三つの願い 〜男の夢〜
Hide:作
■ 第三章 女子寮で……25
「こっちに引っ越してきたのは、ちょうど誕生日のころだったんです。あの日はまさるさん、いましたっけ?」
「えぇと、どうだったかなぁ…ごめん」
実際には当然いなかった。
「バージンで、いきなりこの環境、って正直最初すごく不安でした。最初の日とか、まきだけ服着て寝たりしましたよぉ…でも、次の日にやってくださった先輩が、優しくて、そんなに痛くなくて、想像以上に気持ち良くて…なにより先輩も気持ちよさそうで。もう、あの時人生変わったような気がしました! …それまでは、人に役に立って、まきもうれしいためには、いっぱい勉強して、世の中に役に立つ機械を開発する、それまで、長くかかるけど頑張る、しかない、とか思ってたんです。それなのに、セックスすることが、男の人にも、まきにもうれしいってわかって…もちろん勉強も忘れたわけじゃないですけどね…それから、18までやらなかった分、いっぱいいっぱい、男の人を気持ち良くして、まきも気持ち良くなろうって、思ったんです…あぁ、何か、ゆみさんにもまだ話してないことまで話しちゃいました」
今度は、まきから唇をつけ、舌を入れた。
僕はまきを抱きしめた。もう一回やりたいような気がした。
しかし、まきは唇を離し、僕の腕をほどいた。
「そうそう、実はあつしさんとはまだやったことないんです。あつしさん、ちょっと苦手で…でも今言ったことで、ちょっと最初に思ったことを思い出しましたよ。あつしさんに入れてもらいます。もう戻ってきてますかねぇ」
そういってまきは立ち上がり、寮の建物に向かって歩き出した。僕もあわてて立ち上がり、追った。
ううん、すごい、本当に、そんなにやるのか…今日何人目なんだろう??
ユニットの談話室に戻ったら、もうゆみとあつしは戻ってきていて、再び8人になった。そして、多くの人が見ているドラマの時間になっていた。みな、談話室のテレビのほうを見ていた。
まきは、あつしとCMの間にやり終わってしまったようだ。
みな普通に座ってテレビを見始めたのではない。たとえば、すすむの棒は騎乗位になったしほの穴に入ったまま、2人は動きを止めて、テレビを見ていた。他の人も、棒を入れているか、入れていなくても男女接して、テレビを見た。まきとあつしは、終わった後手をつないで並んで座っていた。僕はあつしから解放されたゆみと、肩を組んで座った。そのうちのぶがあつしの反対側からまきと肩を組み、あいかが僕の、ゆみと反対の隣にきたりもした。
この数時間、女子と触れていない時間はほとんどなかった。じゃんけんと、トイレに行ったときくらいだった。
(男女で連れションに行った人もいた。僕は、まだ、勃たないでちゃんと排尿する自信はなかったので一人で行った)
ドラマが終った。もう11時か…みな立ち上がるとか、また抱き合うとか、動き始めた。
僕にはあいかとゆみがそれぞれ前と後ろから抱きついた。ゆみの後ろからは、よく見えないがあつしが抱きついたようだった。
「最後にみんなでつながろうよ……たまには、最後くらい、じゅんこさん、付き合ってくれないかな…」
しほはすすむの棒を抜いて立ち上がって、そう言った。
じゅんこさん…僕たちを「ルール違反」って追い出そうとしたあのちょっと怖い人…そういえば同じユニットって言っていたな…忘れていた。
「じゅんこさんって、会ったことはあるんですが、まだ一度もセックスしたことはないんですよ。もしかして男嫌いなんですか?」
まきを抱きしめたのぶが、しほに聞いた。
「しーっ! じゅんこさん、この向かいの部屋にいるんだから…」
しほは小声で、すすむの液をティッシュで拭きながら言った。
「男嫌い、っていうことはないと思う。セックスしてるの何回か見たことあるし…ロースクールの入試の勉強で忙しいからあまり顔を見せない、っていうのもあるし、あの性格だから、あまり積極的に“入れて入れて”って言いづらいんだろう、と思う」
ロースクール入試…じゅんこさんは法学部4年生なのか。ルールにうるさいわけだ。
「でもそうすると、一人で寝ていること多いんですかね。オナニーとかしているんでしょうか?」
のぶはまきの髪から背中を撫でながら言った。
女子4人から失笑が漏れた。
「ちょっとぉ、失礼だよ」
「この世界でも“オナニーしてる”って言うのはおかしいことなのか…」
僕は独り言のように言った。
「独り言を言っているようなもんなんじゃないか?“セックスが話すことと同じくらい気軽”なんだから」
いつのまにか液を拭くのも終わり、僕の隣にいたすすむが、僕の独り言にそのように返してくれた。
しほは廊下に出て、じゅんこの部屋(「じゅんこと きょうこの べんきょうべや」と書いてある)の扉をたたき、声をかけた、
「じゅんこさん、ちょっとみんなでつながりませんか」
■つづき
■目次
■メニュー
■作者別