥生の呼吸、心臓の鼓動を確かめながら、弥生の身体に気を流し込む。
[気]の量が多過ぎても駄目、少な過ぎても駄目、ギリギリのコントロールをする真。

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