三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第四章 「第二の願い」20

 …でも、あいかとセックスしたい他の人が入ってきたらどうなるのだろう。他の人も入ってくることを認めないと、今と同じように、ひたすら順番を待つような状態になってしまう…あいかは、いや、僕とあいかの意識共有体が、その人とも一番気持ち良くなるようにする…

あいかのまわりに何十人が集まってしまうのか…すると何十人分の意識共有体が…

 さらに、あいかに近づけないから他の女子とセックスしたいと思った人がいたら、またはその男子の中の誰かとセックスしたい女子が来たら、どうなるのだろう…その女子もそこに来る。次第に、全体として一番気持ち良くなるように動くようになる…みんな絡み合って…
 でも、その頃には、みんな、何人分の意識を共有していることになるんだろう…すごく気持ちよさそうだけど…そのとき、自分、ってどうなっちゃうんだろう…

 そして、この意識共有体は、どこまで大きくなれるだろう…それを止める要素は
…無い…

「すすむ! ちょっと待った」

 僕は洗面所に走った。すすむは洗濯籠をひっくり返して服を探しているところだった。

「これをやると、最後には全人類が一つの意識を共有することになってしまう」

 すすむは手を止め、こっちを見た。

「そうか…そうかもしれない。それは気付かなかった…SFにたまに、そうなりそうになる話あるけど、そうはなりたくはないな」

「おお、僕も、それはいやだな。全人類が一番気持ち良くなるように動く…まあ、平和かも、しれないけどな…」

 さすがに、いくら気持ちよくても、自分というものがなくなってしまう未来は、考えたくなかった。

「くそっ、よさそうなアイディアと思ったのになあ…まあ、願いに時間制限があるわけじゃないし、ゆっくり考えるか」

 すすむは、洗濯籠に他の人の洗濯物を戻し始めた(そういえば、今日は洗濯当番はどうなったんだろう? 1コマ目終わったらだれか戻ってくるのかな?)




「それより“相手を思っただけでコントロールしたい”みたいなこと思うなら、そうしてほしいと言えばいいんだよ。言っているか? 言えば、この世界なら大抵のことはやってくれるぞ」

 すすむは、立ちあがってそういった。

「あ…」

 僕は、おとといから今までを思い返した。確かに、セックスしたのは、だいたい成り行きで、こちらから積極的にいったことはなかった。

「ちょっと見本を見せてやるよ」

 すすむは、なぜか近くにあった空の洗面器を手にして、早足で談話室に向かった。僕も追った。
 そしてすすむは、談話室にあるちょっと古めの固定電話の受話器を上げた。
「この電話は、内線あるらしい」
 そう言ってすすむはボタンを2つほど押した。数秒後、すすむは話し始めた。
「もしもし…2SEのすすむです。誰ですか? あ、さちこさん? 今、暇? だったらちょっと2SEの談話室に来てくれる?」

 さちこさん? 外泊から戻っていたのかな?

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