三つの願い 〜男の夢〜
Hide:作

■ 第三章 女子寮で……24

 僕たちは銭湯の脱衣所に戻った。僕はまきの持ってきた大きいバスタオルを借りて体を拭いた。

 僕がトランクスを穿こうとしたとき、まきは思いついたようにいった。
「ねぇ、タオルまいて帰りませんか?」
 そういうと、まきはバスタオルを自らの体に巻いた。
「ほら、一応隠れますよ」

 僕は戸惑った
「えっ、何で?」
「何か、ここで服着て、また寮ですぐ脱ぐの面倒じゃないですか?」
 そういいながら、まきは僕が風呂場でつかっていた小さいタオルを僕の下半身に巻いてくれた。そんなに大きいタオルじゃないし、棒が上を向いている状態、大丈夫かな。
「あ、ありがとう…、何か心配だけど…」
「じゃあ、急いで帰りましょう」

 僕とまきは、タオルを巻いただけで、荷物をもって脱衣所を出た。フロントのおやじは、また目をそらしてくれていた。
 そして僕たちは小走りで寮に向かった。
「あ、忘れないうちにいっときます。今日、まき、危険日なんでコンドームお願いします」
「はい」
 やっぱりそう言ったのか。僕は、のぶが まきに入れる時だけ コンドームをしていたことを思い出していた。

 僕たちは、寮の玄関に滑り込んだ。ここで、僕のタオルはほどけてしまった。まきはちょっと笑った。そしてまきも、すぐにバスタオルを取り払った。
 受付は、女子一人が見えた(よく見ると、受付の中では男子がその女子の股間に舌を這わせているところだった)
「おかえり」
「あの、ここってコンドームありましたっけ?」
 まきが聞いた。受付の女性は、すぐにコンドームを一袋取り出して、渡してくれた。
「はい。でもここでやらないで、上がってからやってね。通行の邪魔だから」

 僕たちは、靴を脱いで、下駄箱を後にして通路に入った。ここは、相変わらず全裸で寝転がって絡み合う男女が何組もいて、横になる場所がなかった。僕は階段に向かって歩き出そうとした
「庭にでましょうか」
「えっ、その庭、外から見えちゃうのでは…」
 玄関から入って、通路が東西に通っているのだが、玄関をはさんで北側は庭になっている。
 僕たちが住んでいるボロアパートからもよく見えた、芝生の庭だった。
でも誰か人がいるのを見たことはほとんどなかった。
「ここは大学構内と同じなんですよ。ご存知でしょう? だからOKです」
 そう言うとまきは僕の棒を引っ張り、庭への扉を開け、庭に出た。そしてすぐに、まきは僕を押し倒し、キスした。僕も舌を入れた。

 大学構内だから見えてもOK…? そういえば、大学構内を出る時、しほが面倒くさそうに、今まであけていた短パンのチャックとボタンを閉めていたことを思い出した。

 何で構内だといいんだろう??……
“大学の自治”ってことなのかなぁ?

“大学の自治”他の大学のことは知らないけど、うちの大学では、ヘルメットをかぶって角材を持った人たちが言っていることだった。僕には、あの人たちの言っていることが実際に僕たちの生活にどう関係あるのか、今までさっぱりわからなかった。
 でも、今、あの人たちの言っていることもちょっとは役に立っているのかもしれない、と思えた。


 芝生、真上には星空。まわりでは、二組位の男女が絡んでいる様子だった。そして柵の向こうには僕たちが住んでいる、いや、もう“住んでいた”かもしれないボロアパートが見えた。
 ひんやりしていた。確かに、談話室とか、通路とかは熱気で暑かった。風呂上がりには、ここはいいかもしれない。

 そして二人は、抱き合い、全身触り合い、全身舐め合い…それらは短い時間だった。まきはもう準備はできていた…まきはすぐに、仰向けになった僕の棒にコンドームをつけ、自ら割れ目に入れ、上下に、左右に、激しく、ときにゆっくり、動いた。
「あん、あ、あ、あ、いく、いく、いく…」
「あぁっ、ああっ、僕もいきそう…いく…」
 外だから、というのもあって、僕たち二人は遠慮なく喘いだ。

 僕たちは、星空の下、外でやっているんだ…

 終わってから、僕たちは寄り添って体育座りをし、僕はまきの肩に腕をまわした。

 ほんの半日前、僕はあのボロアパートにいた。柵の向こう側の女子寮なんて、絶対に手の届かないところだと思っていた。
 それが今“柵の向こう側”にいる。そして、今日会った一年の女子と、セックスして、全裸で並んで星を見ている…
 改めて、すごく不思議な感じがしていた。

「何を考えているのですか?」
「い、いや、こうしてまきちゃんといるのが、すごく不思議な気がして」
「何でですか? まさるさん、同じユニットの、仲間じゃないですかぁ」
 僕は、うれしくなって、もう一度まきにキスをした。

「でも、まきもちょっと不思議なんですよ。言いましたっけ? まき、誕生日が高校の卒業式の後だったんです」
 えっ、それがこの話とどういう?
「それだから、こう見えても、高校卒業するまで…バージンだったんです…まき、自分でいうのも変ですけど、昔は真面目で、校則も条例も守って、18歳になるまで…ほんの3か月前まで…セックスって、禁止されている、けがらわしいこと、みたいに思ってたんです…だから、こんな風に、はだかで過ごして、一日何回もセックスして、はだかの男の人と一緒に星をみている、って、3か月前のまきから考えると、とっても不思議なんです」

 そうか…この世界にも“18歳以上”っていうことは、やっぱりあるのか…

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊