夢魔
MIN:作

■ 第32章 崩壊37

 稔の治療を受けた悦子は、地下2階の調教ブースに居た。
 悦子は入れ墨を入れ終わった、谷を帰した後、7人の少女に取り付き涙する。
「ご免なさい…。本当に、ご免なさい…」
 人格を奪われ、全身に入れ墨を入れられた6人と、最初の犠牲者久美に、悦子は心から謝罪した。
「悦子様…。悦子様も被害者なんです…。そんなに、心を砕かれては…」
 薫が悦子を心配して、取りなそうとすると
「いいえ…これは、私の願望…。それを、際限無しに顕したのが、この子達なの…。これは全て私の罪なの…」
 悦子はガックリと肩を落とし、薫に告げる。

 薫は悦子の言葉に、グッと言葉を飲み込み、悦子を慰める言葉を探すが、一向に出て来なかった。
(これは私の罪でも有る…。悦子様の暴走を知っていながら、何も出来なかった…。いえ、何もしなかった私の罪…。悦子様…私も悦子様と同じ罪を背負います…)
 薫も項垂れ、悦子と7人を見詰める。
 そんな時、調教ブースの電話が鳴って、薫が電話に出ると、その電話は人形の搬入を促せる物だった。
「悦子様…そろそろ、お時間だそうです…」
 薫が悦子に、静かに告げると、悦子は俯いたままコクリと頷き
「こちらを向きなさい。お前達に指示を与える」
 人形に向かって、悦子は命令をする。

 7体の人形は、一斉に悦子に顔を向ると、ジッと意志の通わぬ、ガラス玉のような瞳で見詰めた。
 悦子はその視線を受け、自分の犯した罪を強く感じながら
「お前達は、今日は覚え込んだ全てを使い、眼にする男性全ての命令に従いなさい」
 稔に言われた指示を人形達に伝える。
「はい、解りました悦子様…」
 人形達は悦子の命令に、何の抑揚もない声で答え、それぞれ得意とする笑顔を浮かべた。
 清楚な微笑み、艶然とした微笑み、可憐な微笑み、挑むような微笑み、照れた微笑み、誘うような微笑み、あどけない微笑み、それぞれが、醸し出す雰囲気を強調する微笑みを浮かべ、人形が表情を固める。

 悦子はその表情を見て、唇を噛みしめた。
(私が奪った…。この子達の本当の微笑み…)
 悦子は自分の中に起こる、後悔の念を押し込め、自分のするべき事に意識を向ける。
 彼女達は[自動人形]として、パーティーに並び、その存在価値を伸一郎に見せつける。
 しかし、それをすれば、当然の如く少女達が伸一郎に取り上げられてしまう。
 それを避ける為に、少女達に特別な指示を与え、彼女達が[未完成]だと伸一郎に思わせる。
 これが、尤も彼女達に被害が及ばない方法だと、稔に教えられた。
 悦子はこれ以上、少女達を酷い目に逢わせたく無かったが、もし無反応を指示すれば、[失敗作]として伸一郎の性格から[廃棄処分]を言い渡される可能性を指摘され、悦子は稔の言葉に従う。

 悦子と薫は少女達に、パーティー用の衣装を着せ、自分達も着替えると
「お前達は、今日は絶頂を迎える時、全ての表情を消しなさい。感情を示さず絶頂を迎えるのよ」
 稔に指示された、特別な命令を伝える。
「はい、解りました悦子様」
 7人の少女達は、それぞれの微笑みを浮かべ、欲情を誘うような声で悦子に答えた。
 7人の少女は[自動人形]のスイッチが入り、どんな命令に従う[SEX人形]に変わっていた。
 悦子は痛ましい視線で、少女達を見ると
「行くわよ…」
 小さく呟き、調教ブースを出る。
 7体の[自動人形]がその後に続き、一番後ろに薫が従う。
 時刻は19:10。
 パーティーの開始迄、もう1時間を切っていた。

◆◆◆◆◆

 共同調教ブースでは、10人の少女達が、訓練の仕上げを行っていた。
 拓人と慶太は、部屋の隅に足を投げ出して座り、反対側の壁際に6人の[サーバー係]が立ち、部屋の中を4人の[ビール係]が這い回っている。
 慶太が合図をすると、歩美がお尻を垂直に立てながら這い寄り
「おビールお注ぎします」
 床に額を擦り付け挨拶をすると、クルリと身体を回転させ、お尻を向けて腰を後ろに突き出す。
 すると、股関節を支点にお尻が下がり、ビール瓶が少し傾斜する。
 歩美はそのままの角度を維持しながら、腰をくねらせビール瓶の口でコップの位置を探し、[カチン]と音を聞いて見つけると、今度は腰を捻りながら、膝を伸ばす。

 歩美のアナルが咥え込んだビール瓶は、口の部分を支点に綺麗に持ち上がり、トクトクと音を立てコップにビールが注がれた。
 歩美は音と感触で察知し、直ぐに膝と腰を使い、ビール瓶の傾斜を緩めると、今度はチョロチョロと注ぎグラスを満たす。
 グラスを満たした歩美は、素早く腰を反らせてお尻を上げ、ビール瓶を垂直に立てた。
 慶太の手に持たれたグラスには、泡が3に対してビールが7と言う、理想的な量が納められていた。
 歩美の身体がクルリと回転し、再び床に額を擦り付けると
「失礼しました」
 慶太に一礼して、その場を去って行く。

 慶太は手に持ったグラスを床に置き、次の空グラスを手に取ると、桃香が同じように這い寄って来て、歩美と同じようにグラスを満たす。
 慶太はそれを何度も繰り返し、4人のビール瓶が空に成るまで続ける。
 4人は1本のビール瓶がどれだけの量に成ろうと、一度も零さず3対7の比率で注ぎきった。
 慶太はその結果を見て、満足そうに頷き4人を呼び寄せ
「完璧だ。アユ、モモ、シズ、シノ…。本番も、この通りに頑張るんだぞ」
 褒めながらビール瓶を引き抜くと、ポッカリと口を開けたアナルに、薬を塗り込んでやる。
 4人は慶太の名前を呼びながら、悶え絶頂を迎えた。

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