三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第四章 「第二の願い」16

「ま、まさるさん…でしたよね」

 最初に口を開いたのは、意外にもあつしの方だった。話苦手そうなあつしに、何と話しかけていいか、実はちょっと困っていた。もしかしたら出るまで無言になるかもしれないと思っていた。

「おお。そうだよ」
「じょ、女子寮には…ど、ど、どのくらい、ま、前から、住んでいるんですか?」

…この質問は困った。“昨日から”というわけにもいかないし。

「うーん、結構前からで、覚えていないなぁ」
僕はこう言ってごまかした。

 またしばらく沈黙が続いた。僕たちは無言で自分の体を洗った(当然、男同士で洗い合ったりはしないようだ)
 
「あ、あの…ゆ、ゆみさんとは、ど、ど、どのくらい…やったんですか…」

 この質問も答えに困る。実際には一回しかやっていないが…

「うーん、いちいち数えてないからなぁ…」

 一呼吸置いて、会話が続きそうな方法を思いついた。僕は、逆にこう聞いた。

「君の方が、同じ学科なんだから、たくさんやっているんじゃないのか?」

「そ、そ、そんなこと、ないですよぉ…ろ、60人中の、3人の、じょ、女子の、一人なんですよぉ、ゆ、ゆみさんは。い、いれるのは、一週間に、い、い、一回くらい、いれられたら、い、いい方で…て、手でやってもらったり、は、あ、あるんですが、と、と、時々、な、何人もに囲まれている、ゆ、ゆみさんを見て、じ、自分で手でやってしまうことも…あ、あ、あるんですよぉ」

“独り言”かぁ、この男らしいかもしれない…でもその人数比だとそういう男子が何人かいるのも仕方ないかなあ。ゆみさんも、きっとほかの二人の女子も、多くの男子の相手に大変そうだし。

 僕たちは湯船に移った。となりでは抱き合う男女がいた。

「で、でも、き、きょうは、す、すごいうれしかったです。ゆ、ゆみさんに、な、な、7回も入れたんです!」

 7回も連続かぁ。それはこの世界とはいえ、すごいな。恋する力、というべきか。
 ゆみ…疲れてるわけだ。

 まあ、僕も、あいかとだったら、もしかしたらそのくらいできるかな。

「それは、よかったなあ」
「ぼ、僕、これから、ま、毎日、り、寮に通って、毎日、ゆみさんとやって。じ、実質寮生になります!」

 ゆみが、どっかに泊まりに出かけるかも知れないとは、考えないのだろうか?
 まあ、この2日だけを見るとゆみは確かに2日とも帰ってきたけど、他の女子から類推すると、ゆみのように、それなりにかわいくて、男子の知り合い多そうだと、泊まりに行っていることも多いように思える。

 まあ、きのう、ユニットの他の人も“協力する”って言ってたから、実質寮生になる方は、大丈夫なのかなあ。

「おお、応援しているぞ」
「よ、よろしくお願いします!」

 このあたりで僕たちは湯船を出て、シャワーを浴びて浴室から出た。
 再びTシャツとトランクスを着けて、僕たちは男湯の脱衣所を出た。
 2人で椅子に座って、スポーツドリンクを飲んでいるうちに、じゅんこさんとゆみも出てきた。

「ゆ、ゆみさん」
 あつしは席を立ち、ゆみを強く抱きしめてキスをした。
「ちょっと、寮帰ってからにしよ。行きましょう」
 そういって、ゆみはあつしの手を引いて出口に向かった。じゅんこさんと僕も後に続いた。

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