三つの願い 〜男の夢〜
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■ 第四章 「第二の願い」46
「お客様、第一の願い前の統計ですが、この国だけでですが年間八〜九億個のコンドームが消費されています。そうすると、この国だけでその二百倍近いコンドームを生産しなくてはなりません。単純な反応の促進だけでは困難です。まずコンドームの工場を増設するように皆様に働きかけるところから始まります…」
そうかあ…服が売れなくなった分の失業とかの問題も緩和されるかもしれないが…コンドームが今日明日にも増えるわけではないなあ…
僕は頭をかかえた。
「どうしたら早く増やせるだろう…」
「おい、まさる」
すすむが明るい声で言った。
「何だよ」
「お前はなんでそうコンドームにこだわるんだ? こないだも言っただろう。目的を考えろ、って」
すすむだって最初はコンドームのことを考えていたくせに、と僕は心の中で突っ込んだ。
それでも、そうだ、目的だ…コンドームの第一の目的は、ひかるさんの言葉を借りると“pe*isから放出されたspermがva*inaに入るのを防ぐ…”そして第二に性感染症の感染防止だが…それをどう置き換えれば…
「目的が二つあるけど…ここで残り二つ使ってしまうのか…それを一つにすることは…」
すすむは僕の言葉を遮るように言った。
「性病をなくせばいいんだ! …」
そうだ。すすむが淋病にかかって、確かにそれが今の問題だが…
「妊娠しないようにする方はどうするんだよ」
「それは、おれもちょっと気になっててやった時何人かの女子に聞いてみたんだけど、みんな“危険日だけコンドームしたり外出ししたりすることで今まで妊娠したことない、なんでそんなことを聞くのか”っていう感じだったぞ。だからそれだけ気をつければ大丈夫!」
それは、その以前のセックスは架空の記憶だったからではないか? とも思った。
でも、まあ、それこそ悪魔さんがうまくやってくれてるかもしれないし、そうではなかったときはまた考えればいいか、他にいい方法も見つからないし。と思った。
そして、言った。
「悪魔さん、性病が無い世界にしてください、という願いは大丈夫ですか?」
悪魔さんはうやうやしく頭を下げた。
「かしこまりました。性病の菌やウイルスの活動を抑制することで実現していきます。完全になくすには二、三日かかりますが、よろしいでしょうか?」
「はい」
僕はそう答えた。
また、遠慮なくできるんだ!
そう思うと自然に棒は固くなっていった。
そして、横目ですすむを見ると、トランクスの上からもすでにそうなっているのがよく分かった。
用紙に“性病が無い世界”と力強く書き、奥の引き出しからハンコを取り出し、はっきり押した。
悪魔はまたうやうやしく頭を下げた。
「ありがとうございます。第二の願い“性病が無い世界”受け付けさせていただきました」
ここでまた稲妻が走り、雷が鳴ったような音がした。
「では、三つ目の願いお決まりの時に、またふたを開けてください」
そういって悪魔さんは、再びやかんの中にもどっていった。
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