三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第四章 「第二の願い」10

 そして、この一時間が過ぎたあとの女子の当番は、今度は知ってる子なのだが…あの“ドラム缶”けいこ。
「まさるさ〜ん、一緒に当番なんですね。うれしいです」
 そう言ってけいこは僕にキスするとすぐに僕を押し倒すかのように重みをかけてきた。僕はしりもちをついて、なんとか両腕で自分が倒れないように抑えた。
 重い…なんて言えない…
「け、けいこさん、受付当番、やるんだよね、立って待ってなくていいの…?」
「だれか帰ってきたら立ち上がればいいんですよ」

 その時、玄関は開いた。言葉通り、けいこは立ち上がった。僕も立った。帰ってきた人は、別に受付当番が直前までさぼっていたのを不思議そうにはしていなかった。

 この時間は、さっきの時間ほどは頻繁に人は帰って来なかった。人が途絶えた時間には、けいこは早速僕に抱きつき、唇を僕の唇につけ、舌を絡ませた。このときは僕は眼を閉じているが、頭の中にはけいこのビジュアルが回っていた。それでもそんな頭の中とは裏腹に、僕の棒は固くなっていくのだった。

 そして、人が帰ってくると出迎えて、時間が空くとまた、ということを繰り返した。あいにく、なのか、幸い、なのか、またけいこが僕の上に乗るような空き時間はなかった。


 そんな一時間が、長いようで短かった当番の三時間が、経った。
「おつかれさまです」
「おつかれ」
 すこし時間をおいて、男子と女子の、この後の当番がやってきて、僕たちは解放された。

「じゃあ、あと、よろしくお願いします…けいこさん、また」
 僕はそう言って歩き出そうとした。
「まさるさん、このあと約束とかあるんですか?」
 え…またなんか当番? それとも…どっちにしてもあんまり気が進まない……

「いや、あの、うちのユニットのゆみさんと約束が…」
 さっき僕が“あとで助ける”って言ったのを盾に使おうとした。
「時間の約束とかしてるんですか?」 
「いやぁ、そこまではしてなくて…」
 けいこはあらためて僕に抱きついた。
「じゃあ、あとでいいじゃないですか。お風呂一緒に入りましょうよ」

 僕は手をひかれて浴室に行った。

 まあ、タイミング的に風呂には入りたかった。たくさんの女子を抱きしめて、汗とか、液の乾いたものとか、それなりには、ついていたから。
 でも、別に、けいこと、でなくてもいいだろう、とは思うが…

 結局、僕は、流れに沿って、けいこと洗い合い、一緒に湯船につかり、そのあとは一緒に夕食を食べて口の中のものを交換したりし、そして、けいこのいるユニット、3SE、まで、そしてけいこの寝室まで来てしまった。

 僕は昨日の、けいこに初めて会ったときを思い出した。昨日けいこといっしょにいたポニーテールのさちこは、同室だと言っていたような気がする。
「ねぇ、けいこさん、今日さちこさんは?」
「外泊です」
 けいこはこともなげに言った。

 なんか、あいかやしほといい、かわいい子は、ことごとく、外泊のような気がする…
 受付をやっていた3時間を振り返ると、帰ってくるかわいい子は、みんな“男付き”だったなあ。ゆみも…これは本人が聞いたら“あつし君はそんなんじゃないです”と怒るかもかもしれないが…

 そりゃあ、かわいい子は、外でもセックスしたい人がいるだろうし…
 かわいい子には、なかなか相手にしてもらえない…もとの世界から連続して、この世界でもそれが当たり前なんだなあ…
「なるほど…」
 思わず声に出してしまった。
「なんですか?」
 もうベッドに横になり、足をM字にしているけいこは言った。

「いや、何でもない…」
「そうそう、今日もまだ危険日なんで、コンドーム付けてくださいね。そこにあります」
 僕は、けいこの足もとに置いてあった包みの中から一つ取って、頭の中とは関係なくすっかり準備OKの棒につけた。

 そして、僕は今日3度目の挿入を始めた。 もう、ここに来るまでにたっぷり触り合ってけいこもすっかり準備OKだった。
「あっ…あっ、あぁ…まさるさん、まさるさん…」
 僕のピストンとともに、けいこは声を上げた。僕はますます勢いよく出し入れした。
 きのうと同じように、ビジュアルとは無関係に、気持ちよかった。

 ちょっと座位にしてみようとも思った。でも、重くて持ち上がらなかった。それで、正常位から変えることはなく、数分後に僕はフィニッシュを迎えた。けいこも十分に幸せそうな顔をしてくれた。
 そして、僕とけいこはそのあと何十分もベッドの上で抱き合ったり、お互いを触ったりした。

「ねぇ、まさるさん…」
 けいこはキスしながら言った。
「今日はこのユニットに泊まっていきませんか…何回でも入れてくださいよぉ…ゴムもあるし」
 けいこの足元にはまだ4、5個のコンドームがあった。
 確かに気持ちよかった。今の抱き合っている状況も気持ちいい。でも、理性は働いた。

「でも、ユニットに戻らないと。ゆみさんと約束あるし」
 そう言って、僕はけいこの腕をほどいて、ベッドから降りた。
「あ…でも、もしかして、一人で寝ることになっちゃうとか?」
 この世界では、寝るときは普通男女一緒なんだ、っていうことは昨日の雰囲気から理解していた。
このユニット、何人か人の気配はするが、男子が余っていそうな感じではなかった。
「…大丈夫ですよ。学科の男子に電話してみます」
 そう言って、けいこは鞄から携帯をとりだした。
「でも、また、良かったら来てくださいね」
「うん」
 そう言って、僕は、けいこ(と、さちこ)の寝室を後にした。


 ユニットを出て、僕は、僕の? ユニット−2SE−に向かった。

 もっとつらい話が待っているとも知らずに…

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