Hカップお嬢様乃南ちゃん
わたる:作

■ 37

キーンコーンカーンコーン……
チャイムの音。

乃南はちょうど校門をくぐった時のことだった。

「何のチャイムだろう……?」

乃南はチラリと校舎の時計を見た。三時半、終礼の終わる時刻だ。

「えっ! もうこんな時間……!」

憂鬱さから、かなり遅く歩いてしまったらしい。

「急がなきゃ……」

乃南はあわてて校舎に入り、階段を上って二階に行った。

「おっ……乃南ちゃん……遅いよ」

端の空き教室の前にいた男が乃南に言った。

「ごめん……なさい……」

乃南が細々と言う。

「よかったね、乃南ちゃん。もう少しで生着替え映像上映会にするとこだったよ」

教室から出てきたクラスの男子が言った。

乃南は羞恥に耐え、無言でうつむく。

「みんなもう待ってるよ、乃南ちゃんが来るのを待っててくれたんだ」

男子が言う。

「じゃあ乃南ちゃん、入って」

男子が促す。

「え……? でも……」

乃南が戸惑う。

「ほら、みんな待ってるんだから。入って自己紹介して、あと笑顔を忘れないように」

「そうそう、教室の後ろに俺たちだ立ってて、たまにカンペ出すから絶対従ってね」

男がまくしたてる。

「あっ……! ちょっと……!」

男子にドアを開けられ、教室の中に乃南は入れられる……

おお〜、と下卑た歓声が上がり、小さな拍手が起こる。

(いやっ!)

乃南は悲鳴を上げたいのを必死にこらえた。

乃南を迎えたのは二十名ほどの男子生徒。
しかも揃いにそろってみんなオタクのように見える、乃南に嫌悪感を与える男ばかりだった。

(いや……こんな人たちに見られてたなんて……)

乃南は心から不安に思う。しかし、乃南の男子の命令に従わなくてはならないという気持ちはさらに強くなった。

乃南は男子たちの正面に立ち、

「こんにちは! 秋穂乃南です、今日は来てくれてありがとう……!」

精一杯の作り笑いと精一杯の明るい声で乃南は言った。
またぱちぱちと小さな拍手が起こる。

最早男子たちの視線は薄い夏服に包まれたHカップの巨乳に釘付けだ。
清純な美少女の顔と大きすぎる胸を交互に見、存分にギャップを楽しんでいる者もいる。

(い……いや……だめ、ガマン……)

胸を見られるのは毎日だが、正面からまじまじと見られる羞恥はかなり激しい。
乃南はチラリと後ろの男子を見る。その手の紙には、乃南への最初の命令が書かれていた。

(あのとおり……しなきゃ……)

「では、撮影会をはじめます……最初は制服姿をどうぞ……」

乃南が言う。

「おお〜! い、いいねぇ……」
「の、乃南ちゃんの夏服姿……!」
「おっ……おっぱいが……乃南ちゃんの……!」

男子たちが歓声を上げ、一斉にデジカメを構える。

(いやぁっ!)

またも乃南は悲鳴を上げそうになる。
男子たちはいやらしい目をその巨乳に向け、卑猥な言葉を乃南にかける。

「なお……ポーズは皆さんがリクエストしてください……一人ひとつです……の、乃南が……その通りにポーズをとります……」

乃南がカンペに書かれた文を、あたかも乃南が望んだかのように言う。

おおお! とまたも歓声。
この学年一の巨乳美少女にどんなポーズをとらせるか妄想を張り巡らせている。

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