Hカップお嬢様乃南ちゃん
わたる:作

■ 29

「あ……もうこんな時間……」

乃南が宿題を終えたころ、気がつけばもう夕方だった。

「夕刊、取りに行かなきゃ……」

乃南が言い、玄関に新聞を取りに向かう。

乃南は外へ出て、ポストを開ける。

「えーと……夕刊と……あれ? 何だろうこれ……」

乃南が言う。ポストの中には新聞と、一枚のディスク。

「CD? いや……DVDだ、何だろう……?」

乃南が言い、とりあえず家に持ってはいる。

新聞をリビングのテーブルに置き、DVDは自分の部屋に持って上がる。

「何だろう……」

とりあえず乃南はDVDを再生してみることにした。

プレーヤーの中にいれ、再生ボタンを押す。

画面にどこか広い部屋が映し出される。画面の端には水着姿の女性が何人か居る。
乃南には見覚えがあった。

「ここって……あのプールの更衣室……?」

昨日乃南の行ったプールの更衣室だ。
さらに映像が進む。

画面の中央に長めの黒髪の少女が映し出される。
清純な雰囲気だが、Tシャツをこれでもかと押し上げている巨乳。
かなりのグラマーだ。

少女がカバンから水着を取り出し、Tシャツを脱ぐ。
大きな胸を覆うブラが露になり、少女に恥じらいが浮かぶ。

さらにスカートも脱ぎ、少女は純白の下着姿になった。

そして恥ずかしそうに手を背中に回しブラのホックを外す……

「い……いや……!」

乃南は思わず声を上げ、あわてて停止ボタンを押す。
これ以上はとても見れない……

「と……撮られてたの……?」

今まさに画面の中で水着に着替えようとした少女は明らかに乃南だ。

「まさか小野君……? でも……こんなことする時間なんて……」

小野も同じ時間に着替えていたはず。乃南の着替えを盗撮する時間なんてなかったはず。

「誰……誰なの……?」

乃南はうろたえる。DVDにはしっかりと乃南の顔まで映っている。

「まさか……クラスの男子が……?」

乃南はふいに自分の胸をいやらしく見つめる男子たちの顔を思い出す。

何の命令も脅しもなく、ただDVDだけが送られてきたというのがますます乃南の不安を煽った。

「いやぁ……! もう……」

明日が来るのが、たまらなく怖かった。

乃南の憂鬱を差し置いて、月曜日の朝はやってきた。

「イヤだけど……行かなきゃ……」

乃南は呟き、ベッドの上でゆっくりと着替え始めた。

パジャマを脱ぎ、制服のシャツとスカートを身につける。

そして鏡の前で服装を整える。

「やだ……」

いつものように大きく制服を押し上げる巨乳が、今日は一段と恥ずかしかった。

部屋を出て朝食をすませ、洗面所で歯を磨き、顔を洗う。

「行ってきます……」

親にそれだけ挨拶をして、不安を押し殺しながら乃南は家を出た。

心なしか学校までの道のりが今までより短く感じた。

「はぁ……」

ため息をつき、少し歩を遅めながら乃南は学校へ向かった。

学校に着いた乃南は、なるべくクラスの男子と顔を合わせないよう、ほかのクラスへ行き休憩時間を過ごした。
授業の時は教室に戻るしかなかったが、幸い男子たちは乃南に視線を向けることはなかった。

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