三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第四章 「第二の願い」11

 僕は歩きながらけいこへの挿入を思い出していた。
 きのうは、けいこに挿入する前に顔射になってしまんだったなぁ…今回は、ちゃんと入れて出すことができて、よかった。
 でもふと気づくと、あのけいこのビジュアルが頭によみがえってきた。
 よかったのか、よくなかったのか、頭の中で半分づつの状態で、僕は2SEの扉の前に来た。

「まさるくん、今日は誰に招待されているの?」

 ガラスの扉の向こうで、偶然、じゅんこさんがトイレから出てきて、こちらに気づき、そう言った。
 ユニット内は明るくこちら側は暗い。つまり、じゅんこさんがどんな顔をしているか分からない。

 招待…実質寮生といっても、形式的には正規寮生に毎日招待されている…ようなことを、さっきじゅんこさんに言われたばかりだった。
 追い出されるのか…かばんは手元にある。でも、服は風呂で2SEの脱衣籠に入れてしまったから、このガラス扉の向こう。

 それでも、じゅんこさんの言葉には、それほど責める雰囲気はなく、さらっと言ったような気もした。

 …うーん、なんと答えたらいいんだろう?? あいかやしほはいない。いない人に招待されるわけにもいかないだろう。

 けいこ? でもそうするとユニット3SEに戻ることになりそうだ。それは気まずい。

 ゆみ! ゆみには「あとで助けてくださいね」って言われている。これは招待と取ってもいいかもしれない!


 …でも“一度に複数人は招待できない”とか言われるかも知れないなあ。あつしは今日も形式的にはゆみが招待しているに違いない。その辺の規則知らないし…きのうも二人以上の男子と一緒にいる女子なんて見かけなかった。

 すると、残る選択肢はただ一つ…うーん…

 僕は思い切って言った。

「じゅんこさん、すみません、えーと、よろしければ、僕を、招待していただけませんか?」

 じゅんこさんはちょっと笑ったように見えた。

「いいよ。いらっしゃい」

 じゅんこさんは、意外とあっさりと言った。

「ありがとうございます」

 じゅんこさんは扉を押して開けてくれ、僕の手を取り、扉の内側に引き入れた。

 突然手が触れて、びくっとした。ちょっと、勃った。

 そして、じゅんこさんは無言で僕を引っ張るような感じで歩いた。
 ユニット内はあまり物音はしなかった。ただ「ゆみと まきの しんしつ」からはゆみの喘ぎ声が聞こえた。

 あれからあつしとずっと二人だったのだろうか?

 じゅんこさんは「じゅんこと きょうこの べんきょうべや」のドアを開け、入った。僕も一緒に入った。
 べんきょうべや に?

「まさるくんはここ使って。きょうこはまだ当分帰ってこなさそうだし」

 じゅんこさんは、左の手前側にある机を指して言い、自らは右の奥の机に座った。

「あんまり勝手に出歩かないでね」
「は、はぁ」

 まあ、出歩くといっても行けそうなところはあまりないから、行かないけど…

 僕は、指された机の、椅子から座布団をどけて(やっぱり人の座布団に何も穿かないで座るのは申し訳ないと思って)座った。

 さて…
 部屋の奥を見ると、じゅんこさんは分厚い本を開いてノートに何か書いているところだった。


 …僕は、何を期待していたのだろうか…
 心のどこかで、このままじゅんこさんとセックスするのか、それならそれもいいかなあ、と思っていた。
 でもじゅんこさんは“ロースクールの入試の勉強で忙しい”っていうことだったことを思い出した。それなら当然いつもいつもセックスしていることはないだろう。

 それに、じゅんこさんは自ら“入れて”とかは言わない、って話だったっけ…


 僕は、ここで何をすればいいんだろう…やっぱり べんきょうべや だから、勉強、か。

 僕はかばんから教科書を取り出した。ちょうど、今度小テストがある講義の教科書を持っていた。僕は教科書を開いた。

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