鬼の飼い方
鬼畜ヒスイ:作

■ 檻ノ弐・鬼には豆より縄を6

 乳房から離したローターを、今度は恥豆――クリ○リスと縄の間に挟み込む。それだけで、思わぬ快感でクイナは背筋の限界まで背中を反らせた。
「――ッ!」
 声にならぬというのは、そう言う声なのだろう。
 処女を失い、初めて絶頂に達したのだから無理もないが、クイナは力なくベッドに横たわる。
 その晩、街外れの小さな借家に少女の嬌声は留まることを知らずに響いた。
 一度目の絶頂から目を覚ましたクイナは、卓袱台の前で欠伸を噛み締める俺に気付く。
「お、お前……何しやがる。ぶっ殺してやろうか?」
 落ちかけた瞼を擦る俺へ、そんな暴言を吐き捨てる。
 どうやら、ご主人様への口の利き方を覚えていないと見える。ならば、もう少し躾を続けるまで。
「なあ、君は自分の格好を忘れたのか? 君が、既に飼われているということも、気付いていないみたいだね」
 俺は、息を荒くして睨み付けてくるクイナに、その不敵な微笑みを浮かべる。
 気絶してからも、まだ解いていない縄。そして、未だに恥豆との間に挟まったローター。そのスイッチが、どこにあるのかをクイナは認識していない。
 しばらくして、クイナはようやく俺の手の中にそれがあることに気付く。ハッと息を呑む息遣いが、俺にまで聞こえてきた。
「ま、まて、待って! 取り消す、今の取り消すか……ひうッ」
 遅い。
 謝ればいいものでもないし、一番の問題は暴言を吐いたことではない。飼い鬼が飼い主に吼えれば、それを叱りつけるのも飼い主である。

「既に出てしまった言葉は、飲み込めないんだよ。でも、俺は寛容だからね。ちゃんと、謝れれば許してあげよう」
 ニコニコと、天使の如き微笑を浮かべてチャンスを与えてやる。
 目の前でローターの微動にもがく少女は、謝り方を知らないので一字一句教える優しさもある。
「ご、ごめ、んなさ……ひッ! ゆるし、ふぁ、あぁぁ……ぅあ、は、はい」
 泣きじゃくりながら、秘部を責める快楽に耐え、言葉を必死に紡ぐクイナ。
「ご主人様、は?」
 ちゃんと、誰に赦しを乞うのかを言わなければいけない。
「う……くっ」
 まだ、俺のことを飼い主と認めることができないらしい。ならば、もう少しキツイお仕置きをしてやろう。
 スイッチのダイヤルを二目盛りぐらい動かすと、ローターの振動が更に激しくなる。
「は、ぐっ……ご、ご、ご、ごめんなはひ! ごひゅひん……は、はまッ!」
 この程度にも耐えられず、ビクビクと体を跳ね上げて、身悶えしながら必死に赦しを乞おうとする。
 ショーツでは吸い切れない蜜が、縄を黒く濡らしながらベッドに滴る。シーツが、オネショをしたみたいにグチャグチャだ。
「まあ、良しとしよう。まだまだ躾けることはあるけど、続けてやると君が壊れちゃうからね。それじゃ最後にやらせてもらうよ」
 最後まで言うか否か、俺はジーンズを脱ぎ捨ててベッドに上がる。
 十分に快楽を味わった恥壷は、前戯などいらぬほどに露を滴らせる。邪魔なローターだけを抜いて、縄の隙間からショーツを捲ると、肉棒が小さな割れ目を容赦なく押し広げた。
 しかし、十分に濡れているとは言え、流石に二度目ではスンナリと飲み込めないようだ。
「あ、あふぅ……も、もっと、優しくして……ひぃ、あ、あ、あぁ」
「くッ」
 押し込もうとする力と、押し出そうとする力がぶつかり合い、脈動を早めた膣穴に肉棒は引き千切られそうになる。
 何度か、小刻みに腰をストロークさせることで、徐々に肉棒を飲み込んでゆくクイナの穴。肉壁が絶妙にペ○スを揉み、根元まで入りかけた肉棒がマ○コの敏感なところを擦る。
 下腹部へと凝縮する、執拗な責苦で高まった欲望。
『ぅ――ッ』
 二人の声が重なり、絶頂の協奏曲が冷たい夜に奏でられた。



 その夜、二人は体を寄せ合って床で毛布に包まっていた。
 ベッドはクイナの愛液で濡れているので、流石に上で眠ることは出来ない。明日にでも干そう、と落ちかけた意識の中で考える綱吉。
 クイナは、責苦の疲れと夜の睡魔に意識を朦朧とさせながら、ゆっくりと寝返りを打つ。目の前に、シャツだけを身につけた綱吉の胸板がある。クイナは、縄は解かれたが裸体のままで、服を着る気力など残っていなかった。
「なぁ……どうして、あんなことしたんだよ?」
 いつもと同じ、気丈に振舞おうとして出た問いかけ。
 もちろん、あんなこととは今夜の責苦を示す。
「あ、えっと。辛かった? ごめん、ああなると自分でも止められないんだよ」
 綱吉自身でも、二重人格なのではと思ってしまうほど、もう一人の彼は乱暴だ。
 綱吉の申し訳なさそうな声に、クイナは声を窄める。
「うん、と……苦しいけど、その――」
 言葉を区切り、毛布から少しだけ上目遣いに顔を出して、
「――気持ちよかったから、良い……」
 たぶん、初めて漏らしたクイナの本音だと思う。
 決して楽なものではなかっただろうが、彼女の本質はその責苦を受け入れた。それが少女には、苦しませるだけの責めではなく、愛するための責めであると分かっていたから。
 まるで綱吉とは反対の、粗暴さの裏に隠れた快楽を求めるもう一人のクイナ。その二人であるが故に、分かり合えたのだろう。
「そっか。じゃあ、また可愛いクイナを見せてくれよな」
 男は残った力で、小柄な少女を引き寄せて頭を撫でてやる。
 優しく頭を撫でられる感触に、いつしか感じた温もりを思い出し、少女は男に体を押し付ける。
 聡明で、本当は愚かな男。
 粗暴で、本当はか弱い少女。
 二人は、凍える夜を抱き合って過ごした。

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