三つの願い 〜男の夢〜
Hide:作

■ 第三章 女子寮で……20

「そうそう、あつし君、だっけ? あぁん…実質寮生のなり方の話だけど…」
 しばらくして、すすむがしほから手を離してビールを手に取ったとき、しほもすすむから手を離して、思い出したように言った。
「そ、そうです…どうやって、な、なるんですか? せ、選考とか…あるんですか…」
 あつしは、反対の隣のまきには触れず(よって、まきは、反対隣の男子ばかり触っていた)ビールも乾杯後一度も持たないで、もっぱらゆみを触ったり舐めたりしていたが、その手を離し、正座した。
「なりたい?」
「は、はい…、ぼ、ぼく、ゆみさんが、は、初めてセックスした女性だったんです…」
「そうだよな。こいつ、入学して最初から “ゆみさん気になる気になる”って言っていて、実際にやったのは5月の最初の学科飲み会の時だったよな」
 名前のわからない男子はそう言って笑った。こいつもゆみやあつしの学科メイトらしいな。

 まあ、1年目の5月、っていうのは架空の記憶に違いない。本当に初めてやったのは、今日…ことによっては、今さっき…だろうな。
「のぶ君、人のことなのによく覚えてる…」
 ゆみは言った。こいつは「のぶ」っていうのか。

 あうっ…僕も思わずちょっと喘いだ。あいかの舌が、だんだん下へ下がって僕の棒の先まで来た。あいかが先端を舐め、ゆみが揉んでいる棒。また少し、液が染み出した。

「それでも“学科ではなかなかゆみさんに近付けない、近づけない”って言ってるから“それなら女子寮遊びに行ったらいいだろ”ってずっと言っていたのに、こいつなかなか行かなくて、今日初めて俺が連れてきて、いきなりこいつ“実質寮生になりたい”かよ!」
 その男子はさらに笑いながらそう続け、最後のほうはあつし向けに言った。

 まあ、そうだろう、60人中 女子3人では、相当積極的でないと近くにも行けないだろう。
「あ、いや…で、でも、こんなにゆみさんと一緒にいられるなんて…ゆ、夢みたいで…」
 あつしは、そういってゆみの肩を引き寄せようとした。

 笑って聞いていたしほは、ゆっくり答えた。
「実質寮生は、別に申請してなるものじゃないの。毎日のように寮生のところに遊びにきてくれて、泊まっていって、ユニットのみんなに顔を覚えられて、そうしたら、自然に実質寮生だよ」
「えっ、そ、それで、な、なれるんですか? じゃ、じゃあ、ま、毎日泊まりに来ます!」
「じゃあ、あつし君に、乾杯!」
 しほは自分の缶ビールを突き出した。あつしも缶ビールを持った。
 その場の多くの人が、缶ビールを持ってあつしと乾杯した。あつしは缶ビールを一気に飲み干し、体中真っ赤になっていった。そして、その場に倒れてしまった。
「大丈夫? 飲ませるの良くなかったかな」
 しほは心配そうに言った。
「まあ、いつものことですよ。寝かせてりゃ治ります」
 のぶは言った。
 僕たちはあつしをその場の隅に寝かせておいた。


「あつし君、これからほんとに毎日来るんですかねぇ…」
 しばらくの後、ゆみは、僕のうしろにまわり、両手で僕の棒を揉みながら、そう言った。どちらかというと、うれしそうでない声だった。

 あいかは、あぐらをかいている僕の前に乗って、舌を僕の唇に入れた。僕の棒はまだ入っていないが、割れ目はかなり湿っているのを感じた。
「何、あつし君は苦手なの?」
 しほが言った。しほはもうそのころには横になって、同じく横になったすすむにうしろから胸を揉まれていた。
「苦手ってわけじゃないんですけど…何か、毎日来たら、離してくれなそうで。あたしは、今まで通り、多くの人と仲良くしたいですよ。あつし君の彼女、とか思われたくないです」
 彼氏とか彼女、っていう概念は、この世界でもあるのか、と僕はちょっと不思議に思った。
「うん…それは分かるよ。でも、それはきっと、あつし君があんまり多くの女性を知らないからかもしれないよ。そうじゃない?」
 しほは、起き上がって言った。
「しほさん、俺もそう思います。こいつは高校は男子校で、サークルにも入らず、バイトもせず、きっと世の中に触れ合える女性といえば学科の3人しかいないような気がしているんじゃないかと思うんですよ」
 のぶは、そんなようなことを言った。
「ゆみちゃん、だからむしろあつし君には実質寮生になってもらって、他のユニットとかにも案内して“世の中には多くの女性がいて、セックスしたいと思えばできるんだ”っていうことを分らせたほうがいいよ。そうすれば、必要以上にゆみちゃんとやろうとはしなくなると思う。あたしたちも、いるときは協力するし、ねぇ、あいか、まきちゃん」
「うん」
 あいかは、唇を離して言った。
「はい…」
 まきも、あまりあつしのことは好きではないような返事だった。ここからは状態はよく見えないけど、今はのぶと絡んでいるはず。
「うーん、そう言われてみれば、そうですかねぇ…」

 そんな会話の後、適度に酔った7人は横になったりして絡み合った

 ゆみは、横になった僕の背中に胸をくっつけて、耳元に息を吹きかけながら「まさるさぁん…そろそろ入れてくださいよぉ…さっき“あとでやりましょう”って言ったでしょう〜」と言った。
 しかし、僕の棒は、今はまた、あいかの口の中に入った。そして、僕は舌を、あいかの割れ目に向かって伸ばそうと、あいかを抱き寄せているところだった。
 あいかに“ちょっと待って、ゆみさんに入れるから”なんて言うのか?

 その時、しほが立ち上がって言った。

「そろそろやろうか…」

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊