三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第四章 「第二の願い」5

 僕は脱衣所に出て、体を拭いて、服を持って(きのうの反省で、今度は忘れなかった)階段を登って再び洗濯機の前に立った。最初の洗濯はもう終わっていた。僕は洗濯済のTシャツやパンティーを籠に移し、代わって何枚かのシーツを洗濯機に入れた。
 僕はかごを持って物干し竿のところまで行った。物干しがどこにあるのかは、前から…女子寮を外からしか見られなかったときから…知っていた。
 きのう、その物干し竿があるベランダは、談話室から行けることがわかった。

 そういえば、以前見ていたこの物干しは、下着なんて干してなかった。たぶん中に干してあっただろう。
パンティーとかは、どこに干せばいいんだろう…

 僕は考えながらも籠を持ってベランダに出た。気づいたら、全裸のまま出ていた…

「おはようございまーす」
 突然、左の遠くのほうから声がした。
「お…おはよう」
 僕は、突然で驚いて、あまり大きな声は出なかったが、答えた。向こうには返事は届かなかったかもしれない。
 そして僕は、改めて声のする方を見た。
 声の主の女子は、同じ2階の隣のユニット…2NE、でいいのかな…の、反対の端のベランダに全裸で立ってパンティーを干していた。だいぶ遠く、はっきり顔は見えない。背が小さめで、髪が長いことくらいしかわからない。が、声は聞き覚えがあった。

 昨日の夕方、玄関の近くで、全裸の状態から大き目のTシャツだけをかぶり「ねぇ、これで捕まらないかなぁ」とか一緒にいた男子と話していた女子だった。あれから、Tシャツ一枚で下は何も穿かすに出かけたに違いない。
 隣のユニットだったんだな。

 でも、よかった。昼間も、外から見えても、裸でいいみたいだ、って分かった。まあ、ここも“大学構内と一緒”だし。

 パンティーも、ここに干していいみたいだな。
 下着とかを干すらしい、洗濯ばさみがたくさんついた輪っかは、この物干しに掛かっている。
 
 たぶん、きのう誰かが洗濯物を干した時には、もうこの世界に変わっていて、普通に外に干したのだろう、と思った。
 
 僕も、この輪っかにパンティーとかを一つ一つ付けていった。

 干したり、磨き損ねた歯を磨いたりしているうちに、二回目の洗濯も終わった。つづけてそれらも干した。

「おい、まさる、ここにいたか。そろそろ大学行くぞ」
 何枚ものシーツを折ったりしてなんとか干し終わったところで、すすむがベランダに顔を出した。
 もうかばんと服を持っていた。談話室ではしほも、かばんと服を持って待っていた。
「もうそんな時間か。ごめん、待たせた」
 洗濯物干しって意外と時間がかかるんだよなあ。その間にすすむは…風呂掃除当番の4人とやっていたのか…

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