お姉さんの種
一月二十日:作

■ 5

男はお姉さんの指を一本一本外してゆく。
そして露わになったあの部分に目をやった。
お姉さんのあそこは相変わらずネオンのようにちらちら光っている。
男はそのまま何も言わずにそっと右手の人差し指を近づけていく。
すると…
僕の時とは全然違って、お姉さんのあそこは原色になってはっきりと現れて来た。
しっかりと身体の真ん中に食い込んでゆく赤味がかった筋が一本通っている。
男の指がそこへ当たってすーっと入って行く。
お姉さんは目をつぶって身体をゆっくりと反らして行く。
「な? 君は弟だからこんな行為は許されないんだよ。」
男は顔を正面に向けたまま言った。
「あぁ、順調に成長している。うんうん、もうひとつの種もしっかり出来ている。」
「もうひとつの種?」
「あ、知らないかい? 女の人には身体の入り口にもうひとつ種があるんだ。…言っても分からないか…じゃ、今日は特別だ、さ、こっちへおいで。」
男は僕をそばに招いた。
そして左手で僕の右手の手首をぐっと掴んだ。
「い、いやだよ。何するんだよ。」
僕は抵抗した。
「君だけじゃ決して触れないものだ。さ、いずれ君も大人になったら触れる部分だ。この感触を覚えるんだ。でもどうしても嫌なら無理にとは言わないけど。」
「…」
僕は迷った。
お姉さんのそんな所触ったらいけないという声が、頭の中で激しく響いている。
でも、僕一人じゃ触れられない部分…女の人の身体の入口にあるもうひとつの種って…
「嫌かい? なら手を離すけど。」
「あ…」
やっぱり僕は力を抜いてしまった。
「いいんだね?」
僕は目で「うん」と答えた。
多分怯えた様な目をしていたろうな。
「じゃ。」
男は自分の指を少し下げた。
男の指のあった所に真っ黒な穴が指の形に、馬鹿みたいにポカンと開いていた。
そこに男は僕の人差し指をゆっくりと挿して行った。
そこはなまあたたかくてびちょびちょした、ちょうど口の中と似た感じだった。
でもかなり強く吸い付いて来る。
タコの吸盤みたいな。
女の人の入口って、こんな感じなんだ。

と、ちょっと行った所で、僕の指が硬いものに当たった。
「あ、なんか当たった、当たったよ。」
僕はびっくりして男に聞いた。
「なんか硬いよ。これなんなの?」
「ほう、もう当たったか。」
「ねぇ、これなんなの?」
「それがもうひとつの種だよ。」

「ウヲー…」

「え? 姉さんなんか言った…」
「あぁ、言ったね?」
男は意味深な笑いを浮かべた。
お姉さんは身体を少しよじった。
真ん丸いからそのまま横に転げそうになった。
僕はびっくりして指を抜いてしまった。
ピチョッと冷たいものが飛んで顔に掛かった。
「うわっ。」
「よっこらしょっと。」
男は指を抜いて、傾きかけたお姉さんを元に戻した。そして今度は両方の手の中指と人差し指を、まだポッカリ開いたままのお姉さんの穴に挿し込むと、ゆっくりと両方に引いた。
鮮やかに紅いお肉がめくれ出て来た。
中から水が溢れて来る。
穴の上の方になにか頭みたいなものが見える。
そこだけ別の生き物みたいにちゅぷちゅぷと動いている。
僕は生まれたばかりのネズミの子供の頭を連想してしまった。
びちょびちょのネズミの子供の剥げた頭。
1センチもない頭。
そこにはネズミの口みたいな窪みが、お乳を欲しがっているみたいにちゅーちゅーと口を突き出している。
そんな風に「欲しい欲しい」をしている顔に見えた。
「なんかかわいいな。」
男が拡げたものの真ん中を、僕はしばらく眺めていた。
「かわいいなぁ。」

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊