三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第四章 「第二の願い」1

 棒に暖かいものを感じ、僕は目を覚ました。
 カーテンの隙間から光が漏れていた。朝か。
 ぼんやりしていた視界がだんだんはっきりしてきた。
 僕の上には、しほがまたがっていた。しほが、僕の、朝立ちした棒を持って、自らの穴に入れようとしているところだった。

「あ、起きた? おはよう」
 そう言ったあとしほは、すぐに腰を上下し始め、「あっ、あっ、あっ…」と言い始めた。

 頭がだんだんはっきりしてきた。ここは女子寮、僕は、女子寮の、実質寮生なんだ…
 この部屋は、あいかとしほの部屋…夜寝るときは、僕はあいかと一緒にベッドに入った…しほは、すすむと。あれ、あいかは?

「しほさん、すすむのところじゃなかったの?」
 しほは腰の動きを止めずに言った。
「えっ? こういう時ってだいたい入れ替わってるじゃん。続けて同じ人とじゃない方が立ちがいいんでしょ」
 僕は横を見た。あいかは、起き上がったすすむの足の上に正面からまたがって座るようにして、もうすすむの棒を入れているようだった。そして抱きしめ合って深くキスをしていた。そのあとあいかはそのまま腰を動かしてあえぎ始めた。
 あいかと他の人がセックスしているところは昨日も見ているが、前の晩寝る前すごく幸せを感じたあとだったから、ちょっとなんとも言えない、切ないような気がした…まあ、今もしほとのセックス、気持ちいいけど。

「あれ、何でしぼんじゃったんだろう?」
 そんなことを考えていたらいつのまに僕の棒は柔らかくなってしまった。しほは棒を穴から抜いて、僕に覆いかぶさってキスしたり、乳首を舐めたり、棒を揉んだりしてくれた。そして、再び硬くなった棒を穴に差し込んだ。
 僕は、今は他の事は考えずに目の前の気持ちいいこと、しほとのセックスに没頭することにした。十分に気持ちいいこと、昨日の朝には絶対出来なかったことなんだから。僕は手を伸ばして、腰の動きに合わせるようにしほの胸を揉んだ。しほもより腰を速くして応えてくれた。そして少しあと、僕は液をしほの中に送り込んだ。

 ちょうどそのころ、あいかとすすむもフィニッシュしたようで、ベッドから降りてきた。僕としほもベッドから降りた。
「おはよう」「おはよう」
 僕とあいか、すすむとしほが抱きしめ合い、ディープキスを交わした。まだ濡れている僕の棒はまた硬くなってきた。
 僕はあいかをもっと強く抱きしめた。また、あいかとセックスしたくなった…でも「セックスしていい?」とかって、言っていいのだろうか?? いくらこの世界でも。言うとしても何て言えばいいんだろう?? いままでは流れ的にセックスになったから、聞く必要とかなかった。

「みんなでお風呂行こうか」
 あいかが唇を離して言った。とりあえず、あいかとのセックスはお預けだな。
 いいや、また、この後、いくらでもできるだろうし。
「今はたぶん混んでるよ。もう少し後に行こう」
 しほが答えた。
「そうねえ…実はティッシュがあと一枚しかないの。買い置きあったっけ?」
「ない。とりあえず談話室から借りてこよう」
 しほがそう言ってドアから出て談話室に向かった。

 僕は、ティッシュをたくさん持っていたのを思い出した。昨日悪魔さんが置いていったティッシュ10箱を。
「うちにティッシュの箱たくさんあるんだ。ちょっと取ってくるよ…すすむ、おまえの分も持ってきていいか? もらったティッシュ」
「…ああ。いいけど」
 すすむはしほのうしろから両手で胸を揉みながらそう答えた。
 僕はこの部屋の最後の一枚のティッシュで棒を拭き、部屋を出た。談話室に置いてある、きのう銭湯に行った時に持って行った袋からトランクスを取り出した。鞄からはズボンを取り出し、ポケットの鍵だけ取り出した。そしてトランクスだけ身につけて出かけた。まだ朝だし、そんなに人通りもないだろう。


 ボロアパートの玄関をくぐり、自分の部屋の扉を開けた。
 きのうの午前中に後にした部屋、あれからまだ丸一日経っていないのにもうずいぶん長いこといなかったような気がした。
 僕は、ティッシュの箱、5箱で一組になっているものを2組、両手に持った。
 悪魔さんのティッシュ、といっても別に変ったものではなく、普通に売っているものだ。

 悪魔さん…僕は部屋の隅に置いてある、あのやかんに目を向けた。

 あのやかんが、すべてを変えた。“セックスが話すことと同じくらい気軽にできる世界”を、男の夢を、あの中の悪魔さんが実現してくれた。

 「三つの願いをかなえてくれる」という悪魔さん。

 僕は、そういう童話を何となく覚えていた。確か「三つの願い」っていう題名だった、と思う。
 確か、三番目の願いとして、願いを元に戻さなくてはならなくなってしまう話だった、と思う。

 この素晴らしい世界!  絶対、 絶対、 元に戻したり、 するものか!

 僕はこのとき、強くそう思った。



 僕はあいかとしほの部屋に戻り、ティッシュを置き、すぐにトランクスを脱いだ。その方が楽だし、何かみんな何も着ていないのに自分だけ着ているのは恥ずかしいと思うように、いつのまにか、なっていた。
「ありがとう。こんなにたくさん。“もらった”って、新聞でも契約したの?」
 あいかに聞かれた。しまった“もらった”なんていうんじゃなかった。なんて答えよう…まさか“悪魔と契約した”なんて言えない…
「ひ、み、つ」
 すすむが、冗談めかしてそう答えてくれた。みんな笑った。

「そろそろお風呂行こうか」
 しほがそう言って、4人はドアから出た。

「おはよう」
 僕たちが廊下に出ると、ちょうど廊下を歩いてくる女性がいた。じゅんこさんだった。
「おはようございます」
 僕たち4人はそう言った。そして、じゅんこさんは僕と、そのあとすすむと、軽くキスして抱きしめた。

「そうそう、まさる君、すすむ君…今日は授業午後から?」
「はい。二人ともそうです」すすむが答えた。
 なんだろう? この先輩の誘い? なわけないよな。

「実質寮生を名乗っているんだったら、そろそろ当番をやってもらおうと思っていた。今日は、まさる君、洗濯当番を、すすむ君、風呂掃除当番をやってもらう。いい?」
 当番…そういえば受付当番、とかが男子でもいたなあ……実質寮生名乗っている、といっても、実際にはまだ一日しか居ない…でも洗濯だったら全自動だし、大丈夫かな。
「じゅんこさん、風呂掃除って一人でやるんですか? あの風呂を一人は大変ですよ」
「見たことない? 他のユニットからも当番出て最低5人はいるから大丈夫…じゃあ頼んだよ」
 そういってじゅんこさんはトイレへと消えていった。

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