三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第三章 女子寮で……18
僕とあいかは、それぞれの定食を持って、あいていた隣り合わせの席に座った。
学食もしょぼいが、ここの定食はごはん、味噌汁、ハンバーグ、簡単なサラダ、くらいしかない、学食以上に品数の少ないものだった。
まあ、お邪魔している身だから言えないが…
「いただきます」
あいかは丁寧に挨拶して食べ始めた。
二口くらい白身魚フライを口にしたあいかは、突然僕の唇にキスをして、口の中のものを僕の口の中に入れた…うん…白身魚フライの味だ。
「ハンバーグちょうだい」
唇を離し、白身魚を飲み込んだあいかは、顔をこちらに突き出していった。
まわりをみると、全員ではないが、口の中のものを交換し合っているらしい男女が何組か見つかった。
僕はハンバーグを二口くらい食べて、あいかの口に入れた。
ここの人達は、こうして品数の少ない定食でいろんな味を味わっているらしかった。
僕たちはこんなキスを何回も繰り返した。何か、平凡な定食がすごく妙に見えてきた。まあ、二種類食べたことになるからいいか。
目の前の席に人が来た。
「おう、まさる!」
すすむと、しほだった。 すすむとしほも、僕とあいかと同じように、互いに違う定食を持っていた。
「定食まだ二つともあった?」「うん、何とか」
あいかとしほは、そんな何気ない会話をしていた。
しほも、すすむに自らの定食を口移ししていた。すすむも返した。ただ、それは見ている限り一回づつだった。
「聞いた話なんだけど」
ふいにしほが話し始めた。
「男子寮のあるユニットの連中が、女体盛りを今日やるらしくて」
「へえ」
前の世界のしほだったら、ここで“とんでもない、女性を何だと思っているの!”とか言っていたと思うのだが、ここではどうなんだろう?
「女性を何だと思っているの!」
この世界でも、そう言うのか。意外だ。
でも、この後の言葉は、前の世界ではおよそ考えられなかったものだった。
「絶対、男体盛りもすべきよ!」
「あ、それおもしろそう」
あいかがそう言った…なんたいもり、っていう言葉があるのか…しかも、あいかまで同調するとは…
このアイディアをもとにしたイベントが、数日後の女子寮の夕食のデザートとして実現する。
しかし、男子だけだと差別的で…ということで、セットで実現したのだ。
男体盛りと、女体盛りが。
一年生の実質寮生の男子と、同じく一年生の正規寮生の女子が、全身に生クリームを塗られて、体の上にはケーキを載せられ、テーブルの上に横たわった。
そして、男子には女子が、女子には男子が、次々とケーキをかじったり生クリームを舐めたりした。
そして、あらかたケーキが無くなったころ、その二人はお互いに付いた生クリームを舐めあい始めた。
最初は全身生クリームだから表情は分からなかったものの、そのときは二人は大層気持ちよさそうだった。
そしてお互いの生クリームを舐め尽した後、二人は当然のように合体したのだった。
その日の夕食に話を戻す。
夕食が終った僕たち4人は、それぞれどこか触りながら2SEに戻って、さっきテレビやテーブルが見えた部屋に入った(談話室というらしい)
「な、来てよかったろ」
「う、うん」
談話室の中では、ゆみ、まき、そして、今会話していた男子二人が、缶ビールを飲みながら、座って、というか、椅子に座った男子のひざの上から、女子がまたがるようにして、きっと「入れて」いた。
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