堕ちる貞女
一二三:作

■ 第1章2

2、甘い餌。

信恵は汗を拭きながら控室に駆け込み、タイムカードをレコーダに挿入して印字し、カードボックスに戻しながら、
「お早う御座います、お疲れ様でした」
と、夜勤明けの人に挨拶して自分のロッカーの前に立ち作業着に着替えます。
「お早う、今日も降りそうだわね、ムシムシして嫌アーね」
 此処は、某大手企業の会長がプライベートに経営している【NSMW】(ユニバーサル・システム・マネージメント・ワールド)、と云う特殊嗜好愛好者で組織するリゾートSEX産業施設です。
先ず其の概要は、3,000坪の敷地に、1戸建て貸別荘形式のラブホテル【Uテル】が50棟、内46棟がお二人様用で4棟がSW(スワップ)用になっています、常勤従業員は、所長1名、事務員4名、客室整備婦15名、機械管理4名、が週1休3交代で勤務しています、勤務は昼勤8時〜17時、準夜16時〜1時、深夜1時〜9時です。
隣接する丘陵地に建てられた古風でエキゾチックな建物も、此の企業が運営する高級会員制SMクラブ【鹿鳴館】で、Uテルとは利用されるお客様のタイプが全く違います、Uテルは一般の庶民が暫しの憩いを愉しむ処であるのに対し、鹿鳴館は政財界の大物や外国からの要人が、公式でない裏の会合でお使いに成る施設です。
山腹にめり込む様に造られた北欧の城門を模した入り口を通ると地下駐車場に通じます、地下1階地上5階建ての鉄筋コンクリート造で、地下には合同調教室1、反省室3、機械室1、其の他は駐車場で、此の駐車場はUテルの地下駐車場と1体です。
1Fは管理室、会議室で、2Fは従業員居住区、3F休息室10。4Fプレイ室5。5F舞台付レストラウンジ1、会長室1、役員室1、特別室2、が在り、オーナーは同一人物です。
此の館に常時居る者は、専務取締役、調教師兼フロント係男4
汝4名、調理師男4名、ホール係女6名、雑役係女6名。此処を住居としている奴隷3名、登録奴隷52名。登録御主人様60名。
此の二つの施設は同一敷地に在りながら、お互いが行き来する通用口は1カ所で、従業員で此の通用扉を通過出来るのは、此の扉の鍵を持っている所長と機械管理係の男性4人だけです、鹿鳴館の女性従業員は全員M牝奴隷ですからUテルのオバチャン達と会う事は有りません、彼女達は全裸が原則ですから通常建物から出る事がありません。
奴隷が通勤や外出する時は、高級ブランドで身を包んだ何処かの貴婦人の格好ですから、マサカ日常が全裸のM奴隷とは誰も気付きません、元Uテル従業員だった女性で、現在鹿鳴館の奴隷に成っている女性が2人居ます、所長が、「此の女は素質有り
と判断した女性は言葉と実技で奴隷に成る様に誘惑されるのです、現時点で白羽の矢を立てられているのが信恵です、然し信恵はそのような事はつゆ知らず、家庭内の憂さを仕事で忘れる為と云った格好で働いているのです。
小倉信恵、35歳、T158、B88,W63、H85、色白、肌理細か、やや瓜実顔、
SEX好なタイプ、子供女児2人、10歳、12歳。夫35歳、建設作業員、女癖悪く酒乱。夫婦仲悪く離婚寸前。との情報を所長が把握している。
 信恵の勤務するラブホテル【Uテル】は評判が良く、終日空き部屋が無い位の繁盛で、其の理由はふんだんに湧出している天然温泉で掛け流しが好評との事です。
 今日の昼勤者は客室係支配の雅子、すみえ、貴子、和江、清子、信恵の6人です、二人一組で客が帰った後の掃除、ベッドメーキング、備品補充です、信恵は雅子と組み事務室と境のカウンターの伝票刺しから伝票を2枚抜き取りました、2号棟と5号棟でした、リネン室で籠にシーツ、ピロケース、バスロープ、タオル等を入れ、物品庫からビール等飲み物を取り出しバケツに入れて各棟に向かいます、二人でベッドメーキングをしながら雅子さんが、
「ノブちゃん、あの人と旨くいってるの、旦那に殺されない様にしなさいよ、どうせ別れれるんでしょうけど」
「アル中になってから一丁すればおとなしく寝る様になって悦んでいたら、今では子供の前でも、遣ろう、遣ろうと無理に押し倒すようになって、本当に困るわぁ」
「趙さんの方は如何なってるの、旨く行ってるんでしょう」
「其れなんですけど、趙さんとの事がばれそうなの、ばれてるかも知れないの、昨夜する時いきなり陰毛鷲掴みにして、「お前浮気してるだろう、証拠が有るんだぞ」と言って陰毛10本以上一気に抜かれたわ、あそこ裂けたかと思う位痛かったわ、ばれたら本当に殺されるわ」
「で、あんた白状したの、拙いよ」
「白状なんてしないわ、絶対に知らないと言って誤魔化したけど、「証拠を上げて遣る」と意気巻いていたわ、趙さんとは当分会わない方が良いかなぁ」
「それであんた、辛抱出来るの、頭では分かってても身体が許さないんじゃないの」
「そうなの、こんな時、如何すれば好いのか分からないの、雅子さん何か良い方法教えて、お願いします」
「趙さんに相談したの」
「以前に相談した時、早く離婚して俺の所に来いと言って下さるわ、趙さんに抱かれている時が一番幸せだわぁ

「それでノブちゃんは趙さんを如何思ってるの

「嫌じゃないわぁ、あの人のは大きいし強いし、上手だわぁ、如何にでもしてー、って感じになるわぁ」
「御馳走様、ジャー、所長に頼んで話しつけて貰えば、所長ならきっと上手くやってくれるよ、私が頼んであげても良いよ」
「こんな他人に言えない事、所長さんなんかに相談出来ませんわ、下手したら首に成るわぁ」
「大丈夫よ、あれで所長は中々の苦労人よ、ノブちゃんの考えが一番だけど趙さんにも相談したら、今のままじゃ子供が可哀想よ」
「其れなのよ、私は辛抱すればいいのだけど、あれじゃ子供に悪いと思うわ」
「そうですよ、お酒が切れると正常じゃ無くなるのだから、下手すると子供に手を出すかも知れないわよ」
「其れなのよね、他人には言えないけど其の兆候が有るのよね、若しそんな事に成ったらと思うとゾーッとするわぁ」
「そうでしょう、早い方が良いと思うわ、首になんかなりませんよ、事が起こった後の方が怖いわよ、午後に暇が出来た時私が話してあげるからね好いでしょう」
「済ません、お願いします」
 二人は話ながら2号棟の掃除を終え5号棟に移ります、二人が5号室に這入り、4畳半の和室に敷かれている蒲団を剥ぐって吃驚です。
「アーア、遣られたわ、ノブちゃんベッドも見て」
 信恵は直ぐにべドの掛布をはぐり、
「雅子さん、駄目です、所長さんに電話して下さい」
「そっちも遣ってるの、分ったわ」
「モシモシ、所長5号棟に来て下さい」
 所長が這入って来るなり、
「ホーゥ、派手にやったな、アーア、畳まで浸透てる、機械室に言って入れ替えさせよう、後は大丈夫か」
「ハイ、風呂場やトイレは異常有りません」
「男連中に搬出させるから此の棟は大掃除に変更してくれ、17時からは使える様にしてくれ」
「ハイ、その様に致します、ノブちゃん、此処置いといて次に行こうか」
 信恵達は午前中に40棟を掃除し、午後は定期的に行う大掃除の3棟と、午前中に空いた棟の掃除です、大掃除は壁や絨毯のクリーニングも遣りますから可也時間がかかります。
 昼食後、雅子が信恵を伴って事務室に這入り。
「所長、お願いが有りますが、お時間構いませんか」
「アア、好いよ、あまり難しい話じゃなかろうな、此処じゃぁ何だから部屋に行こうか」
 所長はさっさと事務所を出て1番近くの1号棟の鍵を取り先立って歩き出しました。

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