夢魔
MIN:作

■ 第32章 崩壊55

 稔達はそれぞれに別れ、5台のワンボックスと1台のトラックを分院に集める。
 庵は先に単独で病院に行き、モルモットにされた人々の診察を準備させる為、先行させた。
 トラックに薬物を全て詰め込み、5台のワンボックスにそれぞれ分乗する。
 黒沢がトラックを駆り、真、山孝、大貫、弥生、稔がそれぞれハンドルを握る。
 稔達は乗せている者が人目に付くのを避け、人通りの少ない旧街道を進む。
 人体改造を受けた者達は、椅子に座るのが辛いようなので、フルフラット状態で車に乗せた。
 稔が操る車に、金田が乗り倒した助手席に蹲り、稔に頭を撫でられている。
「満夫…辛い思いをさせました…。でも、これからは大丈夫です。僕がキッと、満夫の身体を何とかします。世界中の名医を集めて、必ず何とかします…」
 稔は低く優しい声で、金田を撫でながら告げる。

 金田はその言葉を聞き、嗚咽を漏らして咽び泣く。
(稔様…稔様…。私は幸せ者です…、こんなお方に、こんなに優しい声を掛けて頂けて…。本当に幸せ者です…)
 感涙に更ける金田を心配そうに、人体改造された5人が見守る。
 だが、それ以上にルームミラーに映た眼や、時折金田を覗き込む稔の端正な横顔を見詰め、ウットリとしていた。
「梓も、美香も、美紀も心配していました。今日は親子4人でユックリと休んで下さい」
 稔が金田に告げると、金田の身体がビクリと震え、悲しそうな表情をする。
(ずっと逢いたいと思っていたが…、今では逢わずにいたい…。元々醜い顔だったのに…、今では、化け物だ…。こんな私を見せるなんて…。こんな私があの美しい人の夫だなんて…。あんな美しい娘達に、父親と呼ばれる資格は無い…)
 金田の気持ちは良く判るが、それは金田だけの気持ちであり、梓達がどう思うかとは別物だと、金田は気付いていない。

 ましてや、今の金田は優しさに満ちあふれ、義侠心を持ち、揺るぎない意志を手に入れている。
 そんな内面を見抜けない、梓達では無かった。
 逆境に巻き込まれ、男ぶりが上がった事を、金田は自分で理解していない。
 稔はそんな金田の葛藤を理解しながら、優しい微笑みを浮かべ、金田の頭を優しく撫でる。
 それを羨ましそうに見詰める5人の女性。
 この不思議な少年の魅力に、完全に絡め取られてしまっていた。
 稔はこの時まだ美香が掠われ、梓と美紀が警察で事情聴取を受けている事を知らない。
 警察は、金田の失踪と美香の拉致が、同一の事件の物だと考え、梓にも事情聴取を行ったのだ。
 その早期解放に、溝口が奔走しているが、警察は一向に解放に応じない。

 その警察署の所長室に、一通の書類を持った男が居た。
 所轄署の榊原だった。
「と言う訳で、この金田梓は、金田満夫病院長の失踪に深く関わる参考人なんです。これは、正式なウチの署長からの[引き渡し依頼書]です」
 榊原は警察内のネットワークを使い、梓と美紀がこの署に拘束された事を突き止め、自分の署の所長を丸め込み、身柄を掠いに来たのだ。
 ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべて、榊原は書類を署長に差し出す。

 署長は苦虫を噛み潰した表情を浮かべながら、書類に目を通し
「まぁ、正式な要請書だし、私に文句は無いが、厄介な事には成らないだろうな…」
 榊原に問い掛けると
「これを飲まない方が、多分厄介な事になると思いますよ。何せウチの署長は、貴方と違って怖い物無しだ…。どんな仕返しするか解りませんよ…」
 榊原は嫌な笑いを強め、署長に告げる。
 署長はしかめっ面を更にしかめ、受け渡し書に判を押した。
 時刻は21:45、榊原は満面に笑顔を浮かべ、書類を受け取った。

◆◆◆◆◆

 パーティーは興奮度を高め、いよいよ女教師達の処罰に入り始める。
 キサラがツカツカとヒールの音を鳴らしながら、晒し台に近付くと、サテンの布地を一気にはぐる。
「さあ、そろそろ皆さんのお待ちかねです、どうかご存分にお嬲り下さい」
 キサラがそう宣言して、女教師達の身体を見せる。
 女教師達はそれぞれ隣同士で足首と膝を繋がれ、M字開脚で藻掻いていた。
 それだけでは無く、女教師の股間には金属製の棒が刺さっており、それは足下のバーに繋がっている。
 いわゆるT字バーであった。

 足下の金属棒には、それぞれ3本のワイヤーが伸びており、内2本は首枷に付いた小さな滑車を経て乳首に伸び、もう1本は真っ直ぐクリ○リスに伸びていた。
 そのワイヤーの先には、かなり特殊な鰐口クリップが付いており、両側の端を持つとクリップが開き、ワイヤーを引くと、クリップが閉まる仕掛けになっている。
 そして、尤も重要な仕掛けは、T字バーの先端に付いたセンサーで、オ○ンコをキッチリ10sの力で締めなければ成らない。
 これが緩むと、真ん中のワイヤーが巻き取られ、締まりすぎると両サイドのワイヤーが絞られる。
 センサーの働く対象者は1辺に1人で、合計3人の誤差で動き始める。
 3人全員が緩んでいた場合、その合計誤差分ワイヤーが巻き取られた。
 巻き取り量は1g1pでs単位で間違えると、敏感な肉豆を尖ったペンチで摘まれるような圧力が掛かり、尚かつ引っ張られる。
 これは、かなり地獄の苦しみである。

■つづき

■目次4

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊