三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第三章 女子寮で……4
「あと、彼はけいこと同じ学科の…」
さちこは“キモメン”を示して言ったが、彼の名前は聞き取れなかった。ちょうど後ろから来た、背の高い黒髪のショートカットの女子(もちろん全裸)が、
「あ、ちょうどよかった。洗って、洗って」
というようなことを言ってそいつを引っ張って、浴室に連れて入って行ったので。
う〜ん、やっぱり“ここは女湯だから女子しか入れない”ということはなさそうだ。
四人になったところで、隣では、すすむが持っている服を廊下に落として、キスしながらさちこを押し倒そうとしていた。
「あぁん、ちょっとまってくださいよ。私セックスしたばっかりでこれからお風呂入るんだから。すすむさんも入るんでしょう。一緒に入ろう」
すすむが答えるのもまたず、さちこはすすむの手を引いて浴室の中に入った。
「まさるさん、一緒に入っていただけますか?」
けいこは、まっすぐ僕の目を見て言った。
「は、はい」
ここはそう答えるのがよさそうだ。
僕とけいこは手をつないで扉をくぐった。
扉をくぐると“脱衣所”だ。でも、皆すでに脱いでいるので、脱衣所としての役割はなかった。ここも廊下と同じように絡み合う男子と女子の熱気であふれていた。ここは廊下のカーペットと違い固い床なので寝そべっている人は少なく、立って抱き合い、キスし合い、触りあっていた。
脱いだ服をどこかにおかなくてはならない。が、脱衣籠はいっぱいだった。脱衣籠にはさっきの“3SE”みたいな、区画か部屋を表すらしい数字とアルファベットの記号がついていて、所定の場所があるようだったが、当然僕らにはわからなかった。
「おい、すすむ、服どうしよう?」
僕は前にいるすすむをつついて、小声で聞いた。
「その辺に置いとけばいいんじゃないか?」
そういってすすむは隅のほうに服を置き、靴下を脱いで同じところに置いた。僕もならってそうした。
けいこは腕を組んできた。
「まさるさん、学科はどちらなんですか?」
僕は所属学科を言った。けいこも言った。偶然、同じ学部の隣の学科だった。
同じ学部の後輩なら教養科目とか結構同じ先生だったりする。そのネタで話し始めることができた。
けいこは、話しながらもう一度僕に軽くキスをしてその先の、風呂への扉を開けた。
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