三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第四章 「第二の願い」22

 僕は、冷や汗をかいていた。
 正直、あつしに初めて会ったときは、何でああいうしゃべり方するのかよく分からなかった。
 でも、今、あつしの気持ちが、痛いほどわかる。

「あ、あの、よかったら、ぼ、ぼ、僕と…セ、セ…」

 僕は、思い切って言った。

「セックスして…くれたらうれしいな」

 言ってしまった。僕は大きく息をはいた。

 さちこは笑った。

「何を頼まれるのかと思ったらそんなことですかぁ。今やりますか? あと、ここコンドームはありますよね」

「もちろん」

 すすむが、一包み、投げて渡してくれた。

「おしっことティッシュは俺が流してきてやるよ、じゃあ、大学で会おう。ごゆっくり」

 そういうと、すすむは洗面器をもち、さちこからティッシュを受取って談話室から立ち去った。

「あたし下でいいですか」
「あ、ああ」
 さちこは、そう聞くとすぐにその場に寝転んで、下半身はさっきのまま、開いていた。

 僕は、コンドームをつけ、さちこの上に乗った。

 当然のようにキスから始まった。さちこは“下でいいですか”と言った割には横たわったままでなく、結構動いてくれた。
 最終的な行為そのものは、単なる正常位にした。しかし、初めて自分から誘ったセックス! 僕は改めて興奮した。

 さちこは喘ぎながらも「そろそろ大学いかないと」と言ったので、多少急いで終わらないといけないかった。
 それでも、あいかとのはじめてを思い出すような満足感でフィニッシュすることができた。
 さちこも、満足そうな表情で「ありがとうございました」って言ってくれた。

 行為の後は、大学に行く時間が迫り、それほどゆっくり抱き合ってもいられなかった。でも、一緒に行くのが当然のような流れになった。学部は違うが、途中まで道は一緒なので。

 僕たちは受付近くで待ち合わせた。
 僕は、いつものTシャツとトランクスで、さちこは、ポニーテールに束ね、ブラジャーとパンティーで、寮の玄関を出た。
(ブラジャーとパンティーという組み合わせは初めて見た。こういうパターンもあるのか)そして一緒に大学へと歩いた。

 大学に入って初めてではないだろうか! 女子と、2人きりで、こんな風に外を並んで歩くなんて!
 女子と2人だけで、なら、おとといの晩にあった。銭湯からまきと二人でタオル一枚だけで走って帰ってきたとき。
 あれはあれで興奮したけど、短い時間だったし、2人で歩いた、っていう感動ではなかった。
 今日は、いつも行く大学だけど、目的地に向かって、2人で歩いているんだ!

 おとといさちことやったときには、あんまり話さなかったが、こうして一緒に歩いていると、さちこは結構いろいろ話しかけてくれた。

確か、さちこの架空の記憶の中でも僕とさちこはおととい初めて会って、今日が二回目、のはずだが、そんなことはまったく感じさせなかった。

 僕の方から、セックスしたいと誘ったことが、この新しい扉を開いたのかもしれなかった。

 ここ数日曇っていた空だったが、少し明るくなってきたような気がした。
 空までが、祝福してくれているのだろうか。

 すごく高揚した気持ちになった僕は、そのあと、僕の方から、今晩さちこさんに招待してもらう約束まで出来てしまった!


 大学構内に入り、さちこは「これちょっときついんだぁ」のようなことを言って、さっとブラジャーを外した。
「じゃあ何でブラジャーなの? Tシャツにノーブラでいいのに」
 僕は不思議に思って聞いた。
「大学終わってから、ちょっとしぶ○に用事があって…あ、夜には帰ります。寮には先入ってても大丈夫ですよ…しぶ○にTシャツパンティーじゃあ、ちょっと中途半端でしょう」
「中途半端なのか…」

 Tシャツにパンティー、っていうのは普段着みたいなもので、近所にある大学に行くくらいならいいけど、街に行くにはちょっと合わないのかもしれない。
 じゃあ、僕の、今のTシャツにトランクスもだめなのかなぁ?

 僕は、そっと、Tシャツを取って、トランクス1枚になった。実はこのTシャツも三日目でちょっと臭いが…

 まわりを見ると、僕たちのように上半身裸で歩いている人は多数ではなかったが、僕たちだけでもない、といった感じだった。

 僕とさちこは、歩きながら自然にお互いの体に手を伸ばした。僕は、さちこのパンティーの中に手を入れようとした。でもすぐにクラミジアの話を思い出し、あわてて手を上にもっていき、胸に触れ、手のひらでゆっくりと回した。
 さちこは、僕のトランクスの中に手を入れて、やはりゆっくり、棒を刺激してくれた。

 そして、さちこが行く学部への分かれ道、僕とさちこは、トランクスとパンティーだけの姿のまま強く抱きしめあって、そしてお互いの舌を1分くらいは絡ませ合った。
「時間あったらもう一回やりたかったですね。じゃあ、また夜に!」

 そういって、さちこはさちこの学部へと早足で向かっていった。
 
 僕は、さちこの後姿を見送った。
 この一時間くらい、前の晩から朝までとは、また別世界のようだった。今だったら、何でもできる気がしていた。

 この勢いで、あいかを誘ってみるぞ!

 僕は、胸を張って教室に向かった。

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