お姉さんの種
一月二十日:作

■ 4

やっとお姉さんに鼻が出来た。
鼻ってその人の品格って言うか性格って言うか、そんなものを決定付けるんだって分かった。
お姉さんの鼻は、横から見たらちょっと反り上がった様な可愛らしい鼻だった。
大人の女性と言うより、ちょっと少女っぽかった。
これが僕のお姉さんなのかぁ…と感心しながらしばらく眺めていた。
あとは口と女性のシンボルが出来て、くびれが出来たらもう人間なんだ。
それにしてもお姉さんはまだ知性が無いなぁ。
相変わらず僕の前では脚を投げ出したままだ。
やはりよだれかけだけではいけないんだろうか?
そう思って、LLショップで大きい人用の下着と服を買ってみた。
お小遣いがみんな消えた。
パンティ…と言うよりほとんどパンツみたいなのを履かせようとしたら、お姉さんは脚を突っ張って嫌がった。
それでも強引に履かせようとしたら、脚の小指に引っ掛かって破れた。
なんてことするんだお姉さん…
仕方なしに引っ掛かったパンツを外そうとして小指に手を掛けた時、初めてお姉さんの足先を眺めた。
とても柔らかそうなふっくらした指と、薄いピンク色の可愛らしい爪が並んでいる。
お姉さんはきっと幼い感じの人になるんだろうなぁ…
と、その時思った。
じゃ、手の指はどうなんだろう?
これもやっぱり白くてふっくらしていて柔らかかった。
まだほとんど使っていない手は、赤ん坊のようだ。
こんな手でお姉さんらしく叩いてくれたら、僕はどんな気持になるだろう?
早く叱ってくれる口、出来ないかなぁ。
僕は変な方向に期待を膨らませていた。

そして…
期待していた口と女性のシンボルがお姉さんに揃ったんだけど…
口は真っ直ぐ結んだままで何も言わない。
それ以上におかしいのはシンボルの方で、現れたり消えたりする。
それもいろんな色で。
僕が触ろうとすると消えてしまう。
諦めたら現れる。
お姉さん、壊れたんだろうか?

最初は頭が真っ白になってやたらおしっこを掛けていたと思う。
そんな時に、お姉さんの口が開くことに気が付いて、それからは哺乳瓶を与えるみたいに僕は自分のあそこをお姉さんの口の中に入れるようになった。
お姉さんはごくごくと僕のおしっこを飲む。
「もう出ないよ姉さん。」
そう言って強引に抜くまで吸い続けるんだ。
でもそれ以外に口が開くことは無かった。
夜になるとお姉さんのあそこが青やら赤やら黄色やらで光って、僕の部屋はまるでネオンが反射したみたいになっていた。
それがまぶしくなったらあそこに手をかざす。
すると部屋は真っ暗になる。
そんなことを何日も繰り返していたある日、あの男がやって来た。
僕は救われた気持になった。
「姉さんがおかしいんだ。」
姿を見るなり男に言った。
「おかしいって?」
「あそこが光って、出たり消えたりするんだ。」
「え?」
僕は男に全部話した。お姉さんが話さないことも。
「そりゃそうさ、君は弟だからね。」
男は当たり前のように言った。
「どういうこと?」
「それよりお姉さんにパンツ履かせてるか?」
「あ…」
僕はお姉さんが嫌がったことと、お姉さんのあそこが光っていることが不安で仕方ないから、いつでも見られるように剥き出しにしたままだと言った。
「そりゃ消えたりもするさ。」
そう言うと男はお姉さんの前に歩み寄った。
お姉さんはこの前みたいに男の前では脚をすぼめる。
今日は両手であそこも隠した。
男が近付くと怯えたように後ずさりする。
「さあ、もう大丈夫だ。ほら、僕だ。安心して。」
男はお姉さんの前にしゃがんでそう言った。

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