お姉さんの種
一月二十日:作

■ 3

そんなある日、見知らぬ男が訪ねて来た。
ちょうど僕は楕円形…いや、もう半分人間だからお姉さんと呼ぼう…お姉さんにお昼のおしっこを掛けているところだった。
一応お姉さんには桃色のよだれかけを付けていた。無駄だけど。
男は言った。
「あれ、お食事かい?」
どうしてそれを知っているんだろう?
不思議だったけど僕は睨みつけた。
ここはお姉さんと僕だけの場所だから。
男の前に立った僕の股からは、中断されたおしっこが点々と垂れていた。
「いや、ごめんごめん。でも坊や、僕はこの人の恋人なんだ。」
え? 恋人? でもお姉さんはまだ出来ていない。なのになぜ恋人がいるんだ?
「驚いたかい? でもこのお姉さんは君が作ったんだろ? その日に僕も離れた所で生まれたんだよ。そして君と同じ様にある女の子が毎日僕におしっこを掛けてくれたんだ。」
僕はびっくりした。
股の間から出ていたおしっこが止まった。
「あぁ、まだ発育不良だな。」
男はお姉さんを憐れむ様に見た。

男はなんの遠慮もしないでお姉さんの前に立った。
そしてすぐしゃがんだ。
「しかしまぁ奇妙な状態だなぁ。これが僕の恋人かい?」
僕は腹が立った。お姉さんになんてことを言うんだ。
「おじさんさっきから勝手なことばかり言うけど、本当におじさんはお姉さんのこと知ってるの? これは僕しか知らないことのはずなんだ。」
「知るも知らないもおじさんは気が付いたらここもお姉さんも知ってたんだよ。誰にも聞いてないのにね。なんでなのかこっちが教えて欲しい。」
「じゃ、その女の子って?」
「君くらいの子さ。」
「中学生?」
「君がそうならそうなんだろう。」
男はこっちには全然顔を向けず、お姉さんの桃色のよだれかけを汚なそうにめくってみたり、お姉さんの匂いを嗅いでみたり勝手なことばかりしている。
しかし不思議なのはそんな男の前でお姉さんが恥ずかしそうに、投げ出していた脚をちょっとずつ引き始めたことだった。
「あれれ、あ、毛を隠そうとしているな?」
まるで男は昔からお姉さんを知っている様に言った。
「だめだめ、見せなさい。」
男はすぼみかけたお姉さんの脚に手を掛けると、ぐっと両方に引っ張った。
お姉さんのあの縮れた毛の塊がポカンと現れた。
「なぁ坊や?」
男はお姉さんの股を拡げたまま初めてこっちを向いた。
「この毛の下、どんなだ?」
何をいきなり聞くんだろうと思いながらも僕は正直に答えた。
「ツルツル。何も無いよ。」
「あぁそう。ツンツルテンかぁ。」
その時お姉さんの手が狂った様にピンク色の突起をかきむしった。またあの甘い汁がぴゅーぴゅー出て、男の髪をベチャベチャにした。
でも男は驚かずに舌を出して顔を舐めた。
また僕はびっくりした。
男の舌が30センチくらい伸びたから。

僕は驚いた。でもこの男が言っていることが本当だって、30センチ伸びた舌を見たら納得した。
男は僕に
「君の姉さんがもうちょっと人間らしくなったら来る。」
そう言って帰って行った。
あの女の子の所へ帰っておしっこを掛けてもらうのかなぁ。
僕はまだちょろちょろと甘い汁を吹き出しているお姉さんの身体を拭いてやった。そして桃色のよだれかけを新しいのに替えた。今度のは水色だ。
「姉さん、早く人間になろうね。」
僕はしんみりとお姉さんに言った。

お姉さんが少し人間らしくなったのはその数日後だった。
座ったままのお姉さんを少し運動させようと思って転がした。男が帰ってから、毎日お姉さんを運動させることにしたのだ。早くこの手足を満足に動かせるようにって祈りながら。
お姉さんは身体の大きさだけは種の時から僕より大きい。僕がそうしたからだけど。
でもそれを後悔するのはこういう時だ。
お姉さんの身体は楕円形のままだから、持ち上げる時あまりの重さにすっぽ抜けそうになる。
結局動かすには転がすしかない。
表裏表裏といつもの様に転がしている時、裏側の下の方にお尻が出来ているのを見つけた。
お尻を見つけた次の日には目が揃った。
ピンク色の突起も2つになった。
柔らかい耳も出来ていた。
耳たぶの産毛がキラキラ光っていた。
お姉さんの身体にあと無いものは、女性のシンボルと鼻と口くらいだ。
ぱっと見は、巨大な乳房に手足が生えた感じ。
まぁよく肥えた女性に見えないこともない。
やっぱりこうして運動させていると血行が良くなって、成長を促すんだろうか?
僕は嬉しくなってニコニコしながらお姉さんを転がして部屋を何周もした。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊