桜怜ちゃんグラマラスデイズ
わたる:作
■ 10
「久々に友達と遊ぼうっと♪」
桜怜は帰路を急ぎながら思う。
「補充がんばろっと!」
この日の足取りはいつもより軽かった。
その日の夜、桜怜がカバンを開けると一枚の紺色の布が出てきた。
「あ……」
ふいに桜怜はそれが何であったかを思い出す。
それは学校指定のスクール水着だった。
水泳の補習授業もある、ということで担任から渡されたのだった。
桜怜はふいに水着を広げてみる。
「いやっ! 小さい……」
桜怜の水着のサイズはMだった。
もちろん本来JカップなんてバストならLLサイズ、あるいは特注、というのが普通だろう。
しかし急な転校だったので桜怜は水着の採寸を受けられず、仕方なく用意されたMサイズを持たされた。
もっと大きいサイズでないと合わない、と桜怜は言ったものの、今まで女子用の水着がなかったこの高校では人数分の水着しか発注しておらず、余りがほぼ無かった。
そしてたまたま一枚残っていたМサイズを使うことになってしまった。
本来はバスト80cm程度の着るサイズ。
桜怜が着れるようなものではない。
しかし桜怜はそれを試着する気にもなれなかった。
股間と胸の部分だけに二枚布が張ってあり、他は極薄の布一枚。
ガードルもサポーターもない。
桜怜はこのスクール水着を着た自分の姿を想像したくもなかった。
「いや……」
楽しいはずの夏休みにわずかな不安を桜怜は感じる。
水泳の補充は明後日だ。
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