夢魔
MIN:作

■ 第33章 終幕13

 稔が学校から戻ると、美香が出迎える。
「お帰りなさいませご主人様…」
 美香が玄関の土間に降りて、折り目正しく平伏する。
「ただいま美香。もう具合は良いのかい?」
 稔がにこやかに微笑み、美香を立たせると
「はい、お陰様で、もうすっかり…。まだ、真様には使用を止められていますが、直ぐにでもお使い頂けます」
 美香も華の様な笑顔で、稔に答えた。
「真さんが[駄目]と言ってるなら、それは駄目何だよ…。もう少し我慢なさい…」
 稔はそう言いながら、美香の頬に優しい口吻をする。

 美香は嬉しそうに、微笑みスッと稔の鞄に手を伸ばす。
「これは、良いよ…。僕が持つ…」
 稔が美香の身体を心配して、鞄を引くが
「ですが…それでは、私の役目が…」
 美香が悲しそうに、稔を見上げて、懇願すると
「解りました…じゃ、僕は別の物を持ちましょう」
 微笑みながら、美香にスッと鞄を差し出す。
 美香は嬉しそうに、稔の鞄を持つと、稔は美香の側面に周り、フッと美香を抱え上げた。
「僕は、この大切な物を持っていきますね」
 美香にニッコリと微笑んで、優しく告げる。
 美香は一瞬驚き、恥ずかしそうにはにかむと、稔の胸に頭をもたせ、幸せそうに微笑んだ。

 稔が美香をリビングのソファーにソッと下ろすと、バスルームの方から元気な声が聞こえてくる。
「パパもう! 駄目だって〜。逃〜げ〜な〜い〜の〜…。早く洗わせなさい〜」
 美紀が金田と、なにやらやっている様だ。
「良い…、そこは、良いから、梓に、してもらうから」
 金田はかなり、音声装置を使いこなせる様になり、会話もスムーズに成っていた。
 バタバタと暴れながら、全裸で泡まみれの金田がリビングに入ってくると
「あ、稔様、おかえり、なさい、ませ」
 稔を見つけて、挨拶する。
「ほら、逃げないでよ〜」
 大きな声で、金田を怒りながら、美紀も全裸に泡だらけでリビングに入って来た。

 美紀は稔の姿を確認すると[あっ]と驚き
「お帰りなさいませ、稔様」
 急いで平伏し、稔に挨拶する。
「何を騒いで居るんですか?」
 稔がクスクス笑いながら、美紀に問い掛けると
「あ、はい。パパが私にお尻の穴を洗わせてくれないんです。[ママじゃなきゃやだ]って言うんですよ」
 美紀は頬を膨らませ、稔に抗議した。
 稔は再びクスリと微笑むと、美紀を手招きし美香の横に座らせる。

 稔は鞄の中から、赤い箱を2つ取り出すと
「貴女達に、受け取って欲しいんですが…」
 美香と美紀にそれぞれ差し出す。
 美香と美紀はその箱を見詰め、目を大きく見開き、両手を口に当てブルブルと震えていた。
 その赤い箱は、自分達が夢にまで見た、あの箱だった。
 美香と美紀は震えながら、稔の手からその箱を受け取ると、稔の顔を見詰める。
 その目には、[開けても良いですか]と伺いの言葉が織り込まれていた。
 稔は2人に優しく微笑み頷くと、2人は殆ど同時に箱を開けた。

 そこに有ったのは、以前目にした物と違うプラチナピアスが入っていた。
 基本的なデザインは、以前の物と変わらないが、その繊細さが格段に違っていた。
 そして、散りばめられている、宝石類の数も大きさも違う。
 明らかにグレードアップされた、ピアスがそこに有った。
 美香の右のピアスのプレートには[MIKA]と彫られ、美紀の左のピアスのプレートには[MIKI]と彫られている。
 そして、美香の左のピアスと美紀の右のピアスには、プレートに[MINORU]と彫られていた。
 チョーカートップには、デザインされた大文字の[L]に[ove’s]と小さく彫り込まれていた。

 美香と美紀はそれを見て、震えが強くなり稔の顔を見詰める。
 その目には涙が溢れ、表情は[言葉を探そうとするが、見付からない]そんな感じだった。
「庵がね…、向こうにいる間、作ってくれてたらしいんです…。僕に渡す時[こうなると思ってました]って言われました」
 稔が頭を掻きながら、はにかんだような微笑みを浮かべ、2人に告げると美香と美紀は崩れるように、ソファーから滑り降り床に正座する。

 2人はそれぞれの箱を大切そうに太股の上に置き、上体を屈めて稔の足に口吻し
「有り難う御座います…、美香は死ぬ程嬉しいです。美香の全ては稔様の物です。どうか、命尽きるまでお側でご奉仕させて下さい」
「有り難う御座います…、美紀はこの世で一番の幸せ者です。心から尊敬するお方に、生涯を捧げて尽くせるなんて…まるで夢のようです」
 稔に感謝の気持ちを伝えた。

 稔は2人に顔を上げるように命じると、自分もしゃがみ込み、2人の首に両腕を回して、キュッと抱きしめ
「僕の大切な2人…。愛しているよ…」
 2人の顔を引き寄せ、耳元に優しく囁いた。
 美香と美紀は稔にしがみ付き、声を出して泣き稔に答える。
 稔は2人を暫く抱きしめると、少し身体を離し、
「ピアスは梓が帰ってきてから付けるかい?」
 2人に問い掛けた。

 2人は稔の顔を見詰め、ブンブンと顔を左右に振り、稔に箱を差し出すと
「今すぐ全部付けて下さい」
 声を揃えて稔に即答した。
 稔は苦笑して、貞操帯の取り付けは[完全に傷が治ってから]と、2人に告げる。
 2人はシュンと頭を項垂れ、不満を表したが、稔の優しい口吻で直ぐに気持ちを切り替えた。
 美香と美紀は稔にピアスを付けて貰い、その姿をお互いが見詰める。
 キラキラと光る、お互いの両乳首とクリ○リスのピアスを見て、感激に浸る。

 稔が2人に手を差し出すと、2人はその手を取った。
 その時2人は、稔の指に嵌められた物に気付く。
 2人はそれを見詰めると、稔に問い掛けた。
「ご主人様…、これは…」
 稔の両薬指には、白百合が彫金された1p程の太さの指輪が嵌められ、右の指輪は[MIKA]、左の指輪は[MIKI]と2人の名前がデザインとして彫金されていた。
 稔は2人に向かって、微笑むと
「うん、お揃いだよ」
 優しい声で、2人に告げる。
 2人はその言葉に涙を湛え、指輪に頬摺りした。

■つづき

■目次5

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊