夢魔
MIN:作

■ 第33章 終幕21

 篤、悟、整の3人は、人体改造を受けた者やメイド達の治療をしながら、1人ずつ交代で用務員として学校に詰めるように成り、3人の人生は変わり始める。
 篤は、初めて学校に登校しそのデタラメさ加減に、驚いた。
 それは女教師達の美しさで有り、女生徒達の可憐さで有った。
 そして更に、その美しい女性達が朝っぱらから、あられも無い姿を晒し、性技に磨きを掛けて居るので有る。
 女生徒達は、まだ見ぬ新しい主人達に服従を受け取って貰う為、必死に身体を鍛え、性技を身に付ける。

 女教師達は女生徒達にアドバイスし、身に付けた性技を披露する。
「な、何なんですか…この学校…」
 篤がボソリと呟くと
「驚いたでしょう…。彼女達は、皆さんマゾヒストで、全員それを受け止め、学校はそれをサポートして居ます。篤も性技指導を求められるかも知れませんが、暫くは全体を見て理解するまで、控えて下さいね」
 真が説明すると、篤は曖昧に返事を返すので、いっぱいだった。

 そんな真の前に1人の女教師が俯きがちに、小走りで駆け寄って来る。
「あっ…。お、おはよう御座います…」
 真の前に現れた、女教師は白井だった。
 真はスッと表情を引き締めると
「おはよう御座います」
 固い声で、挨拶を返す。

 白井はそんな真の声を聞き、顔を跳ね上げ、悲しそうに見詰め、がっくりとうなだれる。
 真は催眠で操られて居たとは言え、美由紀を虐め抜いて、酷い目に会わせた白井が、未だに赦せなかった。
 それに、白井の我が儘が強い、攻撃的な性格も大嫌いだった。
「白井先生…。私は、やはりあなたの攻撃的な性格を受け入れる気に成りません。申し訳有りませんが、あなたのご希望には、添えかねます」
 真は白井に頭を下げ、白井の希望[SEXの相手をする]をキッパリと断った。

 白井はがっくりと肩を落とし、廊下にへたり込むと
「忘れられ無いんです…。源様にされたSEXが…! 誰を相手にしても、満足出来ないんです…。お願いします…、何でもしますから…。便所代わりで構いません…。SEXして下さい、お願いします…」
 床にひれ伏して懇願する。
 真はふぅと溜め息を吐くと篤をチラリと見て
「白井先生…。実は、私も有る事情で、今は[気]のコントロールが、上手く出来なく成ってしまって居るんです…。今この状態で、あなたのお相手をするのは、非常に危険なんです…」
 真は自分の事情を語り、白井を相手に出来ない事を語る。

 只でさえ[気]を操るのは、自分のメンタルが関係する。
 その上[邪気]を取り込んでしまった真は、自分の嫌いな者を相手にして、暴走する事を恐れたのだ。
 この事により、白井は真に相手をして貰え無い事を理解し、絶望に染まる。
 だが、真はその後、白井に思わぬ申し出をした。
「ですが、私と同じ技術を持った者を紹介する事は、出来ますよ…。彼がそうです」
 そう言って篤を白井に紹介する。

 いきなり振られた篤は驚きを浮かべ、真を見詰めるが、直ぐに白井に視線を戻す。
 篤は白井の幼い容貌の中に覗く、妖しい蛇のような雰囲気を見抜いていた。
 その上で、篤は白井に惹かれる自分に戸惑う。
 篤は人一倍、苦行を好む努力家だった。
 真はこの学校に来る迄、篤をそう見ていた。
 だが、マゾヒストを身近に見て、触れた真は篤の性癖に気付いた。
 稔の心理テストの結果を見て、納得もする。

 その上での紹介だった。
 白井も顔を上げ、篤を見詰めると、ドキリと胸を高鳴らせ、おずおずと頭を下げ挨拶をする。
 篤が頭を下げながら
「私で良ければ…、お相手致しましょう」
 掠れる声で白井に告げる自分の声が、どこか遠くから聞こえたように錯覚する。
 いつの間にか、白井の手が篤の手を握り、呆けた表情で篤を見詰める。
 白井は真に視線を向けると、ぺこりと呆けた顔のまま頭を下げ管理棟に篤を導いた。
 篤はそのまま、午前中真の前に姿を見せなかった。

 昼休みに昼食を摂りに来た篤の腕には、白井が艶やかな顔にウットリとした表情を浮かべて、ぶら下がるようにベッタリと寄り添って居た。
「真さん…。俺…、今なら真さんの気持ち…、理解出来ます…」
 篤は真の顔を見る成り、真剣な表情で真に告げる。
「白井先生…。どうです? まだ、私に抱かれたいですか?」
 真が白井に問い掛けると、白井はブンブンと首を左右に振り
「篤さんが良いです! もう、この方だけで…。いいえ、この方じゃなきゃ嫌です…」
 白井は泣きそうな顔で、真に告げた。
「篤は多分あなたと同じ性癖の方には、最高のパートナーだと思います。1人締めは、駄目ですよ…」
 真が釘を差すと、白井はギュッと篤の腕を掴み
「篤さん…。他の方にも、あんな事されるの…」
 泣きそうな顔で、問い掛ける。
 その顔は、底意地の悪いサディストでは無く、恋する乙女のようだった。

 篤は寂しそうな顔で
「これも、修行の一環です…。良子以外とも、肌を合わせるのは、仕方無い事なんだ。でも、最後は必ず、良子を抱きたいと思っている…」
 白井に告げる。
「篤さん…。嬉しい…。私いつまでも待って居ます。だから、最後は必ず私を抱いて下さい…」
 白井は薄く涙を湛えた目で篤を見詰め、はにかんだ微笑みを浮かべ囁いた。
 白井は完全にそのキャラクターを変えてしまった。

 暗示を解いた稔の力も大きかったが、何より篤の技術と体力、それに性癖で白井の性欲を心の底から満たした事が原因だった。
 白井は今迄性欲を満たされ無かった為、慢性的な欲求不満に陥って居た。
 それが性癖に拍車を掛け、暗示が歯止めを奪って居たのだ。
 今白井は、その根本的なマイナス因子が霧散し、心の底から満たされ、落ち着いて居た。
 それを与えて呉れた、篤が愛しくて堪らない。
 そして同時に篤に絶対に嫌われたく無かった、こうしてマゾヒストが主導のカップルが一組誕生した。

 この後性格の変わった、白井を見た父親が、猛烈な攻撃で篤を婿養子に迎え入れる。
 その縁組みの為、白井の父親は宗派の寺院を新しい御山の中心に建て、宗派移転の為の問題を解決してしまった。
 篤は[白井 篤]と名前を変え、純の会社と提携を結び白井興産を躍進させる。

 悟はその優しい容貌、整は少年のような無邪気さで、女生徒達や女教師達の間で爆発的に人気を得た。
 その噂を聞き付けた、キサラが都内から飛んで来た。
「真ちゃ〜ん、酷いじゃ無い〜。新しい子が入ったんなら、紹介してよね〜」
 キサラは真に抱き付き、その丸い身体を撫でまわし媚びを売る。
「どこから聞いて来たんですか? 貴女にだけは、知られたく無かったんです。まだ、町に慣れて居ませんから、妙な事は吹き込まないで下さいね」
 真は表情を曇らせ、キサラに釘を差す。

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